IELTS対策:リスニングとリーディング~エキスパートが教える試験の内容、対策、サンプル問題、採点方法

IELTS(アイエルツ)は、世界140カ国、1万以上の機関で認定されている、英語4技能テストです。世界で年間350万人以上の受験者が、留学・移住・就業のために受験しています。4技能をバランスよく磨くことができる実用的な試験で、ビジネスだけでなく日常生活やアカデミックな場での英語に関心が高い人にもおすすめです。この連載では、IELTS一筋20年のエキスパートが「IELTS入門」をお届けします。第2回は「リスニングテストとリーディングテストの試験内容と対策」です。

こんにちは、Don Oliver(ドン・オリバー)です。20年以上IELTSテストに携わり、世界各地であらゆる英語レベルのIELTS対策コースを考案、実施してきました。

IELTSは、リスニング(40分)、リーディング(60分)、ライティング(60分)、スピーキング(約15分)の4つの英語スキルのテストです。受験者は目的に応じて、「アカデミック」と「ジェネラル・トレーニング」という2つのモジュールからどちらかを選択します。前者は主に留学生などが、後者は主に移住者などが受験します。4つのスキルのうち、リスニングとスピーキングは「アカデミック」と「ジェネラル・トレーニング」で共通ですが、リーディングとライティングの問題は異なっています。IELTS全体についての詳細は、 第1回記事 をご参照ください。

今回は、リスニングとリーディングのテストの内容と対策法を紹介します。

IELTSリスニングテストの試験内容と対策

まずはリスニングテストから見ていきましょう。

IELTSリスニングテストの形式

リスニングテストの試験時間は30分。内容は、IELTSの2つのモジュール、「アカデミック」と「ジェネラル・トレーニング」で同一です。4つのセクションに分かれています。音声は一度だけ流され、さまざまなアクセントのネイティブスピーカーを含む人物たちの会話などが使用されます。

セクション1:日常生活における2人の人物の会話 (宿泊施設の予約など)

セクション2:日常生活におけるモノローグ(地域の施設に関する描写、会議の食事の手配に関する説明など)

セクション3:教育や研修現場での最大4人の会話(大学教授と学生の議論、プロジェクトを計画するグループ内での議論など)

セクション4:学術的なテーマに関するモノローグ(大学の講義

IELTSリスニングテストのサンプル問題

「Sample test questions」 のページの「Listening」のところにサンプル問題が掲載されています。

「sample task」で各問題の質問、英文トランスクリプト、解答を見ることができ、「listening」で各問題の音声を聞くことができます。

例えば、 「Listening sample 3 task - Short Answer」「IELTS Listening recording 3」 では、モノローグを聞いて、3つの質問に答える問題に挑戦できます。

IELTSリスニングテストの対策ポイント

リスニングテストでは、次の5つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 各セクションの開始時、音声が流れる前に、そのセクションの質問を慎重に読んでください。問題の流れが理解でき、答えを導くのに役立ちます。

  2. 字数制限に注意!「2語以上の単語を書かないこと」という 指示 がある場合に2語以上の単語を書いてしまうと、たとえ書いたものの中に正しい単語があっても不正解になります。

  3. キーワードやその同義語を聞き取るようにすると答えを導きやすくなります。例えば、「彼女はジムに行ってテニスをするのが好きです」という話が出てきたら、答えでは「彼女は活発な人です」というようになります。

  4. 答えられない問題がある場合には、飛ばして次の問題に進みましょう。そうすることでパニックにならずに済みます。最後に時間が残ったら、飛ばした問題に戻り、できれば何らかの答えを書きましょう。

  5. 最後の音声が流れた後、リスニングの問題用紙から解答用紙に答えを転記する時間が10分あります。セクションの合間に答えを解答用紙に転記することはしない方がいいでしょう。次のセクションの音声が流れてきたときに、重要な情報を聞き落としてしまう可能性があるためです。セクション4の音声まで全て流れ終わってから、答えを転記してください。

IELTSリスニングテストの採点方法

リスニングテストの問題数は40問です。正誤問題で、1問正解すると1点が加算され、合計点で「バンドスコア」(9段階評価)が決まります。 IDPのウェブサイト に、「バンドスコア」の詳細と、リスニングテストで特定のバンドスコアを達成するのに必要な点数の平均を示しています。

