論理的な会話のコツを身に付ける練習問題に挑戦!「このリポートどう思う?」って聞かれたら?

アウトプット力を強化する本シリーズ。今回はスピーキングの練習問題に挑戦してみましょう。Vol. 1~5で学んだ基本概念を基にした簡単な問題から、少しチャレンジングにした練習問題までご用意したので、一つずつ丁寧に取り組んでみてください。

前回の記事はこちら!

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練習問題でアウトプット力を鍛える

練習問題は、次のステップで挑戦してみましょう。

トライ

    1. 自分の声を録音する機器(スマートフォンなど)を準備する
    1. ヒントを見ずに質問を読み、5秒間、内容を考える
    1. 考えた内容を、まずは日本語で言って録音する
    1. その内容を英語で言って録音する
    1. ヒントを読んで5秒考えてから、英語で言って録音する

レビュー

録音した自分の英語を聞いてみる
(「文になっているか」「英語的な組み立てになっているか」「全体として説得力があるか」をチェックする)

再トライ

もう一度、自分のスピーキング内容を改善して、録音して聞いてみる

練習問題 1

次の状況で、ポイントとサポート一つを使った15秒前後の簡単な英文を作ってみましょう。

(1)“What do you think about this report? Is it good?”(このリポートどう思う?よいと思いますか?)と聞かれたら、どう答えますか?
ヒント: 詳細説明のサポートが使えます。例えば「いいリポートだ」と言い切って、どのようにいいのかを少し説明してみましょう。

(2)“What do you do to relieve stress?”(ストレスを減らすために、何をしていますか?)と聞かれたら、どう答えますか?
ヒント: 具体例のサポートが使えます。「いろいろやっているよ」と言い切ってから、具体例を挙げてみましょう。

「サポート」について詳しくはこちらの記事を参照。

練習問題 2

次の状況で、ポイントと二つのサポートを組み合わせて30秒程度の英語で答えてみましょう。

同僚から「このリポートをさらによくするアイデアはないか」と聞かれたので、何かアドバイスをしてあげてください。

ヒント: PREPが使えます。「こうしてみたら」という内容を言って、その理由のサポートを入れてから、具体的なやり方を教えてあげましょう。

「PREP」について詳しくはこちらの記事を参照

練習問題 3

次の状況で、butを使って「確かに・・・。だけど・・・」の形の英文を作って言ってみましょう。

部下に「今日、残業してくれないか」と頼むときに、納得して残業してもらえるような頼み方を、30秒程度の英文で言ってみましょう。
ヒント: 相手に負荷のあることを頼むときは、「悪いんだけど」と断りを入れてから、butで本題の「本当に言いたいこと(この場合は残業の依頼)」を強調します。もちろん、その後ろに理由を付けることをお忘れなく。

「butの使い方」について詳しくはこちらの記事を参照。

練習問題 4

次の状況で、「よい点」を認めてから「マイナス点」を指摘するフィードバックをしてみましょう。

Johnさんのリポートを見て、「このリポートは長過ぎるので、忙しい人は読めないかも」と思いました。どう言って改善してもらいますか?相手が納得してやる気になるような内容で、1分程度で言ってみましょう。
ヒント: まず名前を呼んで、やってくれたことの「よい点」を挙げます。それから、改善した方がよい点を述べましょう。そのやり方もアドバイスできればさらにいいですね。転換のときには、butではなくほかの言い方をしてみましょう。

「フィードバックの仕方」について詳しくはこちらの記事を参照。

解答例・解説

練習問題 1

(1)This is a good report. Very concise and clear.
(これはよいリポートだね。とても簡潔明瞭だよ)

解説: goodという曖昧な意味を、少し詳しく説明しました。

(2)There are several things I do to relieve stress. One of them is yoga.
(ストレスを解消するために私はいくつかのことをしています。その一つはヨガです)

解説: ポイントの作り方の一つで、「いくつかある」と言ってから例を出す方法があります。for exampleでもいいですが、ここではその代わりにone of themを使っています。これも旗印表現の一種ですね。

練習問題 2

You may want to use more visual charts in your report. It is important that the significance of the data is clearly shown. For instance, how about using a pie chart here?
(リポートにもっと視覚的なグラフを使った方がいいんじゃないかな。データの意味がクリアにわかるのが大事だからさ。例えば、ここに円グラフを使ってみたら?)

