warとconflictはどう違う?「パレスチナ問題」【ニュースな英語】

今月10日、パレスチナ地区からイスラエルの都市エルサレムに向かってロケット弾が発射され、これを受けてイスラエルはガザ地区に空爆を行いました。今回の「ニュースな英語」はパレスチナ問題(Israeli-Palestinian conflict)を取り上げます。

今回のニュースな英語

Israeli-Palestinian conflict

先日、ガザ地区の武装組織がイスラエルにロケット弾を打ち込み、その報復としてイスラエル側がガザ地区を空爆したことで、パレスチナ問題が再び世界の紙面を賑わせています。

ということで、今回は日本語で「パレスチナ問題」と呼ばれている、Israeli-Palestinian conflictを取り上げます。

背景

ご存じのとおり、イスラエルにある都市エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地です。パレスチナ問題も、こうした宗教とは当然無関係ではなく、長い長い歴史があります。

今回は、5月に入ってから発生した武力衝突を報じる英語ニュースを使って、基本的なキーワードを取り上げたいと思います。

まず、エルサレムで今回、緊張が高まったきっかけの1つと言われているのが、ラマダンが開始となった4月中旬以降に始まった、イスラエルの警察とイスラム組織ハマス(Hamas)の衝突です。イスラム教徒にとって非常に神聖な場所であるアルアクサ・モスクでも多くのけが人が出ました。

また、東エルサレム(East Jerusalem)のシェイクジャラ地区(Sheikh Jarrah)では、パレスチナ人住民の立ち退きを巡る裁判が行われており、立ち退きを命ずる判決が下されたことも、刺激となりました。

こうしたことから、前述のロケット弾の発射につながるのですが、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、こう報じています。

After a raid by the Israeli police on the Aqsa Mosque in Jerusalem left hundreds of Palestinians and a score of police officers wounded, militants in Gaza responded by firing a barrage of rockets at Jerusalem, drawing Israeli airstrikes in return.

エルサレムにあるアルアクサ・モスクにイスラエル警察が踏み込み、数百人のパレスチナ人と多くの警察官が負傷したことを受け、ガザ地区の武装勢力はエルサレムに向けてロケット弾を集中砲火。その報復としてイスラエルが空爆を行った。

www.nytimes.com

アルアクサ・モスクは英語ではAl-Aqsa Mosqueと書かれるのが一般的ですが、このNYTの記事のように、the Aqsa mosqueと書かれることもあります。この「al-」という言葉は、アラビア語の冠詞で、英語のtheと同じ働きがあるからのようです。

また、barrage of「~の連発」airstrikes「空爆」をそれぞれ意味します。そしてin return「見返りとして」という意味です。

militantは、名詞としては辞書に「闘士」「過激派」などと載っていますが、ここでは「武装勢力」のことです。「軍」を意味するmilitaryとは異なりますので気を付けてくださいね。

どんなふうに使われている?

アルアクサ・モスク

日本語で「パレスチナ問題」と呼ばれている問題は、冒頭に書いたとおり、英語ではIsraeli-Palestinian conflictと呼ばれており、つまり「イスラエルとパレスチナの紛争」という意味です。

conflict「争いごと」を意味する単語で、イスラエルとパレスチナ以外にも、衝突や闘争、紛争、内戦などさまざまな争いごとに対して幅広く使われています。

イギリスのガーディアン紙は、

UN warns of ‘full-scale war’ amid Israel-Gaza violence

イスラエル対ガザ地区の激しい衝突受け、国連が「全面戦争」の可能性を警告

www.theguardian.com

というタイトルの記事を公開しています。

full-scale war「全面戦争」という意味です。このfull-scaleは、「本格的」という意味で、戦争以外にもいろいろな場面で使えます。ほかに、full-blownと言い換えることができます。

また、ウォールストリート・ジャーナルは、次のように報じています。

Israel’s military said it has begun ground operations against Hamas in Gaza, escalating its offensive against the militant group.

イスラエル軍は、ガザ地区のハマスに対する地上作戦を開始したと述べ、同組織への攻撃を強めている。

www.wsj.com

offensiveは、「いらいらさせる」とか「不快な」という形容詞でもありますが、名詞では「攻撃」を意味します。例えばmilitary offensiveといえば「軍事攻撃」となります。

まとめ

今回は、パレスチナ問題、Israeli-Palestinian conflictを取り上げました。conflictは、「内戦」「衝突」などさまざまな意味があるため、状況によってうまく使い分けてくださいね。

前述のとおり、パレスチナ問題は歴史が長く複雑な背景があるため、なかなか簡単に理解はできません。とはいえ、各報道機関からは詳細をまとめる記事も出ているので、こういう記事を読んで理解するようにしましょう。

こちらはイギリスのBBCで、100年前から現在に至るまでの問題を説明しています。

www.bbc.com

また、気軽に読める『まんがパレスチナ問題』(講談社現代新書)も、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の違いが取り上げられているなど、理解を深めるのにおすすめです。

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

  • 作者:山井 教雄
  • 発売日: 2005/01/19
  • メディア: 新書
 

 (ただしかなり古い本で2004年の出来事までしか載っていません。続編も出ていますので、2005年以降の話はそちらをどうぞ)

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松丸さとみ

松丸さとみフリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に『限界を乗り超える最強の心身』( CCC メディアハウス)、『 FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』(サンマーク出版)などがある。
Blog:https://sat-mat.blogspot.jp/
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