英検1級リーディング問題の「発信活動」トレーニング法【動画講義・練習付き】

英検1級リーディング問題の「発信活動」トレーニング法【動画講義・練習付き】

英検1級合格者を育てる達人の中西哲彦さん。連載「楽しい!英検1級」では、徹底的に4技能を磨き上げ、英語がますます好きになる勉強の方法を教えます。2回目は「リーディング」です。長文問題対策には「発信活動」のトレーニングを使って、あなたの論理的思考力を覚醒させませんか? 

「思考力」「情報再編能力」を覚醒させる学習とは

こんにちは。中西哲彦です。

英検の長文問題をおっくうだなと思ったことはありませんか?問題を解いて、答え合わせをして、解説を読むだけでは勉強が楽しめないし、「聞いたこともない新しい知識や考え」を理解する力は付きません。

長文問題を楽しみながら力を付けたいなら、この記事で「発信活動」を一緒に行いながら、論理的思考力を覚醒させてみませんか?

英検1級に出題されるリーディングパッセージは、リスニングPart 2と同様、事実に基づいた、新しい知識を紹介してくれます。今度はどんなことが学べるのだろうと、楽しんでください。

読む活動は「文字を通しての知識や思考の共有活動」です。これが上手にできれば、長文空所補充問題も、内容一致選択問題も、正答率が上がります。

この記事では、パッセージについて、たっぷり時間をかけて、思考力(情報整理力)を働かせる活動や、絵や図を描く活動、発話する活動を通して、読む力の基本を養う方法を『完全攻略!英検1級』(アルク)から「The Spread of PDV」を題材に、ビデオによる演示を交えて紹介します。

問題、解答、日本語訳は、こちらからダウンロードできます。指示に従って問題を解き、解答を確認してから、次のステップへと進んでください。

ゴールは、英文を段落ごとに図式化して内容を伝えること

段落ごとに、内容をチャート化(ヒントとなる語句や記号で、内容を図式化する)し、そのチャートだけを見て内容を語ることをゴールにして、学習を進めましょう。このチャート化の練習方法は日頃の練習方法で、これができるようになれば、試験本番でもさっと読解して解けるようになります。

段落ごとの学習の手順

段落ごとに区切って、それぞれを次の3つの流れで発信活動につなげていきます。

1. 語彙学習

2. キーワードを使って英文を作り、段落の内容を理解する

3. 段落の内容を図式化して要約する

第1段落の発信活動3つの流れ

第1段落

The phocine distemper virus, or PDV, is a disease that infects and kills seals and other marine mammals. PDV is closely related to canine distemper, and contact between dogs and seals is very likely how the virus moved from the canine population to marine animals. The two diseases share a genetic lineage, and therefore ( 1 ) such as labored breathing, fevers, gastrointestinal problems and nervous system disorders. PDV can cause death outright due to these symptoms, or simply cause the animal to die of starvation when it becomes too ill to hunt.

1. 語彙表現リストを作りながら、第1段落を読み返そう

語彙表現は、発音と一緒に覚えるようにしましょう。動画1を学習方法の参考にしてください。

動画1:語彙学習

2. キーワードを使って段落の内容を語ってみよう

第1段落全体の内容を踏まえて、The PDVで始まる英文をたくさん作ってみましょう。次の1~9の語句を使って9文作りましょう。作り終わったら、動画2で確認しましょう。

1. disease 

2. infects

3. kills

4. canine distemper 

5. contact

6. genetic lineage 

7. symptoms

8. die    

9. starvation

読んで覚えていることを、そのまま、すべて羅列するかのごとく語る。これが第一歩です。読んだ英文を伏せて、この活動を繰り返しているうちに、まとめること=情報の整理が始まります。

動画2:キーワードを使って英文作成

3. 段落の内容を図式化して要約してみよう

内容をキーワードや記号を使った図式にしてみましょう。キーワード(18ワード以内)を書き出し、内容を語っている自分を想像しながら、ヒントとして使いやすそうなチャートを作ってみましょう。チャートだけを見て、1分以内に内容を語ってみましょう。

問題パッセージにあった語句表現を、そのとおり使う必要はありません。自分が言いやすいように言い換えることも大切です。最初は1つの段落について、1分半とか、2分とか時間がかかるかもしれませんが、最終的には1分以内で言えるように練習しましょう。

一度自分でトライしてから、動画3を見てください。例が示してあります。

動画3:チャートを使って段落の内容を語る例

第2段落の発信活動3つの流れ

第2段落

The virus was first found in seal populations in Western Europe around 1988, and a series of outbreaks caused the deaths of thousands of harbor seals in Europe and across the Arctic region of the Atlantic Ocean. As if this weren’t troubling enough, it seems that climate change may have a hand in spreading it even farther.

