「英語ができるから好き」になるための、誰でもできるちょっとした工夫

飽きない英語

「モチベーションの維持」。これは英語学習者の永遠のテーマと言えるのではないでしょうか。連載「飽きない英語 マナビツヅケル学習者」では、現役高校教員の大竹保幹さんが、授業で実践している飽きない英語学習の方法と、それを皆さんの英語学習に応用させるコツを紹介します。

皆さんは学生の頃、得意な科目はありましたか?そしてそれは好きな科目でしたか

一般的に、得意科目と好きな科目は一致することが多いように感じます。人間誰しも「できる自信」があるものは好きになりやすい一方、どんなに好きなものだったとしてもずっと「できない」ままでは、好きな気持ちも薄れていってしまいます。「できる」と感じることは学習意欲に直結しているとも言えます。

好きで英語を勉強している人はいいとして、もしあなたが本当は乗り気ではないのに仕事などの都合で勉強しなくてはならないという状況なら、まずは「できるから好き」という状態を作ることから始めてみませんか?

第4回のテーマは、「『できる』を実感する」です。

「できる」から好きになる

国語や社会は文系科目で、数学や理科は理系科目。では英語は? 

もちろん、国語と同じように「ことば」を扱っているので本来は文系科目ですが、大学受験においてはほぼ全員に課されているため非常に特別な立ち位置にある科目です。

英語という科目自体の人気も結構極端で、どの学校のどのクラスに行っても「すごく好き」という熱狂的なファンから「絶対に無理」という人まで実にさまざまです。英語が嫌いな人にとって、どうしても逃げられない英語という科目は天敵以外の何物でもありませんよね。

この状況は、大学生になっても社会人になってもあまり変わらないような気さえします。英語が好きで英文科などに進んでいる人は別にしても、英語が苦手な人や好きではない人でも、大学では海外の文献を調べたり、論文を書いたりするときには多少なりとも英語を必要としますし、会社でも英語の資格を求められたり、英文メールのやり取りをせざるを得ないこともあるでしょう。

英語を勉強しなくてはいけない理由は本当に人それぞれです。だからこそ、英語好きでない人にとって英語の勉強に火を付けるのはなかなか簡単なことではないとも言えます。

では、どうすれば少しでも英語を好きになれるのでしょうか

英語が好きになるきっかけのわかりやすい例として、「テストでいい点を取れるから」というものがあります。もともと英語自体にあまり興味がなくても、ほかの科目よりも高得点を取りやすかったり、成績がよかったりしたので自分の得意科目だと思うようになり、いつの間にか「英語の勉強が好きかも」と考えるようになるというものです。

英語に限らずほかの科目で同じような経験をお持ちの方もたくさんいるはずです。「結果が出ると好きになる」というのは人間誰しも持っている性質だからです。

逆に、最初はどんなに英語に興味を持っていたとしても、試験でさんざんな結果が続いてしまうと次第に英語の勉強自体がつまらなく思えてくることだってあります。「好きなことは得意でいたい」という気持ちを失わないためにも、「できる感」は絶対に必要なのですね。

学校の定期試験でもテストを難しめに設定して平均点が低い状態が続くと、クラス全体の学習意欲はだんだん低くなっていくような気がします。みんな頑張った分、ご褒美として高得点を求めているのではないでしょうか。平均点が低く、数人だけが高得点を取れるような仕組みのテストは、ほんの数人の優越感のための演出をしているだけで、ほかの多数のやる気を大幅にそいでいると言ってもいいくらいです。

このように、試験の結果などをいわば道具的に利用して学習への動機付けを図ろうとすることを「外発的動機付け」と言い、生徒のやる気に火をつける手法としてよく知られています。もちろん、何事もやりすぎは禁物で、あまり極端にテストを意識させすぎると生徒は「テストのために英語を勉強している」と勘違いしてしまうことになってしまいます。

とはいえ、これはすべて学校の中の話であり、定期テストについてはプロの教師が考えればよいことです。しかし、それだけ「できる感」を演出することは学習の動機付けにおいて非常に重要だということは知っておくとよいですし、それを自分に応用しない手はありません。

