英語ニュースで学んだ語彙を定着させるには?時事英語にまつわる疑問に答えます!

海外の最新状況や注目の話題を知ることができる英語のニュース。「チャレンジしたいけれど、内容についていけない」という方に向けて、ニュース翻訳者の松丸さとみさんが「時事英語の楽しみ方」を紹介します!今回はニュースで英語を学ぶ上での疑問に答えます。

「ニュースで英語学習」にまつわる疑問に答えます!

今回で3回目となりました「時事英語入門」。ニュースを英語学習に活用するという視点から、ニュースサイトや勉強法をご紹介してきました。

回は、時事英語にまつわる疑問にQ&A形式でお答えしていきます。

では早速どうぞ!

Q. ニュースで学んだ語彙を定着させるにはどうしたらいいでしょうか?

A. 語学では、「新しい語彙や表現を学んだら すぐに 使う」ことが大切です。

使える機会をつくるために、例えば 時事に関するディスカッションができる場を設けてみる のも1つの手です。今はオンラインの英会話がかなり安くできるようになったので、そういう場をぜひ活用してみてください。

または、 SNSやブログなどで、学んだ語彙を使ってニュースについて書いてみる のもいいですね。

ただし 、可能であれば、 英語ネイティブまたは英語力のある人に、書いた文章をチェックしてもらってください 。というのも、書いた英語に赤を入れてもらうと、自分の間違いの 傾向 に気付けて、とても勉強になるからです。

間違った英語を間違ったままで書き続けると、間違って定着させてしまうかもしれません。それを避ける意味でも、人にチェックしてもらうのは英語上達に欠かせません。

ディスカッションしたり他人に英語チェックをしてもらったりする機会をつくれない人は、 同じ話題を扱うニュース(同じ語彙が出てくるニュース)をとにかく読みまくりましょう 。何度も目にすれば、単語は覚えていきます。繰り返し目にする環境をつくってください。

Q. ニュースに関するディスカッションで、意見を求められても浮かびません・・・。

A. そういうこと、ありますよね!私自身、イギリスの語学学校に通っていたとき、ディスカッションで意見を求められるのがとても苦手でした。日本では、自分の意見を積極的に述べるような環境にいたことがなかったからです。

そこで、 物事 に関して 自分が何を感じるかを普段から意識する ようにしました。そうすると、意見を求められたときに すぐに 言葉にできるようになります。

もしそれでも、特定のニュースについて自分の意見が浮かばないという場合、その話題に関する SNSの投稿を読んだり、ニュースサイトのコメント欄を読んだりしてみてください 。さまざまな方向からのいろいろな意見の中に、賛成できる・できない、と感じるコメントがあるはずなので、参考にしましょう。

Q. 英語圏以外の国のニュースを英語で読んでみたいのですが。

A. 英語圏以外の国でももちろん、英語で発信しているニュースサイトはあります。 「英語の勉強はしたいけど英語圏以外の国や地域についてもっと知りたい」という人は、そのようなメディアをぜひご活用ください。なお、メディアによっては、ニュースが中立ではない 可能性 がありますので、その点は留意してください。

中国

新華社通信

の国営通信社「新華社通信」の英語ページです。

日本では中国語の固有名詞は日本語読みしてしまう場合が多いので(例えば国家主席の習近平を「しゅうきんぺい」など)、英語でどう言えばいいのかわからないことが多いですよね。

でも英語の記事なら、英語での名称が使われているので(一般的には、中国語の発音をそのままアルファベット表記。例えば前述の「習近平」なら中国語の発音のまま「Xi Jinping」)、英語で中国の話をしたいときに便利です。

中東

アルジャジーラ

カタールのニュース専門衛星テレビ局です。世界各地のニュースをアラブ文化の視点で発信しています。

ミドル・イースト・アイ(MEE)  

イギリスのロンドンから、中東と北アフリカのニュースを中心に報じる独立系オンライン・ニュースサイトです。

ロシア

タス通信(イタル・タス通信)  

