問題なく英語を読めたり聞けたりしても、話したり書いたりするときには困ってしまう、という人は多いのではないでしょうか。そんな人のために、英語の瞬発力を鍛えて自分の意見をロジカルにアウトプットできるようになる方法をご紹介します。ポイントをつかんで、あなたの英語をワンランクアップさせましょう。
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TOEIC中上級レベルの課題への対策
英語の説明の仕組みを理解する
次は、TOEIC800~990点の中上級者の課題である、パラグラフ単位のスピーキング力の訓練に入りましょう。
中上級者のスピーキング力の大きな課題は、「どこから、どのように説明していいかがわからない。途中で自分が何を説明しているのか全体像を見失ってしまい、混乱して尻切れとんぼの説明で終わってしまう。文がめちゃくちゃになる」というものでした。
一般的な英語の話のロジックには特徴があり、英語的なロジックのエッセンス(要素)を三つ押さえれば、相手にわかりやすく話せて、自分も話している最中に混乱しなくなります。
ここで一点だけお断りしておくと、このロジックは「言われてみれば当たり前と思ってしまうぐらい簡単なこと」ですが、応用範囲が極めて広く、「実際にそれができるようになる」にはかなりの練習が必要です。
ロジックのエッセンス1:「何か言ったら」、必ず後ろで「それを説明」する
英語のコミュニケーションでは、「何か言ったら、次にその説明が来る」というスタイルが基本です。その説明のことを、英語では「サポート」と言います。
例えば「このサプライヤーについて、どう思う?」と聞かれた場合、“This company is a good supplier.” と言っただけで答えた気になってはいけません。どのようにgood なのか、そのサポート情報を必ず付けるぞ!と意識しましょう。「くどいと思われるかな」と思っても、詳しく自分の考えを説明してみます。
例えば、“They are very reliable and professional. We’ve never had a problem with them in all the years we’ve been using them.”(彼らは非常に信頼性が高く、プロフェッショナルです。これまで何年も使っていて一度も問題はありませんでした)などと説明を加えてみましょう。
そうすると、英語としても自然で、1文だけで終わらずに長めに話せるスピーキング力が身に付けられます。
上記の答え方を詳しく見るとわかることですが、まずはa good supplierというポイント(結論として言いたいこと)を言ってから、“They are very reliable and professional.”と「現在形」でその会社のよさを述べています。現在形なので、「その会社はそういうものだ」という特徴や習慣を表しているわけです。
次に、“We’ve never had a problem with ...”と「完了形」で説明して、 [具体的な経験や事実を「証拠となるデータ」として提示しています。goodなどの「大きな概念」をポイントとして述べて、その概念を「少し詳しく説明した特徴」を現在形で言って、次に「証拠」として具体例を完了形や過去形で出す、という英語のコミュニケーションの典型的な説明パターンです。
まとめると、覚えておきたいのは「何か言ったら必ず、その後でそれを詳しく説明しなくてはいけない」という感覚を付けること。これが第一です。
そして英語では初めに「結論的な発言」が来ます。背景から説明する日本語的な癖は簡単には抜けないので、私たちにはなかなかすぐにはできません。意識して練習しても6カ月はかかるように思います。
結論を初めに言えるようになるコツ
では、結論から話せるようになるコツをいくつかご紹介しましょう。一つのトピックで、下の練習をします。
1. なんでもいいから思い付いたことを言う。
2. 言った文に関してサポート(詳しく説明したり、理由を言ったりすること)を 入れる。soで続けないこと!
3. 「言いたいこと」を新たに言う。
4. 同じようにその文についてのサポートを入れる。
このサイクルを繰り返す練習をして、「意識の進む方向」を矯正しましょう。それに慣れてきたら、
5. 徐々に、本当に結論として言いたいポイントを探す感覚にしていく。少しずつそこに近づけていく感覚で大丈夫!