毎日の学習で「できる」を演出する方法

適切な教材選び

自分に「できる感」を与えるためにまず必要なのは適切な教材選びです。

例えば、TOEICで700点台を取るのが目標だったとして、書店でどのような対策本を選べばいいでしょうか。『TOEIC 730点攻略の○○』といったタイトルの本は当然手に取るでしょう。使いやすそうなものであればすぐに買うかもしれません。

でも、もう少し冷静に中身について考えてみましょう。その本に書かれている演習問題に何割くらい答えることができますか?もし「まるっきりわからない」とか「ほとんど知らない」のであれば、1つ下のレベルの本から始めるのをおすすめします。

知らない語彙や表現であふれている問題集では、ページをめくるたびにTOEICの高い壁を感じてしまいます。これでは目標の700点台に向けて「いけるぞ!」とは思えなくなってしまいそうです。

それに、そもそもその下のレベルの表現はしっかりと覚えているのかも確かめることができません。「できる感」の演出は、自分の気持ちを高めるだけでなく、英語の土台がしっかりとできているかの確認作業でもあるのです。

極端なことを言うと、英語が苦手な人が英検1級の単語集の語彙を2000個覚えたとしても、英検5級から準1級までの語彙や表現が全然身に付いていないのであれば、英検1級に合格できるはずがないということです。

自分の目標のレベルの教材を買うこと自体はまったく悪いことではありませんが、冷静に自分の実力を判断して、時には基礎から丁寧に学び直す勇気も必要です。勉強している姿は誰に見られているわけではありませんから、易しいテキストを使っていてもまったく恥じることはありません。むしろ、上級者を目指すからこそ基礎を徹底的に身に付けようという姿勢の表れですから、褒めるべき行為だとも言えます。

「繰り返し」と「下勉強」

次に大切なのは同じ教材を「繰り返す」ことです。

これは復習することで知識を記憶に定着しやすくするという効果もありますが、2回目、3回目と回数をこなすことで徐々に英語でできることが増えていることを実感するためでもあります。

演習問題などであれば、間違えた問題に付ける印を回数ごとに変えていくことで、自分の成長を可視化するといいでしょう。どうしても覚えられない表現などもついでにあぶり出すことができるので、一石二鳥です。

逆に一番やってはいけないのは、コロコロと新しい教材に切り替えてしまうことです。せっかく頑張って途中まで進めたのに、「自分には合っていない」などの理由でほかのものに替えてしまう生徒を山ほど見てきました。

しかし、本当に教材との相性が悪いのは一握りの人だけで、多くの場合は「自分のレベルに合っていない」ために挫折して、ほかの本に助けを求めているように感じます。教材は1冊通して学習することで必要な知識を満遍なく学習できるように作られています。途中でほかの本に浮気してしまっては、結局すべてが中途半端なものになってしまうことを忘れてはいけません。

ちなみに、「できる感」の演出は何も資格試験の問題演習だけの話ではありません。例えば、映画全編に出てくる英語のセリフを解説する本をしっかりと読んだあとに、その映画を英語字幕や字幕なしの状態で見ることでも「字幕なしでもいけるかも」と思えるものです。小説で原作を読んでから、その映画作品を観ることで内容を把握しやすい状態にするのもいいでしょう。

最初は英語の勉強をやらされている感があったとしても、意識的に「できる」を演出していくことで、少しずつ英語そのものへの興味が高まっていくものです。自分の「できない」を知っているからこそ、「できる」を分析できる。1人で学習するメリットはここにありそうです。

子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ

子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ

  • 作者: 大竹保幹
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大竹保幹

文:大竹保幹(おおたけ やすまさ)
神奈川県立多摩高等学校教諭。1984年、横浜市生まれ。明治大学文学部文学科卒業。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。趣味は読書。好きな作家はスティーヴン・キング。著書に『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』、『まんがでわかる「have」の本』(アルク)。

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