1. 語彙表現リストを作りながら、第2段落を読み返そう

語彙表現リストの例と学習の方法は、動画4を視聴してください。

動画4:語彙学習

2. キーワードを使って段落の内容を語ってみよう

1) 第1文の、The virus was first found ~ across the Arctic region of the Atlantic Ocean. について、a series of、cause、thousandsを使わずに同じ内容を伝えてみましょう。

2) 第2文の、As if this weren’t troubling enough, it seems that climate change may have a hand in spreading it even farther.について、handを使わずに同じ内容を伝えてみましょう。

3) 動画5で確認しましょう。

動画5:キーワードを使って英文作成

3. 段落の内容を図式化して要約してみよう

キーワード(15ワード以内)を書き出し、内容を語っている自分を想像しながら、ヒントとして使いやすそうなチャートを作ってみましょう。チャートだけを見て、1分以内に内容を語ってみましょう。一度自分でトライしてから、動画6を見てください。例が示してあります。

動画6:チャートを使って段落の内容を語る例

第3段落の発信活動3つの流れ

第3段落

Scientists have now identified the PDV virus and many similar variants in animals living in the Arctic regions of the Pacific Ocean. This includes not only seals, but sea otters as well. How does ( 2 ) spread from one ocean to another with a continent in between? Researchers testing for the virus in animals on the west coast have found that each time there is a record loss of ice in the polar region, there is also a rise in the number of infected west coast animals. Due to the unusually large expanses of open water, it becomes easier for animals carrying the virus to infect individuals from the west coast. Not only that, but the lack of sea ice puts environmental pressure on these animals to range farther for food than they normally would, making it more likely for ( 3 ).

1. 語彙表現リストを作りながら、第3段落を読み返そう

語彙表現リストの例と学習の方法は、動画7を視聴してください。

動画7:語彙学習

2. キーワードを使って段落の内容を語ってみよう

1) 第1文と第2文の、Scientists have now identified ~ the Pacific Ocean. This includes ~ sea otters as well.を、identifiedを使わずに、あえてScientistsで始まる4つの文に分解してみましょう。次の1~4に示した語句を含む4つの文を作りましょう。

1. PDV

2. variants

3. seals, the Arctic regions of the Pacific Ocean  

4. sea otters, the Arctic regions of the Pacific Ocean

2) 第3文の、How does a virus ~ a continent in between?について、one ocean、anotherを使わずに同じ内容を伝えてみましょう。

3) 劇化。第4文の、Researchers testing forthe number of infected west-coast animals.の内容に基づいて、Researcher AとResearcher Bの会話を英語で完成しましょう。次の日本語のやりとりをヒントにしてください。

A: 今年の冬は氷が少ないなぁ。

B: 本当にねぇ。今年の冬は、ますます動物たちが~

A: なぜ?

B: 氷が少ないと~

4) 第6文の、the lack of ice ~ come into contact.の内容をrange、more likely、populationを使わずに、あえて3つの文に分解して伝えてみましょう。以下に示した1~3の語句を使って作ってみましょう。

1. The lack of ice, pressure 

2. farther 

3. contact

5) 動画8で確認しましょう。

動画8:キーワードを使って英文作成

3. 段落の内容を図式化して要約してみよう

キーワード(20ワード以内)を書き出し、内容を語っている自分を想像しながら、ヒントとして使いやすそうなチャートを作ってみましょう。

チャートだけを見て、45秒以内に内容を語ってみましょう。一度自分でトライしてから、動画9を見てください。例が示してあります。

動画9:チャートを使って段落の内容を語る例

第4段落の発信活動3つの流れ

第4段落

So far, the west coast infections have not resulted in any large die-offs. However, scientists worry about the possibility of the virus spreading out of the Arctic and farther into the Pacific, affecting endangered species in Hawaii and elsewhere. 

1. 語彙表現リストを作りながら、第4段落を読み返そう

語彙表現リストの例と学習の方法は、動画10をご覧ください。

動画10:語彙学習

2. キーワードを使って段落の内容を語ってみよう

1) 第3段落で「劇化」した会話の内容を踏まえて、次のScientist AとScientist Bの会話を、Scientist Bのセリフの続きを考えて、完成させましょう。1~4の語句を使って、4つの文を作りましょう。

Scientist A: So far, the west coast infections have not resulted in any large die-offs.