一つのヒントとしては、英語では「抽象的・概念的なこと」をポイントとして言い放ってしまってもいいんだ!という楽な気持ちを持つことでしょうか。その後ろのサポートでポイントを詳しく定義することで、言ってしまったポイントを微調整していけるからです。
例えば、“I think your suggested approach is a great idea.” と抽象的な結論を言ってしまっても、次の詳しい説明で“I am not saying it will resolve all the issues we have, but I am sure it will resolve most of them, especially the critical ones. For example ...”と言うことで、ポイントを調整できます。これが、英語で「ポイント―サポート」の順で話すことの利点でもあります。
日本語ではポイントが最後に来るので、 先にポイントを言ったら、もうその後では基本的に調整しない感覚ですよね。そのため、「結論を初めに言え」と言われると、「いろいろと説明しないと誤解を受けるかも」と考えてしまいがちですが、英語ではその点ズバッと言うことができます。「その後の説明とセットで一つのパッケージ」だと思ってみんな聞いているので、大丈夫なんですね。皆さんにもこの安心感があると、ポイントも言いやすくなるのではと思います。
サポートを戦略的に組み合わせる
最初にポイントが言えれば、あとはそれを相手にわかってもらうためのサポートをどう工夫するかが問題となります。サポートは、大きく三つのグループに分けられます。
1. ポイントを単に詳しく説明するサポート(詳細説明、具体例)
2. ポイントが本当にそうだと言えることを論証するサポート(理由・根拠・原因、メリット・デメリット)
3. ポイントが自分や相手に「どんな意味合い」があるかを説明するサポート(自分にとって、相手にとって、ほかの人たちにとっての価値や重み付け)
英語圏の話し方では、戦略的に複数のサポートを組み合わせて、説得力を強化します。組み合わせのタイプとして代表的な二つをまずは覚えておくといいでしょう。
一つ目は、「ポイント―詳細説明―具体例」です。これはポイントを説明して、聞き手にイメージを湧かせようとするときに使います。
二つ目は、英語のコミュニケーションでも有名な「ポイント―理由―具体例―ポイント」です。英語の世界では、PREPと呼ばれています。Point -Reason-Example-Pointの頭文字を取ったもので、「なぜそうなのか」納得してもらうときによく使われます。
例えば、職場でのスモールトーク(雑談)で、“Are you enjoying your work?”(仕事は面白い?)と聞かれたとして、次のように答えるときに使います。
PREPの例
(P) I am enjoying my work,
(R) because it gives me a lot of opportunity to learn new things and to meet new people.
(E) For example , my work took me to China where I worked for three years. I learned so much from that experience.
(P) So , I am enjoying my work very much.
これは内容が簡単なので、終わりのポイント部分はなくても問題ないと思いますし、ない方が自然かもしれません。理由(R)のto learn new thingsやto meet new peopleは、何を学んでどんな人たちに会ったのかの具体例も入れると、さらにわかりやすくイメージを湧かせながら聞いてもらえるようになります。
「ロジックの旗印表現」を活用する
あと一つ覚えておくと便利なのは、K/Hシステムで「ロジックの旗印表現」と呼んでいるものです。サポートの種類を示す旗印的な表現のことで、ポイントからサポートに移行するときに、これが使えるようになると相手にわかりやすい話し方になります。
PREPの例で見ると、太字になっているbecause、for example、soがそれに当たります。ほんの一例を挙げると、
詳細を言うとき→ I mean
具体例を出すとき→ for example
具体的なエピソードを出すとき→ I remember
理由(原因を述べるとき→ because
理由(メリット)を述べるとき→ so that
意味合いを述べるとき→ That’s important for ~
言いたい点を述べて話を締めるとき→ so
このような旗印表現を集めることをおすすめします。
旗印表現を使うことを意識すると、話が組み立てやすくなります。旗印表現によって考える視点ができるので、サポートの内容を考えやすくなり、情報整理もしやすく、説得力も高くなります。プレゼンの準備には大いに役立つと思います。また、知っている旗印表現をとにかく口に出して、その後でその線に沿ってサポートの内容を考えて話すという「火事場のばか力」的スピーキングも、案外うまくいく便利なテクニックです。
Point 4
何か言ったら、必ずそのサポートを入れる癖を付けましょう。
一言で終わっていませんか?一言言った後に、soと言って話を続けていませんか?
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