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英語シャドーイングに動画でチャレンジ!英検1級はリスニングで得点アップ

楽しい!英検1級

英検1級合格者を育てる達人の中西哲彦さん。連載「楽しい!英検1級」では、徹底的に4技能を磨き上げ、英語がますます好きになる勉強の方法を教えます。1回目は「リスニング」です。記事の最後にある動画でシャドーイングを行い、中西さんと勝負してみては? 

英検1級受験準備も、リスニングから入ると楽しくなる

英検1級を目指す人の多くが、大問1(短文の空所に適切な語句を補う問題)にやられていませんか。

「これがなければ、受かるのに」とか、もう「1級は無理だ!」とかおっしゃる方が大勢いらっしゃるようです。もし、この記事を読んでいるあなたもその一人なら、開き直って、まずは、リスニングでの得点アップを図ってみてはいかがでしょうか。

特にPart 2(英文を聞き、その内容に関する質問に答える)の問題が苦手、という方が多いと思いますが、この苦手を克服すると、リーディングにもライティングにも、スピーキングにもいい影響があります。さらには、大問1にもよい影響があるはずです。

英検は、とても楽しい試験です。特にリスニング問題のPart 2やリーディング問題は、科学、歴史、文化など、作り話ではなく、本当の知識を学ぶことができるから、楽しいのです。

試験が終わって問題用紙を持ち帰らない人は、いないといってよいと思います。試験中は、曖昧だったところを確認したくなる、そして内容が腑(ふ)に落ちると、その内容を学んだことに満足感、充実感を感じるはずです。

この原稿を書いている時点で、英検を運営する日本英語検定協会のサイトで公開されている最新の過去問は2020年度第2回の問題です。その中のListening音源 Part 2 (A)を聞くと、「進路と職業についてのこれまでの教育=キャリア教育」の在り方について、(B)を聞くと、「bioplasticは、環境に優しいのだが、注意すべきこともある」など、自分が生きているこの時代、この世界が抱えるさまざまな問題について、新しい知識を獲得したり、考えさせられたりすることになります。

しかも、2分程度の短い時間に「ぎゅっとまとめて」伝えてくれます。リスニング力を試されているわけですが、「今度はどんな新しいことが学べるのか」「さて、1回のリスニングで知識をどこまで理解し獲得できるか、勝負だ!」といった姿勢で、挑まれるとよいと思います。

リスニング教材を効果的に使って自習する方法

学問に王道はありませんが、効果的な方法はあります。「リスニング教材を効果的に使って自習する方法」へと移りましょう。『完全攻略!英検1級』(アルク)の巻末にある模擬試験Part 2 (C)を教材に、映像講義も添えました。学習にぜひ役立ててください。

では、まず下の動画(00分00秒~02分50秒)でパッセージと問題を聞いてみましょう。

実際の問題形式を踏まえた問題集や、過去問であれば、まず、問題形式どおりに、問題を解いてみましょう。ただし、答え合わせはまだしないでおきましょう。

ここから、いよいよ本格的トレーニングの方法です。

① 聞いて、頭に残っていることを言う

30秒とか1分とか制限時間を決めて、とにかくその間、わかったこと、こんな内容じゃないか、と思うことを話し続ける。これを3回は繰り返しましょう。

では、この練習を下の動画(02分50秒~13分43秒)を見ながらやってみましょう。

② スクリプトを見て英文を確認&語彙表現を覚えるトレーニング

スクリプトを見ながら、語彙表現を調べたり、不明な点を確認したりしましょう。語彙表現については、日英対訳リストにまとめ、日本語の意味→英単語・フレーズを言えるようになるまで訓練しておきましょう。オンラインの辞書や電子辞書が発音まで教えてくれるはずです。

では、この練習を下の動画(13分54秒~21分35秒)を見ながらやってみましょう。

③ もう一度聞いて、最初に選んだ答えでよいかどうか再度考えよう

もう一度質問を聞いて、最初に選んだ答えでよいかどうか再度考えて適宜訂正し、その後で正解を確認しましょう。 

映像講義にあるようなメモを手掛かりに1分で内容を語れるように、してしまいましょう。

この活動は、リスニングやリーディングで必要な、情報を取り込む(既習の事柄を踏まえての推察、検証、新しい概念の形成、情報の再編集など)思考力の基礎体力を作ってくれます。

では、この練習を下の動画(21分35秒~28分00秒)を見ながらやってみましょう。

④ 音と意味の一致を心掛けて、そっくり音読

内容も語彙表現も理解した上で、模範の音読とそっくりに音読できるように練習しましょう。では、この練習を下の動画(28分00秒~36分02秒)を見ながらやってみましょう。

⑤中西さんに負けるな!動画でシャドーイングにチャレンジ

最後はシャドーイングで仕上げましょう。シャドーイングは、リスニング力向上を目指すときの、一つのゴールです。「音と音が運んでくる意味、情報の一致」を、頭の中に完璧に作り出すための方法です。

この体験を重ねることで、新しく聞くものであっても、「音から意味や情報をつかむ」ことが早くなってきます。自分が発話するときの音声表現にもよい効果があります。

1. テキストをふせて、音声を聞きながら、つぶやいてみる。

2. つまったところは、スクリプトを見ながら、その部分の音声を聞き、音読練習。

3. 1. 2.を繰り返していく。

最後には、全部聞きながら、そのとおりに、まるで人間CDプレーヤーのように、自分がこの英文を語っているかのように最初から最後まで言うことができると思います。

完璧なシャドーイングが、3回連続でできたら完成、一区切りとしましょう。

では、この練習を下の動画(36分05秒~40分20秒)を見ながらやってみましょう。 

なぜ、聞いたり、語ったりするのか

「一度問題を解くために聞いて、答えを確認して、それで終わり」にしてしまってはもったいないのです。せっかく問題が新しい知識を教えてくれるのですから、その内容を自分の中に取り込めるように、また、その内容にまとわりつくようにして、語彙表現が身に付いていくようにすることが大切です。

