車の窓の開け閉め、openやcloseじゃなくて何て言うの?【映画で英語】

映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれで すぐに 使える英語表現を毎回1つ紹介します!

今日のおすすめ表現

Roll up your window.
「窓を閉める」と言うとき 、いつもなら“ Close ”という単語を使いますよね。でも 車の中というシチュエーションで限って言えば、もっと自然な英語表現がある のを知っていますか?これが、今回のおすすめ表現“Roll up your window.”です。

表現の出どころ

今回は、2000年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の映画『 メメント 』からの表現です。

メメント (字幕版)
  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
過去のトラウマが 原因 で、新しい記憶が短時間しかもたない「前向性健忘症」という症状を抱えるレナード(ガイ・ピアース)が主人公。このトラウマの 原因 である、自分の妻を殺した犯人を見つけようとするのですが、記憶が続きません。そこで、日々の出来事をインスタントカメラで撮影し、そこにメモを残すことで記憶力を補います。

メメント 』の最大の特徴は、まるで映画を見る私たちの記憶力さえも試すかのように、物語が「逆行」で進行していくこと。つまり、新しい出来事から、そこへ至るまでの過程へと時系列が戻る形でストーリーが 展開 していきます。 ちなみに 、白黒のシーンは時系列通りに 展開 していきます。複雑ですね!?

ということで、1度見ただけではうまく理解できないかもしれません。2回、3回と見ていくことで、「あ、あのときのあれはこういうことだったのか!」と分かり、この作品の面白さがじわじわ伝わってくることでしょう。

作品の中でこのせりふを言うのは、レナードをことあるごとに助ける友人、テディ。レナードが運転する車の中で、テディは “Roll up your window.”と言いながら、手で「上げろ」というジェスチャー をレナードに向かってします。

これは「窓を閉めろ」と言っている意味なのですが、なぜ“ close ”ではなく“roll up”なのでしょうか?今のようにスイッチ一つで自動で開け閉めできる、パワーウインドウになる前の車を知っている人なら、難しくはありません。

かつて車には、ドアの内側にハンドルが付いていて、それをくるくると回すことで窓の開け閉めをしていました。今、こうした手動の窓はほとんど見られないと思いますが、表現としてはこのときの名残で、車の窓は

open / close
ではなく、
roll down / roll up
を使うのです(そのため、バスのようにもともとハンドル式ではない窓には使いません)。

他にもこんな感じに、言葉だけが残ってしまった例はたくさんあります。例えば、ダイヤル式の電話はもうほとんど見ませんが、「電話をかける」は

dial a number
と表現します。また、昔の電話は受話器の部分を引っ掛けて通話を終わらせたため、「電話を切る」ことを、今でも
Hang up the phone.
と言います。

ちなみに この映画は20年前と古いし、“Roll up your window.” なんて表現を使うってことは、レナードの車の窓はハンドルが付いた手動式だったんじゃ?と思ってしまうかもしれませんが、“Roll up your window.” と言われたレナードが窓を閉めるときに、パワーウィンドウが作動する音が聞こえます。

まとめ

通常の窓とは違い、自動車の窓を開けるときは  “open” の代わりに “roll down” 、閉めるときは  close ” の代わりに “roll up”  という言葉を使うと、より自然な英語表現になります。

今は存在しないもので表現だけが残ったという言葉は意外とありそうです。そういうものを探してみるのも面白いかもしれませんね。

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文:松丸さとみ

フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp

編集:GOTCHA!編集部

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