マンガ、アイドル、俳優など、推しの尊さを英語で世界に伝えたい人必見!

EJOでは「日本酒オタク」「国際?(きき)酒師」としておなじみの藤代あゆみ先生は、マンガ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)の大大大ファン。岡山県で開催された平尾アウリ先生の原画展&トークショーのためだけに、当時住んでいたシンガポールから駆けつけたほど。そんなあゆみ先生が、「推しの尊さ」を伝えるさまざまな英語表現を紹介します。推しを世界に広めるために、SNSで使えるちょっとした英語を一緒に学んでみませんか?

さあ、今すぐ推しを英語でたたえよう!

マンガ、アニメ、小説、ドラマ、アイドル、アーティスト、声優、俳優、ミュージカル俳優、絵師・・・あらゆる“次元”で自分の「推し」がいるみなさん、こんにちは!推しがいない人もこんにちは!

推しという言葉になじみがない人もいらっしゃるかもしれないので、ごくシンプルに説明すると、「推し=自分が大大大ファンの相手」。でも、この二文字、とっても意味が深いんです・・・!

オタクの圧強めでお送りする全3回の連載では、推しの素晴らしさをたたえるポジティブな表現を中心に、今すぐSNSなどでの布教に使える「推し英語」をお伝えします。

第1回のテーマは 「推し英語」のススメ。 私が推しに推している平尾アウリ先生の 『推しが武道館いってくれたら死ぬ』 (以下『推し武道』)も登場しますよ。それでは、最後までお付き合いください。

何はともあれまずは『推し武道』について教えます

「日本酒オタク」「国際?酒師」として、日本酒のワールドワイドな普及のためにいたって真面目に仕事している私ですが、実は 頭の中は『推し武道』、そして平尾アウリ先生のことでいっぱいの、ただのオタク です。

『推し武道』は岡山のマイナー地下アイドル「ChamJam(ちゃむじゃむ)」と「えりぴよ」をはじめとした熱狂的なファンたちを描いたマンガで、ただいま7巻まで絶賛好評発売中(アニメ化もされています)。 この世の生きとし生けるすべての方々に読んでほしいし、何なら義務教育課程の必修科目にしていただきたい。 第1話が『COMICリュウ』編集長のツイートから読めますので、まずはこちらをどうぞ(ツリーをたどってくださいね)。

・・・読みました?????ヤバいもう無理、尊い。死ぬ。は????(あまりの尊さに語彙力ゼロ)。3748億回くらい読んでるけど、何回読んでも最高。来世でも来々世でも読む・・・。

『推し武道』には人生が詰まっている。 どんなときも全身全霊で生きることを後押ししてくれる、ノーベル賞もののマンガです。繊細で可愛い絵も、それぞれのフィールドで一生懸命頑張っているキャラクターたちも好き。アイドルも、オタクも、どんな生き様も受け止めてくれるように物語が描かれているところも好き。何より、めちゃくちゃ笑わせてくれる。『推し武道』のある時代に生きる幸せを、この原稿を書きながらかみしめています・・・。

海外で必死に生き抜く日々を支えてくれた『推し武道』

『推し武道』に出会った頃の私は、仕事でシンガポールに駐在していました。 

仲のいい日本人の友達に勧められて、たまたま読んだアンソロジーのマンガ本。平尾アウリ先生も数ページの読み切り作品を描かれていたのですが、1ページ目から心をつかまれてしまいました。

この先生の作品をもっと読みたい!「平尾アウリ」で検索すると、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』を連載中とある。タイトルがなんかすごすぎる。今すぐ読むしかない。こうして、『推し武道』の沼にハマっていったのです。

異国の地から毎日のように『推し武道』と平尾アウリ先生の尊さに思いを馳せ、年に数回の一時帰国のたびに、『推し武道』のマンガや関連グッズを買ったり、イベントに参加したりしたものです。

文化も習慣も違う海外で必死に生き抜く日々を支えてくれた『推し武道』。 この作品を生み出した「神」である平尾アウリ先生、そして出版元の徳間書店の方々には感謝してもしきれません。

日本に帰国してからも『推し武道』への愛は深まるばかり。ここで私の本棚の一部をお見せしましょう。 『推し武道』で満たされた、私の小さな「祭壇」です。 どんなに落ち込んでいても、この祭壇を見ればエネルギー充電。元気が出ます。

『推し武道』のキーワード、「推し」と「オタク」を英語で表現してみる

タイトルにもある通り、 『推し武道』を貫くキーワードは「推し」。そして、推しのいるところ必ず存在するのが、熱狂的なファンである「オタク」です(略して「オタ」とも言う)。

『推し武道』であれば、「えりぴよ」は「舞菜オタ(=舞菜ファン)」。つまり、えりぴよの推しは舞菜、ということになります。この推しやオタク、何もアイドルに限った話ではありません。界隈によって呼び名に違いはありますが、 「推しのために生きてるオタク」、たくさんいますよね?