ソビエト連邦時代から続く通信社で、現在はロシア政府が所有しています。正式名称はイタル・タス通信ですが、日本のメディアではソ連時代からの名称「タス通信」が一般的に使われています。

インド

タイムズ・オブ・インディア

インドの英字紙として最大の発行部数を誇ります。

ヨーロッパ 

ユーロニュース  

欧州連合加盟国の複数の放送局により設立された、ヨーロッパの視点で世界のニュースを発信するニュース専門局。英語を含む16カ国語で読むことができます。

ザ・ローカル

オーストリア、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイスの各国版があり、それぞれの国に特化したニュースを英語で読むことができます。

フランス24

フランスのニュース専門局。世界のニュースをフランス的な価値観にて英語、フランス語、スペイン語、アラビア語で発信しています。

Q. 政治ニュースにあまり興味が持てないのですが・・・。

A. 苦手意識を持ったまま勉強しても楽しくないし上達しないですよね!?そのため、興味がないものを無理に読む必要はないと私は思います。

とはいえ、 ある国をよく知っていくと、その国の政治を興味深く感じてくることもある ので、諦めずに周辺ニュースに触れ続けてみてください。

例えば 選挙制度や各政党の政策に興味が持てなくても、人間としての政治家の話題は面白いと思えるかもしれません 。特にイギリスのボリス・ジョンソン首相の言動が話題性に富んでいたり、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が指導者としてのみならず人間として魅力的だったり、視点を変えれば楽しめる要素は少なくないと思います。

Q. アメリカ英語とイギリス英語がありますが、ニュースも違いますか?

A. アメリカとイギリスでは、 使われる英語の表現や単語に若干の違いを感じることはありますが、ニュースの在り方や伝え方自体に大きな違いがあるわけではありません

とはいえ、両国は政治の制度が違うので、そういった意味ではニュースに出てくる言葉もかなり異なります。どれだけ違うかを示す意味で、基本的なワードを一部、ご紹介します。

二大政党

イギリス

Conservative Party(保守党。Toryとも呼ばれます)

Labour Party(労働党。labourのつづりはイギリス式にuが入りますので気を付けてください)

アメリカ

Democratic Party(民主党。イメージカラーは青)

Republican Party (共和党。Grand Old Party略してGOPとも呼ばれます。イメージカラーは赤)

閣僚主要ポスト

イギリス

prime minister(総理大臣。PMと略されます)

chancellor of the exchequer(イギリスの財務大臣。略して chancellor と書かれることも多々あります。なお、ドイツの首相は prime ministerではなく chancellor になります。記事に chancellor と出てきたときに、ドイツの首相なのかイギリスの財務大臣なのかは記事内容や文脈で 判断 しましょう!)

foreign minister(外務大臣

アメリカ

president(大統領

secretary of the treasury (財務長官。役割は財務大臣と同じ)

secretary of state (国務長官。役割は外務大臣と同じ)

上院と下院

イギリス

the House of Lords(貴族院または上院)

the House of Commons(庶民院または下院)

アメリカ

the Senate (上院)

the House of Representatives(下院)

国会

イギリス

Parliament(国会議事堂はWestminster)

アメリカ(連邦議会)

Congress(連邦議会議事堂はthe Capitol)

官邸

イギリス

Number TenまたはDowning Street(首相官邸。内閣や政府を指すことも。ダウニング・ストリートという通りの10番地が首相官邸であるためこう呼ばれます)

アメリカ

the White House(大統領官邸。連邦政府の行政部を指すこともあります)

まとめ

3回にわたって、「時事英語入門」をお届けしました。時事問題を英語学習に役立てられるような気がしてきましたか!?

英語学習はコツコツ、毎日続けることが大切です。ニュースという日常的な題材を使えば、英語の勉強を毎日続けられます。英語力をアップしつつ、世界の時事も理解して2度おいしい時事英語、ぜひ活用してくださいね!

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松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp

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