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英検1級合格の決め手!「書く内容を思い付く」トレーニング法

英検1級合格の決め手!「書く内容を思い付く」トレーニング法

英検1級合格者を育てる達人の中西哲彦さん。連載「楽しい!英検1級」では、徹底的に4技能を磨き上げ、英語がますます好きになる勉強の方法を教えます。4回目は、英検1級ライティングが楽しくなる、「思い付く力」を磨くタスクを紹介します。 

背伸びしない方がいい、英検1級のライティング

こんにちは。中西哲彦です。今回は、ライティングをとことん楽しみながら学習しましょう。

ライティングの構成

ライティングの長さは200~240ワード。3つの部分で構成します。

 

自分なりのライティングのひな形を作ってみよう

今回の学習のポイントは、ライティングを構成するリストを作ることです。

・Main Bodyには、自分の考えをサポートする3つの理由を書くこと

・自分なりのフォーマットを作る

ーIntroで〇文、あるいは、〇ワード程度にする

ーMain Bodyで〇文、〇ワード程度にする

ー最後のConclusionで〇文、〇ワード程度にする

・どんなつなぎの言葉を使うか

評価のポイント

また、知っておきたい評価の観点は4つあります。

下記URLに公表されていますのでチェックしましょう。

https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/2016scoring_w_info.html

これらの4つの観点は、次のように大雑把に捉えると気が楽になるでしょう。

1. 課題に関連した内容で、理路整然としているか。

理路整然としていて、相手が「なるほど、君の考えは、よくわかった」となればいいのです。

2. 読み手にストレスを与えない、わかりやすい文で書かれているか。

英検がしっかりした満点モデルを毎回公開してくれていますが、あのモデルは目標です。満点レベルの英語表現と内容の濃さを狙わない方がいいでしょう。

つまり、背伸びした文章構造や、語彙表現を使わない方がいいのです。生半可な知識を使うと用法を間違えたり、知らずに矛盾した展開になっていたり、一貫した流れがなくなってしまったりして、大きな減点につながることになりかねません。

どんな課題に出くわしても、ひるまずに「こう来たか!」という気持ちでSmile on your face! にこっとしてみると、脳はより活性化されます。

その課題についての専門家として書くわけではありません。一般庶民として自分が思い付くことを、読み手が「なるほど」と、いったん受け止めてくれる文章が書ければよいのです。

さて、ここから先、本番です。

ライティング課題への対応力を養う「要約」の活動

知識や経験など、自分が持っているものから、情報を整理再統合する力と、伝えるために英語を使う力が必要です。

英検1級ライティング対策は、聞いては要約、読んでも要約。さらには、前回紹介したように、「アマノジャク的発言」「変化球の質問」を投げ掛けて、理路整然と反応する活動が抜群の効果を発揮します。

英検1級に合格する方は、このような活動を通して、

① 手持ちの情報を整理する、再統合する=思考力

② 伝えるために英語を使いこなす力

が、十分育ってきたときに、自分自身で「英検1級ライティングはこうして乗り切れ」「英検1級ライティングの書き方」などといった書籍やインターネット上の情報からヒントを得て、どんな問題にも対処できるようになっていくようです。

本連載でこれまでに紹介した学習活動が、ライティング対策になっていることを意識して、タスクにチャレンジしてみましょう。

タスク1

植物の中には、カフェインを作る植物がある。どうしてだろう。
Some plants have evolved the ability to produce caffeine. Why?

という質問をする人がいました。どんな答えを返しますか?

連載の第1回の記事を読んだ方の顔には、笑みが浮かんでいるかもしれません。また、思い出そうと脳の働きが活発になってきているのではないでしょうか。2分ほど思い出してから、回答例を見てください。

英文パッセージはこちらからダウンロードできます。

パッセージは、連載の第1回で学習した内容でしたね。リスニングで得た情報を、整理、再統合した結果になっています。思考力と、伝えるために英語力も使いましたね。

それでは、次の問題です。

タスク2

次のようなことを言う人がいました。反論をしたくなりますね。

I really appreciate global warming. Thanks to global warming, Arctic sea ice is decreasing. This is good news for the marine transportation business. If Arctic sea ice disappears, ships can use safer and shorter routes through the Arctic Ocean to sail between Japan and Europe. If this happens, our ships will not have to sail through the Suez Canal.