市井舞菜(えりぴよの推し。メンバーカラーはサーモンピンク)©平尾アウリ/徳間書店
えりぴよ(舞菜オタ)©平尾アウリ/徳間書店

オタク=otakuでいいの?

まず、「オタク」という日本語ですが、実は英語でもそのまま “otaku” で通じます。世界に通じるオタク、すごいな。ただし、 英語のotakuは主にマンガやアニメのオタクを指します。アイドルなど芸能人のオタクを英語で表現したい場合は、“fan” を使えばOKです。

また、 モノに対するオタクには “enthusiast” を使うといいですよ。 たとえば私は「日本酒オタク」ですが、英語ではJapanese Sake enthusiastとなります。鉄道オタクならrail enthusiast、考古学マニアならarchaeology enthusiast、コスメオタクならmakeup enthusiastです。

オタクといえば、“geek”という単語をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。ITっぽいジャンルのオタクを表現する際にはgeekが使われることが多いのですが、こちらも日本語の「オタク」同様、最近ではさまざまな分野のオタクの意味で使われるようになっています。なので、geekを使っていただいてももちろんOKです。

ただし、昔はオタクがネガティブな意味合いで使われていたように、geekという単語もまた、受け取る人の価値観によってはポジティブな意味で捉えられないこともある、少しカジュアルな表現です。 自分がgeek(オタク)であるという際には使っても問題ありませんが、誰かのことについて使うときは注意しましょう。

オタクにまつわる英語表現いろいろ

I am an otaku of “If My Favorite Pop Idol Made It to the Budokan, I Would Die.”
私は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』のオタクです。

I am a fan of Auri Hirao.
私は平尾アウリ先生のオタクです。

I am a Japanese Sake enthusiast.
私は日本酒オタクです。

推し=my favorite pop idol?

マンガ『推し武道』は現在、英語版が出版されていないのですが、アニメの英語版は出ています(字幕・吹替ともあり)。アニメの英語版のタイトルは “If My Favorite Pop Idol Made It to the Budokan, I Would Die” 。日本語タイトルの『推しが武道館いってくれたら死ぬ』をそのまま忠実に訳していて、きちんと意味が伝わるいい英訳だと思います。

でも、 よくよく考えてみると、ここでの「推し」って “My favorite food is sushi!”(私の好きな食べ物は寿司です!)みたいなノリで “my favorite pop idol”とだけで表現できる存在なのでしょうか? もっとなんかこう、推しって「お気に入り」をはるかに超える存在だったりしませんか?

ちなみにマンガの中国語版(繁体字)のタイトルは『神推偶像登上武道館我就死而無憾』 なのですが、推しを「神推」って訳していて、中国語よく分かんないけどなんかすごそうな感じある!!!!

「推し」については、第2回目でもう少し考察していきたいと思っています。みなさんもぜひ、「推しに込められた意味」を考えつつ、推しという言葉にピッタリな英語表現を考えてみてくださいね。

「推し英語」にはメリットしかない!

「推し活に英語なんて関係ない」と思っていたオタクの同志のみなさん、ここまで読んだら「推し英語」、ちょっと気になってきませんか?

私が提案する「推し英語」は、SNSで推しに関する情報を得たり、推しの素晴らしさを布教したり、ファン同士で交流したりするときに役立つ、とっても実用的な英語です。 いつもは日本語でつぶやいている推しへの愛を、たまには英語にしてみると、みなさんの世界が広がるかもしれません。 推しにまつわることで英語を学べるなんて気分も上がるし、控えめに言って最高。好きなことに触れながら英語力もアップできて、メリットしかありません!

第2回は、「推しが尊い」って英語でなんて言う?をテーマにお届けします。 また次回お会いしましょう!

藤代あゆみさんの過去連載

藤代あゆみさんの書籍

藤代さんの連載「日本酒オタクのおもてなし英語」がEJ新書(電子新書)になりました!追加原稿も加わりパワーアップした内容になっています。お酒が好き、英語を使った仕事に興味がある、英語を学習中など、すべての方におすすめの一冊です!

藤代あゆみ
藤代あゆみ

平成元年、東京生まれ。世界に10人しかいない、国際唎酒師・日本酒学講師・酒匠・焼酎唎酒師。海外勤務の経験を生かし、世界20カ国以上の人に向けて日本酒の素晴らしさを広めつつ、平尾アウリ先生の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(徳間書店と百合マンガの魅力を伝える筋金入りのオタクとしても活躍中。著書に『推し英語入門』(アルク)、『日本酒オタクのほろ酔い英語』(アルクEJ新書【電子書籍】)がある。
X:@ayumi_and_sake
Instagram:@ayumi_and_sake
note:日本酒オタクのあゆみせんせい

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