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「知ったかぶり」はご法度?ビジネスでよく耳にするカタカナ英語

英会話力UP

ビジネスの現場で飛び交うカタカナ英語の意味がわからず、うまく会話できなかったなんて経験を持つ人もいるのではないでしょうか?なんとなく文脈で意味は理解できても、本来の英語の意味と日本で使われている意味が異なったり、実は和製英語だったりと、思わぬ落とし穴が潜んでいます。GEやモルガン・スタンレーなどの外資系企業に人事部長として25年在籍した経験を持つ鈴木美加子さんが、覚えておきたいビジネス英単語について教えます。

帰国子女や英語ネイティブが多い外資系企業では特に、日本語で会話していたとしても、いわゆる「カタカナ英語」が頻繁に登場します。しかし、英語の本来の意味を理解せず、なんとなく文脈から類推して「カタカナ」のまま使っていると、変な文脈で用いてしまったり、相手の言っている意味がわからなくなってしまったりします。ビジネストークをスムーズにするためにも、今回は知っておきたい「カタカナ英語」に着目して学んでいきましょう。

どれくらい理解できる?ビジネスでよく耳にするカタカナ英語

アジェンダ

「会議の前にアジェンダを資料として配布しておいてください。」

英語の“agenda”から来ている「アジェンダ」は、「議題」「協議事項」「予定表」といった意味があります。ラテン語の「agenda(なすべきこと)」に由来しており、「代理人」を意味する“agent”と共通の語源を持つ言葉です。会議や打ち合わせで話すこと、決定すべきことなどをリスト化したものとして、ビジネスシーンで頻繁に耳にします。

ブルーオーシャン

「オンライン英語学校の競争は激化する一方です。この部署の役割は新たなブルーオーシャンを探すことなので、3カ月の間、精力を傾けてください。」

ブルーオーシャンはマーケティング用語で、競争相手のいない未開拓市場のことです。競争がないので「穏やかな青い海」のような市場だということです。今まで誰も考えつかなかった新しいビジネスはブルーオーシャンの領域で、もうかりそうだと競争相手が入りこむと、あっという間にブルーオーシャンではなくなり、「血の海」であるレッドオーシャンになります。

“blue”をきちんと発音すれば英語でも通じますが、営業やマーケティングから遠い部署の方、非営利団体に所属している方などに時々通じないことがあります。

ローンチ

「来月新製品のローンチなので、マーケティング部門はここのところ忙しい。」

日本語では「ローンチ=新製品の発売」のように使用されることが多いですが、英語の“launch”の場合には幾つかの意味があり、前後の文脈をよく理解しておきたいところです。例えば、“The US government plans to launch another space shuttle.”であれば、「米国政府は再びスペースシャトルを打ち上げる予定です」という意味になります。さらに、“He launched himself on a political career”のように人に対して用いれば、「彼は政治家になるべく歩み出しました」という意味になります。

さらに、“launch”は動詞としても名詞としても使えるので、英語で使うときには注意が必要です。名詞の場合は加算名詞だということも覚えておきましょう。

外国人には通じない和製カタカナ英語・・・正しい表現は?

サラリーマン

日本語での使用例:「私の父はサラリーマンです。」

英語での使用例: My father is an office worker.

サラリーマンは、salaried(給与を払われている)とman(男)が合体した和製英語で、英語圏の人には通じません。

“salary”は、古代ローマ時代に塩を買うために兵士や役人らに与えられた給付金である“salarium”に由来するとされています。「サラリーマン」と言うと男性のイメージが強く、女性を指す単語としては「OL(office lady)」が使われていた時代もありましたが、今では日本語であってもどちらも死語に近づいてきています。英語では“office worker”が一般的な言い方です。

ベテラン

日本語での使用例 :「ベテラン社員を雇用することは、組織にいい影響を与えます」

英語での使用例 : Hiring seasoned workers can make a positive impact on your organization.

日本語では、ある特定の領域や分野において、豊富な経験と知識を持っている人を指す「ベテラン」ですが、英語では主に退役軍人などの兵役経験者のことを指します。英語で「ベテラン」の意味を伝えるのによく用いられるのは、“seasoned”や“expert”などの言葉です。

サービス

日本語での使用例 :「今ならA製品3個お買い上げで、1個がサービスで付いてきます。」

英語での使用例 : If you purchase three A products, you can get one extra free of charge.

