ENGLISH JOURNAL ONLINE

火星での酸素生成に成功した実験装置、MOXIE。その名前の由来や英語での意味は?【ニュース音声付き】

火星での酸素生成に成功した実験装置、MOXIE。その名前の由来や英語での意味は?【ニュース音声付き】

世界で起こっている話題のニュースをピックアップ。注目のキーワードから深掘りし、ニュースをひもときます。今回は、NASAが初めて火星の大気から酸素を生成したニュースです。

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年8月号に掲載した記事を再編集したものです。

ニュースの概要

今年2月、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「パーサヴィアランス」が火星に着陸したことで話題になったのを覚えていますか?今回は、パーサヴィアランスが火星に持って行った「モキシー」と呼ばれる装置が、火星の大気から酸素を作り出したというニュースです。

「忍耐、我慢」という意味の名を持つ探査車パーサヴィアランスは、この後2年近くにわたり、引き続きさまざまな実験や調査を行う予定です。

2012年に火星に着陸し、現在も稼働中の火星探査車「キュリオシティ」が撮影した火星の様子。

2012年に火星に着陸し、現在も稼働中の火星探査車「キュリオシティ」が撮影した火星の様子。
パーサヴィアランスは、キュリオシティの形状を踏襲し、ほぼ同じ大きさで外見も似ている。写真:Abaca Press

注目Keywords

literally created oxygen out of the red planet’s thin air
文字どおり火星の薄い空気から酸素を作った

out of thin airというイディオムには、「どこからともなく」という意味があります。今回の実験では、酸素濃度が非常に薄い火星の空気を使って、モキシーが酸素を作り出しました。そのため、ここではこのイディオムに引っ掛けた言葉遊びをしており、「(イディオムではなく)文字どおりの解釈で」という意味で、literally(文字どおり)と表現されています。なおthe red planetは、赤く見えることから付いた火星のニックネームです。

MOXIE
火星酸素現場資源利用実験装置

パーサヴィアランスが火星に持って行ったトースターほどの大きさの装置モキシー(MOXIE)は、「Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment」に由来します。moxieという単語そのものにも、「元気、ファイト」などの意味があります。人間にとって大切な酸素を作り出す装置にぴったりの名前ですね。

将来的に、宇宙飛行士が吸う酸素や地球に帰還する際の燃料の燃焼に必要な酸素を、その場の資源を活用(in-situ resource utilization)して作ることを目指します。

live off the land
その土地の資源だけでやっていく

live off ~は、「~を頼って生活する」という意味です。live off the landといえば、「その土地で採れた食べ物を食べて生きていく」ということ。つまりここでは、将来的に地球から酸素を持って行くことなく、その惑星の資源を利用して滞在するということです。

ニュースをチェック

NASA rover extracts first oxygen from Mars

(1)NASA has announced yet another first on (2)Mars, Wednesday (April 21), having literally created oxygen out of the red planet’s thin air. That’s (3)thanks to an (4)experimental (5)device carried by the (6)six-wheeled (7)rover vehicle, called Perseverance, that landed there in February.

The (8)gadget is called MOXIE, and in its first (9)activation, it created 5 grams of oxygen from the (10)atmosphere of Mars, which is mostly (11)carbon dioxide. That’s enough for an (12)astronaut to breathe for 10 minutes. It may sound small, but that’s big news, (13)marking the first experimental (14)extraction of (15)natural resources from another planet that humans can directly use.

NASA says it’s the first technology of its kind that may help future (16)missions “live off the land” of another world. Oxygen is needed not only to see humans on Mars someday, it is also (17)crucial for the fuel to get them home.

MOXIE’s success comes a day after another (18)achievement on Mars – with a (19)miniature robot helicopter, NASA (20)pulled off the first (21)controlled (22)powered flight of an (23)aircraft on another planet. (©Reuters, April 22, 2021)

対訳はここから確認できます↓

s.alc.jp

(1)NASA アメリカ航空宇宙局 ★ = National Aeronautics and Space Administration。(2)Mars 火星 (3)thanks to ~ ~のおかげで、~によって (4)experimental 実験的な (5)device 機器 (6)six-wheeled 6輪の (7)rover vehicle 惑星探査車 (8)gadget 道具、装置 (9)activation 稼働 (10)atmosphere 大気 (11)carbon dioxide 二酸化炭素 (12)astronaut 宇宙飛行士 (13)mark ~を示す、~を記録する (14)extraction 抽出 (15)natural resource 天然資源 (16)mission 任務 (17)crucial or ~ ~に必要不可欠な (18)achievement 達成 (19)miniature 小型 (20)pull off ~ ~を成功させる (21)controlled 制御された (22)powered flight 動力飛行 (23)aircraft 航空機

松丸さとみ

松丸さとみフリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に『限界を乗り超える最強の心身』( CCC メディアハウス)、『 FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』(サンマーク出版)などがある。
Blog:https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp