ENGLISH JOURNAL ONLINE

「昔は英字新聞が読めなかった・・・」プロのニュース翻訳者がおすすめ!時事英語の学び方

「昔は英字新聞が読めなかった・・・」プロのニュース翻訳者がおすすめ!時事英語の学び方

海外の最新状況や注目の話題を知ることができる英語のニュース。「チャレンジしたいけれど、内容についていけない」という方に向けて、ニュース翻訳者の松丸さとみさんが「時事英語の楽しみ方」を紹介します!

英語のニュースと出合い、プロになるまで

「英語のニュースを読めるようになりたい」という人は少なくないと思います。一方で、「英語のニュースってなんだか難しい!」と思ったことはありませんか?私はあります!

この連載では、どうすれば英語のニュースをもっと理解できるようになるか、そして英語学習に活用できるか、私自身の経験を踏まえてお伝えしたいと思います。

私は普段、英語のニュース記事を日本語に翻訳したり、海外ニュースについて日本語で記事を執筆したりしています。つまり、ニュースを読むのが仕事の一部。とはいえ、英語が身に付いたらニュースもすらすら読めるようになった・・・わけではまったくありませんでした。

イギリスで学生をしていた頃、日常生活でのやりとりやテレビのニュースは理解できましたし、雑誌や書籍も辞書を使えばそれなりに読めました。でも、きちんとした新聞を読む機会はそんなになかったので、ある日、意を決して読んでみることにしました。

選んだ新聞は、quality press(高級紙)の代表とも言える“The Times”。今考えると、初めての割にはかなりのチャレンジです(笑)。

辞書を引きながら読んでもさっぱり理解できず。結局まったく読めずに挫折したのを覚えています。当時は、各紙の違いもあまり理解していませんでした。

それから数年後、紆余曲折(うよきょくせつ)あって、イギリスに進出している日系企業を対象に日本語でビジネスニュースを配信する会社に就職。そこで英語のニュース・ソースを基に日本語で記事を書くライターとして働くことになりました。その編集部でいちばんのひよっこだった私は、紙面の隅に載る経済短信(非常に短い経済記事)の担当に。

企業の業績や経済指標など、シンプルな経済記事に絞って読むようになり、徐々に新聞自体が英語で読めるようになっていきました(徐々に・・・と言っても、毎日たくさんの記事を読んだのですが!)。

英語でニュースを読むときに大事なポイント

こうした経験や今の仕事を通じて気付いたのは、英語のニュースを理解するには、ベースとなる時事の知識が必要だということ(英語が発展途上の場合は特に)。

そして、日本語の報道とは異なる、英語の記事の特徴を知る必要があるということです。例えば、英語の記事には次のような特徴があります。

見出しは現在形

ニュースは過去に起きたことを報じるのが常ですが、見出し(headline)は基本的に現在形で書かれます。これは「即時性」を強調するためなどと言われています。見出しで過去形の動詞を見つけたとしても、受け身として使われているケースがほとんどです。

同じ単語は繰り返さない

英語では、「同じ単語を繰り返さない」のがいい文章とされています。

ニュースでも、繰り返しを避けるため、たとえ固有名詞であってもまったく異なる言葉を使って表現します

例えば、イギリスのチャールズ皇太子に関する記事だった場合、日本のニュースなら一貫して「チャールズ皇太子」と報じるところですが、英語の場合は、Prince Charles以外に、the prince、the Prince of Wales、the heir to the throneなどとさまざまな言葉で表現します。

チャールズ皇太子ほど日本人になじみ深い人なら解釈に迷うことはありませんが、そうでない場合、「別人のこと?」と勘違いしてしまうかもしれません。

背景を説明してくれない

これは高級紙と呼ばれる媒体に顕著です。読者が知識層のため、特定の情報については「知っていて当然」という前提で、詳しい背景は説明されないことが少なくありません。

一方でタブロイド(大衆紙)の場合は、欄外でキーワードについて丁寧に説明してくれることがあります。そのため、英語学習者や英語ニュースに取り組み始めたばかりの人にとっては、タブロイドはとてもありがたい存在です(扱う話は下世話な内容が多いので、そこは注意してくださいね)。

また、基本的に読者対象はその媒体が発行されている国に住んでいる人であるため、その国の住人であれば知っていて当然のようなことは説明されません。

以上の理由から、日本人の英語学習者が英語圏の知識層向けのメディア記事をそのまま学習に利用しようとすると、難しいことがあります。媒体の特徴を踏まえた上で、自分の英語力に合ったものを選びましょう

また、私自身が、企業の業績や経済指標など経済の中でも狭い分野に絞って読み始めてだんだんと新聞が理解できるようになったことを考えると、新聞に苦手意識がある人は、自分の好きな分野、得意な分野など、狭いところから取り組み始めるといいと思います。あとは、とにかく数を多く読むこと

次回は、ニュースで英語を学ぶにはどんなメリットがあるかや、具体的にどんな媒体があり、どう活用できるかのお話をしたいと思います。どうぞお楽しみに!

第2回は2021年7月7日(水)公開予定!

ニュース英語に興味があるなら、こちらもおすすめ!

ej.alc.co.jp

ej.alc.co.jp

松丸さとみ

松丸さとみフリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』(日経BP)、『限界を乗り超える最強の心身』(CCCメディアハウス)、『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』(サンマーク出版)などがある。
Blog:https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp