この連載では『Mr. Evine の中学英文法を修了するドリル 』などでおなじみのカリスマ英語講師Mr. Evineさんが、スピーキングにつながる英文法のテクニックをクイズ形式で紹介します。「家族と話す」と言いたいとき、tell / speak / talkのどちらが正しいでしょうか?
Hello! Evineです。連載1回目のテーマは「動詞の語法」です。「動詞」は英語での発信の核であり、意味を捉える上で知っていなければならない大切な要素です。また、動詞の後に何が続くのか(名詞、形容詞などの品詞)も動詞の語法によって決まることから、常に意識したい存在。まずは次のクイズを解いてみましょう。
チャレンジ!話せる英語クイズ
Q.( )内の動詞のうち最も自然なものを一つだけ選び、英文を完成させましょう。
さて、どの答えがなぜ正しいか、理由を説明できるでしょうか? 答え合わせをしましょう。
場面を意識して動詞を使い分けよう!
この問題、実は文法的な基準で考えるとspeak もtalk もどちらも正解です。つまり、文法的に正しいかどうかだけでは解けないわけです。
結論から言えば、この場面でspeak は少し不自然です。この英文は「家族と自分の夢について話し合う」場面ですので、こうした双方向の対話を意識した「会話」では、talk でなければしっくりきません。これが典型的なネイティブの言い回しです。
一方、speak は単純に「話をする」行為に焦点が合い、“OK, I’ll speak to her at the weekend.”(それじゃあ、週末にでも彼女と話してみるよ)のような英文であればOK です。
では次に、動詞scold(叱る)の例文を比較してみてください。
(a) Our manager was scolded for not doing her job.
上司は自分の仕事をしなかったことを叱られました。
(b) If my mom knew I was still awake, she’d scold me.
私がまだ起きてるってお母さんが知ったら、叱られる。
scold の使い方として (a) はNG。scold は (b) のように大人が「子どもを叱る」場合に用いるのが適切で、「大人を叱る」という場面では不自然に聞こえます。
インプットからアウトプットにつなげる3つのステップ
それではここで、インプットからアウトプットにつなげていくためのスピーキングに必要な要素を、今回の動詞scold を使って、ステージごとに整理していきましょう。
Stage 1:インプット |
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Stage 2:インプット |
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Stage 3:アウトプット |
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Stage 1と2がインプット、Stage 3がアウトプットです。特にStage 1の「文法的な理屈を知る」ことと、Stage 2の「使う場面を意識する」ことはとても重要。また、Stage 3の「実際に使ってみる」練習をしなければ、スピーキング力は身に付かないので、日常会話にひも付けた英文を声に出してみることが大切です。
レベルアップ問題にチャレンジ!
スピーキングにつながる文法力を身に付けるため、次の「動詞の語法を試す問題」にチャレンジして、さらにレベルアップを目指しましょう。
(1)(A) Shall I pick you up at the station? =
(B)Do you ( ) me ( ) pick you up at the station?
(2)結局、いい天気だったんだ!
It ( )( ) to be a nice day!
(3)その会場に行くための一番の方法は何ですか?
( ) the best way to ( ) to the venue?
『10日間完成! 英文法総合問題集 ES【高校標準編】』(アルク)より抜粋
レベルアップ問題の解説
まず(1)について。Shall I …?( ~しましょうか?)は相手の様子を伺いながら、何かを提案したり、助言を求めたりする場面で、相手の意向を尋ねる定番の会話表現ですが、特にアメリカではWhat shall I …? のように疑問詞付きで用いることはあっても、フォーマルな響きであるため敬遠されがちです。それよりも、今回の答え“Do you want me to~”をより好んで使う傾向があります。
また、want O toの「Oに・・・してほしい」やtoが不定詞であること、そしてこの目的語(O)は不定詞の意味上の主語になっている、といった文法ポイントも大切ですが、理屈を知っておくだけではなく、ネイティブに好まれる表現の傾向を覚えておきましょう。
続いて(2)について。 turn out …=「結局~になる」と日本語の意味を覚えているだけではこの答えを発想することは難しいですね。日常会話において重宝する表現で、今回であれば「雨が降ると思っていたのに、違う結果になった!」ことを意味します。特に過去形で登場することが多いので、日常の出来事を回想しながら練習したいですね。
最後に(3)について。What’s = What isの短縮形と文法だけを押さえるのではなく、いかに短縮形が口語表現では欠かせないものなのか、その価値も知っておくことが重要です。
「行く」=goは、まさに「日本語」による弊害で状況に合わせた使い方ができていない証拠です。道順などA地点からB地点へと結ぶ「到着」に焦点が当たる会話表現ではgetを用いるのが一般的です。
レベルアップ問題の解答例
(1)(A) Shall I pick you up at the station? =
(B) Do you ( want ) me ( to ) pick you up at the station?
(2)結局、いい天気だったんだ!
It ( turn )( out ) to be a nice day!
(3)その会場に行くための一番の方法は何ですか?
( What’s ) the best way to ( get ) to the venue?
せっかく英語を勉強しても場面に合った使い方を理解していなければ意味がありません。英文をどんな状況で誰に対して伝えるのかを意識しながらアウトプットをして、英語力向上につなげましょう!
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文:Evine(エヴィン)
本名、恵比須大輔。夜景が美しい街、神戸に生まれ育つ。オーストラリアでのワーキングホリデーの経験と、何でも丹念に調べあげる「根性の独学」で英語を習得。子ども英会話講師、塾の英語講師を経て、現在は「やりなおし英語JUKU」を神戸で主宰し、学生から大人まで初心者を対象とした使える英語学習指導に従事している。著書は『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル』、『Mr. Evine の中学英文法クイック・チェック 』(アルク刊)など多数。趣味は映画を見ること、ダイビング。
ブログ「エビンズワーズ」