問題なく英語を読めたり聞けたりしても、話したり書いたりするときには困ってしまう、という人は多いのではないでしょうか。そんな人のために、英語の瞬発力を鍛えて自分の意見をロジカルにアウトプットできるようになる方法をご紹介します。ポイントをつかんで、あなたの英語をワンランクアップさせましょう。
英語の瞬発力を鍛える方法
アウトプット力や瞬発力を鍛える方法について、実践型の英語コミュニケーション力養成プログラムで日米両国にデザイン20年を超える実績を持つ「K/Hシステム」を基にご紹介します。ビジネスの場面を想定して解説を進めますが、日常会話に使えるポイントもたくさんあります。具体的なアウトプット力強化のプロセスを、一緒に体験しながら学びましょう。
K/Hシステムとは?
日米両国の公開セミナー、企業内研修で教えてきた講師陣が、実際の経験を通して積み上げた分析を基に方法論を開発・体系化してきた、現場に根差した学習プログラム。1996年にアメリカで駐在員のための英語学習法セミナーとしてスタート。日本人ビジネスパーソンの苦労を一つ一つ理解し、日本人特有の落とし穴や壁を乗り越えるためのステップを、プログラムに落とし込んでいる。今までにK/Hシステムの研修を受講した人は2万人を超える。
速く正確に文を作る練習の方法
1.話したい内容を本当にわかっていますか?
早速ですが、ある公的機関の研修で、「日本の労働組合の仕組み」を英語で説明する訓練をしていると想像してください。もちろん、これについて日本語なら楽に話せるということが前提です。参加者は、人事関係、政府機関、労働組合の若手リーダーの方々なので、この点は問題ありません。
皆さんはどうですか?たぶん難しいですよね。実は、英語で話すときに突き当たる初めの壁がこれです。あまりよくわかっていない内容を英語で話そうとして苦労していることって、ありませんか?よくわかっていない内容を英語で話すのはそもそも無理だということを、まずは皆さんにお伝えしたいと思います。
「内容がよくわかっていなければ英語は話せない」という、当たり前だけど重要な事実を認識していましたか?「内容の十分な理解なしに、後先考えずに英語を話す練習」などしようとしていませんか?英語の説明力・コミュニケーション力の強化を目指すなら、最初にやるべきことは、話す内容についてしっかり理解しておくことです。
では、「しっかり理解する」とはどういうことでしょうか?英語で話す練習をする前の下地作りとして、最も効果的だと考える「しっかり理解する訓練方法」を紹介します。手順は次のとおりです。
1. トピックに関する資料を読んで、自分なりに整理して理解しましょう。ただし、重要なのは、それだけで終わらないことです。
2. それを一定の時間(例えば3分)で日本語で話せるように、3回程度話す練習をします。
3. それを2分30秒以内、2分以内、1分以内と時間を短縮して、話す練習をします。
この訓練の効果は内容を覚えるだけではなく、その本質が何で、その付加情報が何なのかが、肌身でわかってくることです。K/Hシステムでは、この訓練を「日本語での伸縮スピーキング練習」と呼んでいます。これができるようになれば、内容は完璧に頭に入っているので、英語を話す訓練に意識を集中できます。
Point 1
英語で話す内容を、まずはよく理解しましょう。自分のよく使う自然な日本語で、それも伸縮自在に説明できますか?
2. 話したい内容のキー表現は知っていて、使えますか?
日本語で「伸縮スピーキング練習」をした皆さんは、内容の理解の点では大丈夫になりました。次のステップは、この内容を語るために必要最低限の英単語・表現を、テキストなどから「仕入れておく」ことです。「仕入れておく」とは、ここでは「その表現が、サッと口から出るようにする」という意味です。日常生活のことを話すならば話は別ですが、ビジネスの会話では、分野ごとに専門的な用語が必ずあります。
ここでは「日本の労働組合の仕組み」を英語で語るわけですから、それに必要な語句を仕入れます。例えば、a trade union movement(労働組合運動)、an enterprise-based union(企業別組合)、an industrial federation(産業別連合会)、collective bargaining(団体交渉)、employers(使用者)、roles and functions(役割と機能)などの表現を「リスト化」しておいて、そのリストを使って、日本語を見たらすぐに口から英語が出るように練習します。
単語単体ではなくフレーズのセットを一単語のようにしてリストにするのがおすすめです。例えば、to conduct collective bargaining(団体交渉する)、to negotiate with the management(経営側と交渉する)などです。これは、同時通訳者もやっているテーマ別の語句・表現リストの作り方です。
スピードの目安は、1分で10個以上の語句がサッと口から出るかどうかです。この作業は当たり前過ぎてやらない人が多いのですが、本当に話せるようになりたければ、このちょっとした練習は重要です。これをK/Hシステムでは、「早繰り口回し練習」と言っています。
Point 2
話す内容の英語のキー表現に慣れましょう。
英語・日本語の語句リストを作り、日本語を見て、すぐに英語で言えますか?1分で10個以上が目安です。
3. 英文を速くかつ正確に作れますか?
「早繰り口回し練習」でキー表現がサッと口から出るようになったら、アウトプットの練習に入りましょう。まずは2分で「日本の労働組合の仕組み」について、海外の人に説明するつもりで話すという課題に挑戦します。自分の話す英語をスマートフォンなどで録音します。終わったら、それを聞きます。どのくらいできるのか、自己の現状を正しく認識しておくためです。
TOEIC500~900点強の人たちが12名ぐらい研修に参加しているとして、何人ぐらいが「英語的に様になって話せる」と思いますか?答えは、いたとしても1、2名です。帰国子女や海外留学の経験がある人は英語を話すことに慣れているので別ですが、日本で英語を学んできた人たちにとっては、ファーストトライでは難しいようです。
TOEIC500~800点前後の方は、単語をポツポツと話す程度で、文として正しく完成していない、言っていることがわかりにくい、またはわからない話し方になっています。スピードも、1分間に20~50ワード程度です。
TOEIC800~990点の人たちでさえ難しいようで、よくて1分間に60ワード前後でしょう。それも、やはり文法的に不完全な文が多く、たいていはリズムも日本語的な平たんなリズムになっています。
実際にスピーキングをしてみると、英語力によって以下の二つの現象がよく見受けられます。
TOEICスコア500~800点の初中級レベルの特徴
言葉が出ない。単語を並べてはいるけど、きちんと文が作れない。
TOEICスコア800~990点の中上級レベルの特徴
どこからどう説明していいかわからない。途中で、何を説明しているのか全体像を見失って混乱してしまい、文はどうにか作れても、ロジカルに話を組み立てられない。
では、この二つの課題をどう克服したらいいのでしょうか?練習方法は次の記事でご紹介します。
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