「レジゴー」を英語で説明できる?想定問答で英検1級を目指すのがさらに楽しくなる【動画講義・練習付き】

英検1級合格者を育てる達人の中西哲彦さん。連載「楽しい!英検1級」では、徹底的に4技能を磨き上げ、英語がますます好きになる勉強の方法を教えます。3回目は、英検1級に合格するために必要な思考力を鍛える、「想定問答」トレーニングを紹介します。

思考力を使った学習は楽しい!

こんにちは。中西哲彦です。今回は、発信(話す、書く)への準備をさらに意識して、思考力を鍛える方法を体験しながら学びましょう。

英検1級合格を目指すには、語彙表現を覚える、リスニングをする、英文をたくさん読む、日記風でもいいので毎日書く、などいろいろな準備方法が語られています。すべて「当たり」なのですが、見逃されているのが「思考力の鍛錬」です。

「大問1(短文の空所に適切な語句を補う問題)は、いつも9割前後得点できるのに、なかなか1級に合格しない」という生徒さんがいらっしゃいました。何らかのトピックでスピーチをすると、流ちょうな英語で、とめどなく話が続く方でした。

しかし、取り込んだ「情報を整理、再構築する力」が、その方には不足していたのです。鍛錬を重ねられ、1年半弱で合格されました。 リーディング対策で行った「1分要約」トレーニングが効果を発揮 したようでした。

以前は、各問題にかける時間配分を決めておいても、問題に振り回され、ライティングに至っては、あれこれ情報満載で収拾がつかなくなっていました。しかし、次第に自分なりの時間配分が定まり、落ち着いて問題と対峙(たいじ)できるようになっていらっしゃるようでした。「授業はきつい、ドキドキする、でも楽しい!」と休まずに通ってくださいました。

今回も、ビデオによる模擬授業も交えて、いよいよ「話す、書く」という発信への準備を意識して、思考力を鍛えましょう。

学習の手順

今回は、英語学習者用の時事英語教材から抜粋した英文パッセージを使って、以下の流れで学習をしていきましょう。 

1.  英文パッセージ全体を聞いて、わかったことを1分間語る

2.  語彙表現を学習してから、1の手順を繰り返す

3.  内容ごとに区切って聞いて、頭が喜ぶ想定問答をしよう!

教材として使う英文パッセージ、日本語はこちらからダウンロードできます。

★英文パッセージ、日本語訳はこちら★

1. 英文パッセージ全体を聞いて、わかったことを語ろう

英文パッセージ全体を聞いて、その後1分間、わかったことを語ってみましょう。
誰かに内容を伝えるつもりで、しっかり聞いてくださいね。動画1を学習方法の参考にしてください。

動画1:パッセージ全体を聞いて、わかったことを1分間語ろう

2. 語彙表現を学ぼう

語彙表現を学習して、もう一度英文パッセージ全体を聞き、わかったことを1分間で語ってみましょう。語彙表現は、しっかり発音しながら学習しましょう。

動画2:語彙を学習してから、わかったことを1分間で語ろう

3. 頭が喜ぶ想定問答をしよう!

これまでの練習は「わかったことを、1分間、話し続ければいい」のですから、「わからなかったことには、触れなくてもいいし、まとめる必要もない」ので、まだ皆さんの思考力はフル回転していないと思います。

今度は、パッセージ全体をPart 1~Part 3に分けて聞いてみましょう。パートごとに質問や発言が流れてきますので、制限時間内に質問に対する答えや、発言に対する反応を返してください。

Part 1

パッセージが流れた後、引き続き質問が流れます。30秒以内に聞いた内容をもとに、答えてみましょう。その後、解説が続きます。

動画3:頭が喜ぶ想定問答!「レジゴーって何?」

Part 2

パッセージが流れた後、引き続き 、「少し引っ掛かるなぁ」と感じる発言が流れてきます。聞いた内容を基に、30秒以内に反応を返してみましょう。その後、例と解説が続きます。

動画4:頭が喜ぶ想定問答!「システムを導入して人件費の削減?」

Part 3

パッセージが流れた後、引き続き、「この人、何も知らないんだ。教えてあげなくっちゃ」と思わせる発言が流れてきます。聞いた内容を基に、30秒以内に反応を返してみましょう。どんな言葉を返しますか。その後、解説が続きます。

動画5:頭が喜ぶ想定問答!「コンビニ店での人手不足を解消する手立てはない?」

情報の整理と再構築のコツ

いかがでしたか。単に、What is Regigo? Why is Aeon Retail going to introduce a new payment system, Regigo?や、How are convenience store chains going to solve labor shortage problems? などと、ストレートに尋ねられるよりは、「脳みそさん」が、喜びませんでしたか?また、情報の整理、再構築、のコツが見えてきましたか。

例えば、 『ENGLISH JOURNAL』2020年11月号 、8ページで俳句についての英語による説明を勉強した人であれば、Many Japanese people say miruku instead of saying ”milk”. So , when they say they love haiku, they mean ‘they love going on a hike ,’ don’t they?(日本人は、milkのことをミルクと言う。時々、「趣味はハイク」と言う人がいるけれど、going on a hike のつもりなんだよね?)という質問を投げ掛けられたら、思わず思考回路に火が付いて、8ページにあった内容を 整理 して、語り出してしまうでしょう。

『ENGLISH JOURNAL』2020年10月号 の、Interview 2, Jonathan Haskelへのインタビューを勉強した人であれば、「intangible assets」に関して、「やっぱ、資産は不動産が一番!という人がいます。どんな言葉を返しますか?」と言われると、「脳みそさん」は喜んで返答を考え出してしまうようです。

楽しく、あれこれ「おバカな質問」を考えて答える、そんなことを繰り返していると、きっと、『ENGLISH JOURNAL』の各Interviewの最後にあるWhat are your thoughts?の質問にも、よりスムーズに、論理的に整理した形で答られるようになると思います。ライティングもまとまりのあるわかりやすいものになると思います。発想豊かに「おバカな質問」や「アマノジャク的発言」を考え、答えや反論を語ることで、楽しく思考力を磨きましょう!

英検の概要

英検(実用英語技能検定)1級の試験内容は、日本英語検定協会の下記サイトをご参照ください。
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_1/detail.html

 
英検1級の対策をしたい人におススメの参考書はこちら!
中西哲彦
中西哲彦

愛知教育大学教育学部外国語教室卒。三重県立高校 、大手英語学校で教壇に立ち、日本福祉大学国際福祉開発学部国際福祉開発学科にて准教授。現在はアルファ英語会、茅ヶ崎方式英語会顧問、自らも英検1級、準1級を狙う学習者を対象に「英語上級者への道」を開講し幅広い層に英語を教えている。過去には、英検セミナー派遣講師として各地の特別授業や英語教育セミナーにて活躍し、日本英語検定協会の学習サイト「 めざせ1級!英語上級者への道~ Listen and Speak III 」にも登場。また、同サイト上に英検1級、準1級を目指す学習者向け自習学習教材「 英語上級者への道・Listen and Speak 」を連載(ダウンロード可)。茅ヶ崎方式英語会が発行する季刊誌「 季刊LCT 」で連載「ここに注目」を執筆。『 完全攻略!英検1級 』(アルク)を執筆。また、『 完全攻略!英検1級 二次試験対策 』(アルク)では、コラム「発音発話ワンポイント」解説担当。

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