英語の“service”は「仕える」「給仕をする」という意味を持つ“serve”の名詞形です。また、この“serve”はラテン語の”servus”=奴隷を語源としています。

日本語の「サービス」は「無料」であることを指すことが多いですが、英語の“service”には、点検、奉仕、勤務、業務、接客、兵役などさまざまな意味合いがあります。英語で話しているときにうっかり使ってしまうと、無料なのか有料なのかでもめる可能性も出てきます。英語の“service”は基本的には無料という意味ではないのでご注意ください。

海外で流行中のビジネス英語表現

ASAP
Please let us know the details ASAP.

(早急に詳細をお知らせください。)

“ASAP”は“as soon as possible”の頭文字を取った略語で、「できるだけ早く」という意味です。あえて略語のまま日本語にするならば「なる早で」といった感じでしょうか?英文のビジネスメールやチャットなどでも頻繁に使われています。”A.S.A.P.”とドットを付けたり、”asap”と小文字で表記する場合もありますが、意味は同じです。

core competency

英語での使用例 :We plan to leverage our core competencies to gain market share.

(コア・コンピテンシーをテコに、マーケット・シェアを上げる計画です。)

“competency”は、アメリカ発祥の人事マネジメント・人材評価の概念で、「高い業績を出す人材に共通する行動特性」を意味しています。“core competency”とそれに「コア」がつくと、対象が個人ではなく組織になり、他社に負けない「核」となる特徴・技術を意味するようになります。

つまり、企業に高い成果をもたらす個人の特性を“competency”、組織が顧客や社会に対して提供できる独自の力を“core competency”と呼びます。

実例としては富士フイルムの化粧品業界への進出です。カメラのフィルムを製造するにあたって求められる、マイクロレベルでの精密技術や、フィルムに用いる高純度かつ高品質なコラーゲンを独自に生み出す技術など、自社のコア・コンピテンシーを生かして異業種に進出して成功しています。

deep dive

Amazon’s dive deep Leaders operate at all levels, stay connected to the details, audit frequently, and are skeptical when metrics and anecdote differ.

(リーダーは常にすべての業務に気を配り、詳細な点についても把握します。頻繁に現状を確認し、指標と個別の事例が合致していないときには疑問を呈します。)

GAFAの一角であるAmazonが社員全員に求める、“Our Leadership Principles”の14の項目の一つに「dive deep(深く掘り下げる)」があり、そこから“deep dive”という言い回しも広く使われるようになりました。

“deep”がついているので表面だけで満足せず、物事を必要に応じてきちんと「深く掘り下げる」という意味で使われます。名詞であれば“deep dive”、動詞であれば“dive deep”です。

「知ったかぶり」はご法度

ここまで、日本人が間違えやすいカタカナ英語やビジネスの現場での流行り言葉について解説してきましたが、こうして改めて眺めると日英で意味がまったく変わってしまうフレーズがとても多いことに驚きます。なんとなくの理解で「知ったかぶり」をしていると、思わぬ失敗をしてしまうことも。

これは私が外資系の職場で勤め始めたばかりの頃の話です。少し離れたビルで働いている方から「ケアオブで送ってね」と言われたのですが、当時の私にはそれがなんのことかわかりませんでした。そのときは質問する勇気もなく、“Care of Toho No.2 building”と書いて社内便で送ったのですが、その後、先輩から大笑いで電話がかかってきました。「c/oって書くの。手紙のあて名などに使う表現で、~様方とか、~気付って意味よ。わからないことはきちんと聞いた方がいいわ」と言われたのを今でもよく覚えています。

本当にその通りです。ネイティブ・スピーカーではないですし、知らないことがあるのは当然です。そんなときに肝心なのは、よく知らない単語に遭遇したら、「その単語の意味を教えてください」と率直に聞けるアサーティブネスの力です。カタカナ英語で失敗しないために、普段からわからないことは率直に聞く癖を付けておきましょう。

鈴木美加子『英文履歴書の書き方・英語面接の受け方』

この本の特徴は、想定質問と答えがセットで掲載されているほかに、候補者が「何か質問はありますか」と聞かれたときに使える質問集、それに対する面接官の答えで企業文化をどう判断できるかが書かれているところです。また英文履歴書のパートでは、悪い例の解説から入り、修正を入れた後の良い例が9例掲載されています。「なぜ悪いのか」がわかるので、部署に関係なく応用できるはずです。

 

鈴木美加子

鈴木美加子(株)AT Globe代表取締役。 GE、モルガン・スタンレーなど外資出身の元・人事部長。外資への転職エキスパート。 TOEIC 960点・英検1級。
グローバル人材を育成するオンラインサロン:https://bit.ly/2UuA5n1
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