それには、先ほどの①~⑤のステップを踏まえて、音を大切にしながら、発信活動(わかったことを言ってみる)を絡めた学習をすることが大切です。誰かに内容を伝えるつもりで聞くのと、問題の答えがわかれば(選択肢が選べれば)よいと思って聞くのとでは、聞く姿勢が違ってきます。

リスニング問題のPart 2の正答率が上がるということは、聞いたことも見たこともないことを英語で聞きながら、「音に乗って耳に入ってくる情報」を「瞬時にまとめ」たり、「次はこうくるかと予測」して「え、そうじゃないの?と検証」したりすることが上手になる、ということです。

リーディングは後戻りできますが、リスニングは後戻りができません。その都度、頭の中に情報を整理して折り畳んでいく必要があります。つまり、「リーディングよりも素早い情報処理」を求められるのです。Part 2のような内容を聞き取るのが上手になることは、リーディング力にも必ずよい影響があるはずです。

音読とシャドーイングで目指すこと

1) 聞き手に意味を伝える音読を目指そう

音読練習をするときに目指してほしいのは、聞き手に意味をしっかり伝えられる音読になっているか、自分の音読を録音したら模範音声として使ってもらえるか、という点を意識することです。

リダクションやリンキングなど英語のphonological rules(音韻規則)を知識として持っているだけでは駄目です。聞いて、実際に自分がそのとおりに行ってみることで、「聞くとき、話すときに使える」状態にしておかないといけないのです。これは文法も同じです。知っていることと使えることの間には、壁があります。使えるようにする訓練が必要です。

「音の固まり、チャンクで意味を捉える」とリスニングはうまくいく、ということも本当です。ところが、どうすればその極意を身に付けられるかというと、聞いているだけではやはりその感覚は身に付きません。音読やシャドーイングをすることで、その感覚が身に付きます。

2) 国際標準の、いい音読を模範にしましょう

多くの英語学習者の皆さんが、中学、高校と、模範となる音声を持たずに音読練習をしてきたことと思います。耳にするものが、友人の音読であったり、教室で声を張り上げての教師の音読であったと思います。

そうして得た音読が身に付いてしまって、リスニング力に好ましくない影響を及ぼしていませんか。ぜひ、プロフェッショナルナレーターによる自然でわかりやすい音読を模範として意識し、自分の音読との違いを客観的に洗い出し、直そうとすることを心掛けましょう。

ご自身の音読を録音して、模範と自分の音読を聞き比べてみましょう。模範を提供してくれるナレーターをライバルだと思って、徹底的にまねをして、いつかは、わかりやすさや聞きやすさで乗り越えてやる、という意識を持ちましょう。

意味の固まりで、語と語がつながって一つの単語のように発音される、大切な言葉は強勢を置いて発音される、ということに慣れていないと、聞くときも意味の固まりで捉えることができず、重要な語句以外の、弱く読まれている語に注意がいってしまって、耳から入ってきている情報の整理が追い付かない、という状態になります。

徹底して模範をまねする音読で、まとまった情報を伝えるときの英語の特徴を身に付けてください。

こうした音読練習は、自分の発話をよりわかりやすいものにもしてくれます。英検の面接で、発音を意識する、わかりやすさを意識する心のゆとりはないだろうと思います。しかし、日頃から模範を大切にした音読練習やシャドーイング練習をしておけば、自然にわかりやすい発話ができるようになっていくと思います。

英検の概要

英検(実用英語技能検定)1級の試験内容は、日本英語検定協会の下記サイトをご参照ください。
https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_1/detail.html

リスニングの測定技能と検定形式(約35分)
形式・課題 形式・課題詳細 問題数 問題文の種類 解答形式
会話の内容一致選択 会話の内容に関する質問に答える。(放送回数1回) 10 会話文 4肢選択
文の内容一致選択 パッセージの内容に関する質問に答える。(放送回数1回) 10 説明文など 4肢選択
Real-Life形式の
内容一致選択
Real-Life 形式の放送内容に関する質問に答える。
(放送回数1回)
5 アナウンスなど 4肢選択
インタビューの内容一致選択 インタビューの内容に関する質問に答える。
(放送回数1回)
2 インタビュー 4肢選択

 

中西哲彦さんの本

【音声DL、別冊解答・解説付】完全攻略! 英検(R)1級

【音声DL、別冊解答・解説付】完全攻略! 英検(R)1級

  • 作者:中西 哲彦
  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: 単行本
 

ALTタグ中西哲彦

中西哲彦愛知教育大学教育学部外国語教室卒。三重県立高校 、大手英語学校で教壇に立ち、日本福祉大学国際福祉開発学部国際福祉開発学科にて准教授。現在はアルファ英語会、茅ヶ崎方式英語会顧問、自らも英検1級、準1級を狙う学習者を対象に「英語上級者への道」を開講し幅広い層に英語を教えている。金城学院大学の講師も務める。過去には、英検セミナー派遣講師として各地の特別授業や英語教育セミナーにて活躍し、日本英語検定協会の学習サイト「めざせ1級!英語上級者への道~ Listen and Speak III」にも登場。また、同サイト上に英検1級、準1級を目指す学習者向け自習学習教材「英語上級者への道・Listen and Speak」を連載(ダウンロード可)。 茅ヶ崎方式英語会が発行する季刊誌「季刊LCT」で連載「ここに注目」を執筆。 『完全攻略!英検1級』(アルク)を執筆。また、『完全攻略!英検1級 二次試験対策』(アルク)では、コラム「発音発話ワンポイント」解説担当。