IELTSリーディングテストの試験内容と対策

次にリーディングテストについて見てみましょう。

IELTSリーディングテストの形式:「アカデミック」モジュール

試験時間は60分。3つのセクションがあり、各セクションには長文が1つ含まれています。

文章は全て実際に使用されている書籍、雑誌、新聞からの抜粋です。幅広い学術的なテーマを扱いますが、一般向けの内容のため、高スコアを取るために専門知識は必要ありません。

「アカデミック」モジュールのリーディングテストは、大学や大学院で学ぶ人、また就労を希望する人にも適しています。内容は、説明的で事実を述べるものから、推論的で 分析を要するものまでさまざまです。文章には、表、グラフ、イラストなどの非言語的な要素が含まれる場合があります。 なお、文章に専門用語が含まれる場合は、簡単な注釈が付いています。

IELTSリーディングテストの形式:「ジェネラル・トレーニング」モジュール

試験時間は60分。次の3つのセクションがあります。どのセクションの文章も、実際に使用されている掲示、広告、会社のハンドブック、公的文書、本、雑誌、新聞などからの抜粋です。

セクション1:事実に即した短い文章から出題されます。複数の文章を読んで答える問題もあります(例:ホテル広告など、あるテーマに関連した6~8の短い文章)。テーマは、英語圏での日常生活に関わるものです。

セクション2:仕事関連(例:求人への応募、会社の方針、賃金と就業条件、職場施設、職員の育成とトレーニング)の短い文章から出題されます。

セクション3:一般的なトピックを扱った、比較的長めで複雑な文章から出題されます。

IELTSリーディングテストのサンプル問題

「Sample test questions」 のページの「Academic Reading」または「General Training Reading」のところにサンプル問題が掲載されています。

「Academic Reading」のサンプル問題例

「Academic Reading sample task - Matching information」 :8つの段落から成る文章と、その文章に関連した6つの情報を読み、各情報がどの段落に書かれているかを選ぶ。

「General Training Reading」のサンプル問題例

「General Training Reading sample task - Identifying Information」 :1つの文章と8つの記述を読み、各記述が文章の内容と合致するかを、「一致」「不一致」「不明(文章に書かれていない)」から選ぶ。

「General Training Reading sample task - Matching Information」 :5つの文章(広告)と8つの事項を読み、各事項への言及がある文章(広告)がどれかを選ぶ。

IELTSリーディングテストの対策ポイント

リーディングテストでは、次の5つのポイントを押さえておきましょう。

  1. リーディングテストのスコアを上げるには、さまざまな英語のテキストを読む練習が必要です。これにより、速読能力が向上します。

  2. 受験時は、まず全ての質問(Questions)を注意深く読んでから、文章を読んでください。答えを導くのが容易になります。読み進む中で正解と思うところに下線を引くなどメモしておきましょう。

  3. 文章を読む際には、おおよその内容を把握するために、まず文章全体にざっと目を通します。分からない言葉について気にする必要はありません。次に、各質問をもう一度読んで、文章のどの部分を精読する必要があるかを決めます。

  4. 質問や文章から単語をそのまま答えに使用する場合は、正確なスペルでなければならないことに注意してください。

  5. 読む際には、キーワードを丸で囲んでください。例えば、文章に地名や日付がたくさん含まれる場合には、読み進む途中で丸で囲みましょう。そうすることで、後で質問に出てきた場合、細部の情報を見つけやすくなります。

IELTSリーディングテストの採点方法

リスニングテストの問題数は40問です。正誤問題で、1問正解すると1点が加算され、合計点で「バンドスコア」(9段階評価)が決まります。 IDPのウェブサイト に、「バンドスコア」の詳細と、「アカデミック」と「ジェネラル・トレーニング」の各リーディングテストで特定のバンドスコアを達成するのに必要な点数の平均を示しています。

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終わりに

「IELTS入門」の第2回はいかがでしたか。第3回では、ライティングとスピーキングのテストの試験内容と対策について詳しくお伝えしますので、ぜひお楽しみに!

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Don Oliver(ドン・オリバー)
Don Oliver(ドン・オリバー)

これまで複数の国々で20年以上にわたりIELTSと関わり、豊富な知識と経験を持っている。オーストラリア国内だけでなく、東南アジアや中東でもIELTS準備コースを含む、あらゆるレベルの英語を教えてきた。さらに、日本を含む東アジア、東南アジア、中東の12カ国以上でIDP/IELTSオーストラリアのマスタークラスセッションを行っている。

編集:望月碧

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