温暖化万歳!温暖化の影響で、北極の氷が減少している。海運には朗報だ。北極から氷がなくなれば、北極海を通って、ヨーロッパと船で行き来する近道ができる。スエズ運河を通らなくてもよい。

PDV(phocine distemper virus「アザラシジステンパーウイルス」)ですね。連載第2回のリーディングのパッセージを参考にして3つ理由を挙げて反論することができます。5分ほどご自身で考えてから、回答例を見てください。

「動物が大変な目に遭っている。例えばPDV、この病気が・・・」と書き殴るだけでは上手な反応にはならないし、3つの理由を挙げることにもなりません。すでに得ている情報を、3つの理由に上手に分けて整理して伝えると、よく伝わります

聞く、読む、スクリプトやテキストを見ないで内容をまとめる、想定問答(アマノジャク的発言への反論や変化球への質問に対する応答)で鍛えると、そんなこともできるようになります。

このような活動を通して培った思考力と、伝えるために英語を使う力が、ライティングの課題に対峙したときに、火事場の馬鹿力の源になります。

ライティングの過去問や類題に取り組むのも大切です。合格した人の体験を読むのも大切です。それ以前に、過去問や類題に取り組んだとき、コツがさっとわかって、ある程度回答として評価をもらえるような作文が書けるようになっていることが大切です。これまで紹介した活動を通して、そんな底力を身に付けていきましょう。

こんな具合に、よくわかっていることばかり課題として出されるはずもない、と思っていらっしゃいますね。これだけで終わると、「詐欺だぁ!」と言われそうです。底力について、まだ続きます。

「思い付く力」はこう磨く!

どんなお題が来ても、書く内容を思い付くための底力を磨きましょう。

タスク3

次の「お題」を見て、それぞれ30秒考えて、2分程度で書いてみてください。日本語で結構です。
1. 本

2. 昼食

3. 国会

いかがでしたか。
私は、こんなことを書きました。

以下のような流れでの作文になっています。

1. 本 

・電子書籍、紙の本、それぞれの良さ。
・自分の好み。
・今の好みと心情。

2. 昼食

・大切。
・栄養補給。 
・仲間とのコミュニケーション。 
・心身共にリフレッシュして午後の活動へ。

3. 国会

・大切。
・国会中継にうんざり。
・国会の現状。
・自分と政治。
・政治家、政治への希望

同じ流れを踏まえて、書く時間を5分に増やすと、肉付けができます。

回答例をご覧ください。

いろいろなお題(題になりそうもないことでもいい)をカードに書いて、見えないようにして、さっとカードを引いて、1分考えて2分話す、30秒考えて2分で書く、といった練習がおすすめです。簡単な話題を使って、短い時間で母語の日本語で作文を書き、時間があれば肉付けをしながら書いてみる、といったトレーニングが思い付く力を育ててくれます。

課題から思い付く言葉を、とにかく書き出して、眺めてみるのもいい方法です。つながりが見えてきて、そこから書くための筋道が見えてきます。

こんな簡単な題が出るはずがないと思われるかもしれませんが、どんな題が出題されようと、自分の暮らしや過去の経験、持っている知識と関連付けて書いたり、話したりすることができるようになるためには、こういう基本的な活動が最適なのです。

最後に、英検らしい課題で書く内容を思い付けるかどうか、トライしてみましょう。
「近い将来、世界的な人口爆発が大問題になるでしょうか」といった題が出題されたとします。決して専門的な知識やデータに頼らず、どんな内容を思い付けるか、2分ほど考えてみてください。身近なことから発想して、日本語で書いてみましょう。

私は、こんな2つのことを思い付きました。

挙げた理由のいずれも、一般庶民として思い付くことですね。どうやって、それを実現するのか、その根拠は?といった詳しいことを書く必要はないし、反論や質疑もないのですよ。極端に変な内容を書くのはどうかと思いますが、そういう考えを持っているのですね、と読み手側がいったん受け止めてくれるものになっていればいいのです。 

最後に

英語で書くことに慣れていないことも、ライティングが苦手な理由のひとつです。相手もいないのに、書いて何かを伝える練習をするのはきついことです。昔は国際文通クラブがありました。今はFacebookやTwitterなどのSNSがあります。日本語と英語で、その日の出来事や考えたことを日記のように書き込むと、いい練習になります。

間違いがあっても、読んでくれる人に誤解されないように、わかりやすいように書けば、海外で出会った人たち、国内で出会った日本語があまり得意ではない人たちとの交流も促進されるのではないでしょうか。

英検の概要

英検(実用英語技能検定)1級の試験内容は、日本英語検定協会の下記サイトをご参照ください。
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_1/detail.html

中西哲彦さんの本

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中西哲彦愛知教育大学教育学部外国語教室卒。三重県立高校 、大手英語学校で教壇に立ち、日本福祉大学国際福祉開発学部国際福祉開発学科にて准教授。現在はアルファ英語会、茅ヶ崎方式英語会顧問、自らも英検1級、準1級を狙う学習者を対象に「英語上級者への道」を開講し幅広い層に英語を教えている。過去には、英検セミナー派遣講師として各地の特別授業や英語教育セミナーにて活躍し、日本英語検定協会の学習サイト「めざせ1級!英語上級者への道~ Listen and Speak III」にも登場。また、同サイト上に英検1級、準1級を目指す学習者向け自習学習教材「英語上級者への道・Listen and Speak」を連載(ダウンロード可)。 茅ヶ崎方式英語会が発行する季刊誌「季刊LCT」で連載「ここに注目」を執筆。 『完全攻略!英検1級』(アルク)を執筆。また、『完全攻略!英検1級 二次試験対策』(アルク)では、コラム「発音発話ワンポイント」解説担当。