「アリストテレス」「プラトン」「サルトル」は日本語読みで、英語圏では通じないことを知っていましたか?この連載「英語で学ぶ!世界のキーパーソン」(全3回)では、『英語で知りたい!世界のキーパーソン人名事典』(アルク)から、人名に潜む意外な日英ギャップにスポットを当てて紹介します。また、プロフィールやその人物に関するキーワードも英語で読んで教養を深めましょう!この記事で音声も聞けますので、ディクテーションにもぜひ挑戦してみてください。
「ジャンヌ・ダルク」って英語でなんて言う?
クイズ
中世ヨーロッパを代表する歴史上の人物として抜群の知名度と人気を誇るジャンヌ・ダルク。英語ではなんと言うでしょう?
知っていましたか?正解はこちら!
正解
Joan of Arc[d?oun ?v ???rk][ ジョ ウン アV ア ーK *1 ]
原語であるフランス語の「Jeanne d'Arc」に対し、英語圏では「Joan of Arc」という呼び方が浸透しています。日本語と英語でのギャップをぜひ押さえておきたい人名の一つです。
読み方は「 ジョ ウン アV ア ーK」に近いですが、ネイティブが実際に自然な速さで発音すると、「Joan」の「n」と「of」の「o」、「of」の「f」と「Arc」の「A」とがリエゾンでつながって、「 ジョ ウナ ヴァー K」と、まるで一語のように聞こえるはずです。
Joan of Arcは原語の「Jeanne」を「Joan」と英語化し、「d’(=de)」をそれに相当する英語の前置詞「of」と置き換えた形です。こうして見ると、日本語の「ジャンヌ・ダルク」には、原語のフランス語になるべく寄せようと努力する姿勢が感じられるというのは日本語話者の欲目でしょうか・・・。
それでは、ジャンヌ・ダルクに関する基本的な情報についても英語で押さえておきましょう。
ディクテーションで教養を深める!
ジャンヌ・ダルクのプロフィールの英語音声を聞いて、内容を書き取ってみましょう。
▼音声はこちら
Joan of Arc was a 15th century French teenager known for her courageous leadership .According to her testimony at a later 1.( ), at the age of 12, she saw visions of an angel and saints telling her to support the dauphin Charles to free France from England.
She led the French troops to free Orleans in the Hundred Years’ War, receiving the nickname “the Maid of Orleans.”
After she 2.( )( )( ) by the Burgundians, she was accused of heresy and burned to death.
In 1920, she 3.( ) ( ) as a Roman Catholic saint.
Joan of Arc has been a popular subject in arts and pop culture.
ジャンヌ・ダルクは15世紀フランスのティーンエージャーで、その勇気ある統率行動で知られる。空欄に入る語句後年行われた異端審問でのジャンヌの証言によると、彼女は12歳の時に天使と成人たちの幻視を得て、シャルル王太子を支えてフランスをイングランドから解放せよと伝えられたという。
百年戦争で、彼女は軍隊を率いてオルレアンを解放し、「オルレアンの乙女」という愛称をつけられた。
ブルゴーニュ人に捕虜にされた後、彼女は異教信仰の罪で告訴され、火あぶりにされた。
1920年、ジャンヌはカトリック教会の聖人として列聖された。
ジャンヌ・ダルクは芸術や大衆文化で人気の高い題材である。
inquisition (ここでは)異端審問 ※より広い「審問、審理」の意味もある
was held captive 捕虜にされた
was canonized 列聖された
宗教やキリスト教関係の言葉もいくつか登場しましたね。
・ heresy 異端、異教信仰
・ Roman Catholic カトリック教徒(の)、カトリックの
・ saint 聖人
・ be canonized 列聖される ※キリスト教徒が死後に「聖人」の地位を認められること
the Maid of Orleansの「Maid(=maid)」には「メイド服」や「メイド喫茶」でおなじみの「お手伝いさん、メイド」という意味もありますが、「若い女性、乙女」といった意味もあります。ここでは後者です。
「大衆文化、ポップ・カルチャー」を意味するpop cultureはpopular cultureの形でも使われます。ヌーベルヴァーグを代表する伝説的俳優ジーン・セバーグがジャンヌを演じた『聖女ジャンヌ・ダーク』や、ミラ・ジョボヴィッチ主演によるリュック・ベッソン監督作品『ジャンヌ・ダルク』といった映画をはじめ漫画やゲームに至るまで、ジャンヌ・ダルクはポップ・カルチャーの題材としても高い人気を誇る存在です。
より深く知る&語るためのキーワード
15世紀、イギリスとの百年戦争で劣勢に喘ぐフランスに彗星のごとく現れた救国の英雄として知られるジャンヌ・ダルクは、火刑に処され、10代で非業の最期を遂げた悲劇の英雄でもあります。そんなジャンヌと関連する情報として英語で押さえておきたいキーワードを紹介します。
・ Charles VII シャルル7世
上のジャンヌのプロフィールに登場する「the dauphin Charles」と同一人物です。dauphinは「王太子」の意です。かつてフランス王国で王位継承権第一位にある人物に対して使われた称号です。ジャンヌが啓示によって忠誠を誓った人物です。Charlesはフランス語のつづりもCharlesですが、英語圏では一般的に「t????rlz」( チャ ーLZ)と英語読みされます。
・ Burgundian ブルゴーニュ人(の)
上のプロフィールでジャンヌたちと敵対していたフランス国内の勢力を指す言葉としてthe Burgundians の形で登場しました。Burgundy(ブルゴーニュ)はワインの名産地としても有名ですね。burgundyの形で「ワイン色、バーガンディー」という色の名前としても使われます。
・ the Hundred Years' War 百年戦争
フランスの王位をめぐり、14世紀から15世紀にかけてフランスとイギリスの間で起きた一連の戦争です。
古今東西の重要人物を知って、教養も話題も広げよう
この連載は、『英語で知りたい!世界のキーパーソン人名事典』(アルク)の一部の内容を再構成したものです。
本書では、「文化・芸術」「歴史」などのジャンル別に、古代~現代に至るまで、365人もの人物を紹介しています。
毎日1人ずつ、気になった人物について学ぶのも楽しいですね。【紹介している人物の例】
・カール・マルクス(「経済学・社会学・経営学」)
・ジョン・メイナード・ケインズ(「経済学・社会学・経営学」)
・シモーヌ・ド・ボーヴォワール(「哲学」)
・スティーヴン・ホーキング(「サイエンス」)
・ジェイムズ・ジョイス(「文学」)
・ペレ(「スポーツ」)
・デビッド・ボウイ(「ポピュラー音楽」)
好きな人物やニュースの主役たちについて話せるようになれば、話題が広がり、英語でのコミュニケーションも盛り上がりますよね。
本書の中でさまざまな人物との出会いを楽しみながら、新しい語彙や知識を増やしてみませんか?
ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部 「英語を学び、英語で学ぶ」学習情報誌『ENGLISH JOURNAL』が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!
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