ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!
今回のニュース
日本政策投資銀行がESG(環境・社会・ガバナンス)分野への投資を最大80%増やして、融資を受ける企業が環境に優しい新技術を開発することを促していくようです。
DBJ to boost ESG funding by up to 80% to encourage companies to take action2021年6月02日に配信されました。政投銀のESG向け投融資、最大8割増 企業の対応促す
まずは聞いてみよう!
音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。
※ノーマルスピード(1倍速)の音声です
理解度をチェック!
ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。
Which of the following is true?(A) DBJ's decision was influenced by Japan's 2050 net zero target .
(B) DBJ has established its own hydrogen -based energy company.
(C) DBJ plans to invest 13 trillion yen in a new EV manufacturer .
詳細を聞き取ろう
今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。
スクリプト
DBJ to boost ESG funding by up to 80% to encourage companies to take action
The Development Bank of Japan (DBJ) will commit 5.5 trillion yen or roughly 40% of its total investment and lending over the next five years to environmental , social, and governance (ESG) funding . It will increase the funding by 50 to 80 percent compared to the current amount to encourage the companies it invests in or gives loans to to develop new green technologies such as hydrogen -based energy. Involvement in ESG activities will become even more important for borrowing companies as a condition for receiving funding .
It will be set out in the medium - term business plan for the five-year period from fiscal 2021 to 2025, which is to be announced on the 20th. It has made investment and lending to ESG pursuits one of its priority measures, and will establish a new funding quota. It will allocate about 40%, or 5.5 trillion yen, of the total 13 trillion yen for investment and financing over the next five years.
In response to the Japanese government's announcement of its target of reducing greenhouse gas emissions to net zero by 2050, it will encourage companies to develop and popularize environmental technologies such as hydrogen -based energy and electric vehicles (EVs). It will also support the transformation of business models in light of changes in the business environment.
It will provide funding for corporate restructuring to accommodate the changes in society after the novel coronavirus pandemic. By leading the initiative in providing risk money, DBJ hopes to provide an impetus to other financial institutions. DBJ is the top shareholder of airlines Airdo (Sapporo City) and Solaseed Air (Miyazaki City), which are planning to merge under a joint holding company, and is considering providing capital support to each carrier through preferred share purchase .
翻訳
日本政策投資銀行(DBJ)は 今後 5年間の投融資総額のうち約4割の5.5兆円をESG(環境・社会・ガバナンス)分野に充てる。従来実績に比べて5~8割程度増やし、投融資先の企業に水素エネルギーなどグリーン新技術の開発を促す。借り手側の企業にとってはESGに 取り組む ことが資金を受ける条件として一段と重要になる。
20日に発表する2021年度から25年度まで5年間の中期経営計画で打ち出す。重点 施策 としてESG分野への投融資を掲げ、新たに資金枠を設ける。 今後 5年の投融資総額13兆円のうち約4割の5.5兆円を充てる。
政府が50年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げているのに対応し、企業による水素エネルギーや電気自動車(EV)など環境技術の開発や普及を後押しする。経営環境の変化を踏まえた業態転換も支援する。
新型コロナウイルス後の社会の変化に対応する企業の再編にも資金を出す。政投銀がリスクマネーを率先して供給することで、ほかの金融機関の呼び水にしたい考え。DBJは共同持ち株会社方式での経営統合を検討する航空会社AIRDO(エア・ドゥ、札幌市)とソラシドエア(宮崎市)の筆頭株主で、それぞれに優先株引き受けによる資本支援の 実施 を検討している。
覚えておきたい単語リスト
ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がよいものをまとめました。1つずつ、意味を確認してください。
- roughly: およそ
- governance: 管理
- hydrogen -based: 水素を基にした
- set out : 打ち出す
- quota: 割当量
- allocate : 充てる
- popularize: 世に広める
- in light of : ~の観点から
- accommodate : 対応する
- impetus: 呼び水、刺激
- top shareholder: 筆頭株主
- joint holding company: 共同持ち株会社
- preferred: 優先の
ニュースのポイント
冒頭の文にある5.5 trillion yen or roughly 40% of its total investmentのorは、5.5 trillion yenをroughly 40% of its total investmentと言い換える働きです。次の文は構造がわかりにくいかも知れません。It will increase the funding by 50 to 80 percent compared to the current amount までで、現状と比べて50~80%資金を増やすことが述べられ、その後に to encourage the companies(企業に奨励する)と目的が述べられています。このthe companiesを説明するのが、it invests in or gives loans to までで、「政投銀が投資する企業、あるいは融資をする企業」ということになります。その次の to develop new green technologiesが奨励する内容を表しています。
第2段落では計画の詳細が述べられています。第1文の後半 which is to be announced on the 20thの部分は、その前のthe medium - term business の補足説明です。be動詞と to 不定詞を使って予定を表しています。 to 不定詞には「これから起こること」というニュアンスがあるために、be + to 不定詞で予定や義務、運命などを表すことになります。第2文では、investment and lending to ESG pursuitsが目的語でone of its priority measuresが補語です。ESGの追及への投融資を優先 施策 の一つにするということです。
第3段落第1文のthe Japanese government's announcement of its target という構造には慣れておきたいものです。この例のように、名詞の所有格の後に 動作 を表す名詞が続き、その後にofと 動作 の対象となる名詞が続いている場合、そこにthe Japanese government announced its target という関係が成立します。
第4段落は環境以外の分野への資金提供に関する内容です。
今週のキーワード
quota 割当量、ノルマ与える量としての「割当量」という意味でも、果たすべき義務としての「ノルマ」という意味でも使う単語です。割当量、ノルマを超えていれば over quota、下回っていれば below quotaと表現できます。
クイズの正解">クイズの正解
(A)
いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週月曜日の 更新 をお楽しみに!
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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE
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