解説: まずyou may want to...とアドバイスしてから、it is important that ...で「・・・であることは重要なので」と理由を言って、その具体的なやり方を一つ挙げています。仕事でアドバイスをするときにはPREPが使えます。具体例では「やり方」を教えてあげればいいと思うと、話しやすくなるだけでなく相手にも喜ばれます。

練習問題 3

I hate to have to ask you this, but do you think you can work overtime today?
It turns out that we need to set up the new equipment tonight.
(本当に悪いんだけど、今日、残業してもらえるかな?実は、新しい機材を今晩セットアップしなきゃならなくなったんだよ)

解説: まず「悪いんだけど」と断りを入れます。いろいろな言い方がありますが、ここでは急に残業をしてもらうという少し重めの依頼なので、「頼まなくてはならないのが心苦しい」という意味の丁寧な表現を使っています。その後に、butを使って依頼をします。丁寧な言い方である“Do you think you can ~?”を使っていますね。その後で、きちんと理由を言っています。It turns out that ...は、「・・・の状況になってしまった」という意味で、自分の意思ではなく「状況がそうなってしまった」というときに使えます。

練習問題 4

John, I can see you worked very hard on this report. Your analysis is very thorough, and you have lots of good data.

The only thing is: I think it needs to be a little more concise. It’s very important that everybody can see and understand your analysis and your conclusions very quickly and easily, because people are often too busy to read long reports.

For example, how about using more visual charts? You might also include some of the data as attachments.

(ジョンさん、このリポートをとても頑張ったのがわかりますよ。分析も丁寧だし、素晴らしいデータもたくさん入っているよね。

ただ一点、もう少し簡潔にする必要があると思うな。みんな、忙しくて長いリポートを読めないことが多いから、誰もがあなたの分析と結論をパッと見て簡単にわかるようでないと。例えば、視覚的なグラフをもっと使ってみたら? 一部のデータは添付ファイルにすることもできるよね)

解説: まずは、頑張ってくれた努力と、具体的なリポートのよい点をしっかりと認めています。問題指摘に入るときの言い方がbut ではなくて、プラス面が消えない“The only thing is ...”という転換の旗印表現を使って、インパクトを弱めています。実際の問題の指摘は、“Your report is too long.”ではなく、「どうしてほしいのか」を言っています。このように未来志向でコミュニケーションをした方が、目的が見えて改善しやすいですね。また、too longとダイレクトに言うと、かなり相手を非難する響きになってしまいます。

次に理由を述べています。“It’s very important that ...”は、高圧的ではないが「絶対に外せない」というニュアンスを含んだ少し厳しめの、便利な表現です。日本語では理由の、“people are often too busy to read a long report” の方から説明を始めて、“so it is very important that ...”と言ってしまうところですが、解答例は基本形をしっかりと踏襲していますね。最後は、やり方として二つ例を挙げています。問題指摘の部分は、PREPの形になっていたことを確認してください。

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国井信一/橋本敬子(くにい しんいち/はしもと けいこ)
国井信一/橋本敬子(くにい しんいち/はしもと けいこ)

1990年代にワシントンD.C.で同時通訳。2001年に英語・コミュニケーション力研修を提供するK/Hコミュニケーションズ株式会社を設立、現在に至る。厳しいが、きちんと成果が出るノウハウを開発し、大手企業のクライアントを中心に、現在までに受講者数は約2万人。ご質問やコメントはsupport@kh-system.comまで。

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