Scientist B: True.

1. worried     

2. out of     

3. farther 

4. endangered species, Hawaii

2) 動画11で確認しましょう。

動画11:キーワードを使って英文作成

3. 段落の内容を図式化して要約してみよう

キーワード(18ワード以内)を書き出し、チャートを作ってみましょう。内容を語っている自分を想像しながら、ヒントとして使いやすそうなチャートを作ってみましょう。チャートだけを見て、30秒以内に内容を語ってみましょう。一度自分でトライしてから、動画12を見てください。例が示してあります。

動画12:チャートを使って段落の内容を語る例

今回の学習のゴール!パッセージ全体の要約にチャレンジ

英文パッセージを読んでいない人にも内容が伝わるか、全体の流れを捉えているか、情報が重複していないか、受け手が困惑、あるいは誤解するような表現は使われていないか、といったことに注意をして、1分で言い切れる要約を準備しましょう。

チャートを作りながら、1時間ぐらいはああだ、こうだと、うなってみましょう。1分で言えた方も、どんなに早口で言っても1分で言い切れない。もうこれ以上は無理だ!というところまで頑張った方も、動画13を見てください。なんだ、これでいいのか、と、スカッとすると思います。

動画13:チャートを使ってパッセージ全体の要約にチャレンジ

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まとめ

情報や考えを取り込むための活動

・絡んでいる情報を解きほぐす。

・なじみのある表現を使って言い換える。

・劇化する(会話に落とし込んでみる)。

取り込んだ内容の整理と再編集をする活動

・伝えてみる

・1分という短い時間で要約する

思考力をたっぷり使っての学習はいかがでしたか?きつい練習に感じられたかもしれませんが、ここまで攻めると爽快感がありませんか?

慣れないうちは、1つのパラグラフに1時間かかるかもしれません。また、書いてあったことをそのまますべて言おうとするかもしれません。何か言えるようになっている自分を楽しんでください。

そのうちに思考力が覚醒し、短期記憶能力が発達し、散らばっている情報をまとめたり、削ってもよい情報と、削ってはいけない大切な情報を区別したりすることが始まります。つまり情報を整理する力が目覚めてきます。

1日目は問題を解く。2日目はParagraph 1を攻める。3日目は、Paragraph 2を攻めるというように、1つずつ進めて、1つの英文パッセージに5、6日ほどかけてもよいと思います。

情報や考えを取り込み、整理、再編集をするという体験を通して、思考力を鍛える学習が、本当に読む力の基盤を築いてくれるはずです。では、またお会いしましょう。

英検の概要

英検(実用英語技能検定)1級の試験内容は、日本英語検定協会の下記サイトをご参照ください。
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_1/detail.html

リーディングの測定技能と検定形式(約35分)
形式・課題 形式・課題詳細 問題数 問題文の種類 解答形式
短文の語句
空所補充
文脈に合う適切な語句を補う。 25 短文
会話文
4肢選択
長文の語句
空所補充
パッセージの空所に文脈に合う適切な語句を補う。 6 説明文
評論文など
4肢選択
長文の内容
一致選択
パッセージの内容に関する質問に答える。 10 説明文
評論文など
4肢選択

中西哲彦さんの本

【音声DL、別冊解答・解説付】完全攻略! 英検(R)1級

【音声DL、別冊解答・解説付】完全攻略! 英検(R)1級

  • 作者:中西 哲彦
  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: 単行本
 

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中西哲彦愛知教育大学教育学部外国語教室卒。三重県立高校 、大手英語学校で教壇に立ち、日本福祉大学国際福祉開発学部国際福祉開発学科にて准教授。現在はアルファ英語会、茅ヶ崎方式英語会顧問、自らも英検1級、準1級を狙う学習者を対象に「英語上級者への道」を開講し幅広い層に英語を教えている。金城学院大学の講師も務める。過去には、英検セミナー派遣講師として各地の特別授業や英語教育セミナーにて活躍し、日本英語検定協会の学習サイト「めざせ1級!英語上級者への道~ Listen and Speak III」にも登場。また、同サイト上に英検1級、準1級を目指す学習者向け自習学習教材「英語上級者への道・Listen and Speak」を連載(ダウンロード可)。 茅ヶ崎方式英語会が発行する季刊誌「季刊LCT」で連載「ここに注目」を執筆。 『完全攻略!英検1級』(アルク)を執筆。また、『完全攻略!英検1級 二次試験対策』(アルク)では、コラム「発音発話ワンポイント」解説担当。