英語の文がどんどん出て来る!TOEIC 500~800点レベルの人向けの話すトレーニング

問題なく英語を読めたり聞けたりしても、話したり書いたりするときには困ってしまう、という人は多いのではないでしょうか。そんな人のために、英語の瞬発力を鍛えて自分の意見をロジカルにアウトプットできるようになる方法をご紹介します。ポイントをつかんで、あなたの英語をワンランクアップさせましょう。

前回の記事はこちら!

TOEIC 初中級レベルの課題への対策

「短文しゃべり」練習

初中級レベルで「文がきちんと作れない」課題を持つ参加者は、私たちの研修では「短文しゃべり」練習を一緒に行います。中上級レベルの受講者にも大いに力が付く練習方法でもあります。

日本語的感覚で英語を話すと、どうしても一つの文が長くなりがちです。『源氏物語』の文のように修飾や挿入が入って「文がうねる」ので複雑になります。特に、TOEIC 500~800点レベルでは、その傾向がよく見られます。この日本語的感覚から抜け出さないと、うまく英語が話せません。

やり方は簡単です。英語は「主語+述語動詞(+目的語)」で最低限の文ができます。その後ろに修飾句(前置詞+名詞)や修飾節(接続詞+節、または関係詞+節)で情報が足されるのですが、最低限「主語+述語動詞(+目的語)」だけあれば文としては完成します。

だからまずは、言いたい情報をできる限り短い文に分解して、たくさんの文を作って話す練習をします。英語として少し不自然だったとしても、相手に情報がきちんと伝わればビジネスとしては十分ですし、実は、英語は日本語と違って、短文が続いたとしてもそれほど不自然ではありません。

例えば、90年代のアメリカの大統領候補であった実業家のロス・ペロー氏は、短文しゃべりで有名でした。それでもメッセージはクリアで、情報もきちんと伝わるんですね。

具体的なやり方を「日本の労働組合の仕組み」を例に説明しましょう。日本語的感覚で説明すると、「労働組合は、労働者を代表して経営側と賃金その他諸条件について団体交渉をする組織で、日本の労働組合運動は、企業、産業、国レベルの三つのレベルで、労働者のためにそれぞれ固有の役割を果たしています」のようになります。

これをそのまま英語で話すには、かなりレベルの高い英語力がないと難しいんですね。初めはこのような文章を英語で話すことは狙わない方が、英語力強化には効率がいいようです。

TOEIC 500 ~ 800 点の初中級レベルの人が、話すときに初めから狙ってはいけない、少し複雑な作りの英文

A trade union is an organization that represents workers to negotiate wages and other working conditions with their employers through collective bargaining. The Japanese trade union movement is structured on enterprise-, industrial- and national-levels, and union organizations at different levels play different roles and functions in serving workers.(2文)

トレーニングでは、まずこれとほぼ同じ内容を「短文で話す」練習をします。

具体には、日本語で短文をできるだけ多く作るゲームをします。

45秒間で10文以上作れればまず合格です。コツをつかむと、15文以上を作る人もいます。

「短文しゃべり」練習例(日本語)

労働組合の話をします。組合は組織です。労働者のための組織です。組合は交渉します。経営側と交渉します。賃金、その他の条件について交渉します。次に、労働組合運動について話します。三つのレベルがあります。一つ目が企業レベルです。二つ目が産業レベル。三つ目が国レベルです。それぞれに役割があります。すべてが労働者のために仕事をします。(13文)

次は、英語で挑戦します。英語なので1分ぐらいで作ってみましょう。日本語にとらわれず、「主語+述語動詞(+目的語)」で文の形にすればOKなので、できるだけたくさんの文を作りましょう。

「短文しゃべり」練習例(英語)

Let me talk about trade unions. A trade union is an organization. It is for workers. The union negotiates with the management. They negotiate on] wages and other conditions. Let me turn to the Japanese trade union movement. It has three levels. One is the enterprise- level. Another is the industrial-level. The other is the national-level. They play different roles. However, they all serve workers. (12文)

このように、「主語+述語動詞(+目的語)」だけの短文で素早く話す練習をします。日本語で考えているときには重複的になっているメッセージを分解して、単純なメッセージにして一つ一つ話す感覚です。

そうすると、話せる内容も範囲も広がり、スピードもアップします。同じテーマで1分間の「短文しゃべり」練習を5回ぐらい繰り返して短文作りに慣れてきたら、次の段階として「関係詞の節」は別の短文だと考えて個数に数えていい、というルールでやってみると、短文と関係詞の節がどうつながるかの感覚がわかってきます。

これができるようになると、「短文や関係詞節」だけで作るのが面倒くさくなってきて、せっかく作った「短文」なのだから、それを生かして後ろに句や節で情報を足していきたくなってきます。その方がいちいち短文を作るよりも楽だからです。そう感じ始めたら、その衝動に従って、句や節を足してみてください。

K/Hシステムの研修では、このような練習をいろいろなテーマ(約15テーマ)で行います。短文も長文も自然と作れるようになります。ただし、日本語で生活しているとまた日本語的な感覚に戻ってしまいますから、そのときにはまた「短文しゃべり」練習から「関係詞節」「句と節」を足していくという練習サイクルを繰り返すと、英語的な発想で素早く英文を組み立てられる感覚に戻ります。

Point 3

文の骨格(主語+述語動詞[+目的語])を連続して素早く何文も作れる力を付けましょう。
短い英語の文を1分で10文以上作れますか?

いくつかのテーマでこのような練習を繰り返していくと、英文の作り方が徐々につかめてきて、ある程度わかっている内容ならば初めて話す場合であったとしても、より速く、しかも文法的にも構文的にも正確な英語で話せるようになっていきます。

国井信一/橋本敬子(くにい しんいち/はしもと けいこ)
国井信一/橋本敬子(くにい しんいち/はしもと けいこ)

1990年代にワシントンD.C.で同時通訳。2001年に英語・コミュニケーション力研修を提供するK/Hコミュニケーションズ株式会社を設立、現在に至る。厳しいが、きちんと成果が出るノウハウを開発し、大手企業のクライアントを中心に、現在までに受講者数は約2万人。ご質問やコメントはsupport@kh-system.comまで。

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