音楽を通じた教育ワークショップに取り組む非営利団体「ヤングアメリカンズ」。これまで「GOTCHA!」では、そのワークショップ「ミュージックアウトリーチ」の体験談などをご紹介してきました。
今回からは、現在ヤングアメリカンズのキャストとして世界で活躍している日本人の方や、ヤングアメリカンズのキャストとしての経験を経て、人生を切り開いた方たちによるリレーコラムが始まります。
第1回は、英語とバレエが大好きで、昨年からキャストとして活躍している近藤朝香さんです。
ヤングアメリカンズにデビューして2年目の近藤朝香です。現在、ヤングアメリカンズ・ジャパンツアー2018春(2018年1月~3月)の出演者として日本に来ています!この記事では、人生に転機が訪れ、ヤングアメリカンズのキャストとなるまでの体験をお伝えしたいと思います。
目次
ヤングアメリカンズってなに?
ヤングアメリカンズは、音楽を通じた教育ワークショップ、「ミュージックアウトリーチ」に取り組むアメリカの非営利団体です。
ワークショップでは、キャストと呼ばれるヤングアメリカンズの若者40人と、200人から300人の受講生が、1日間~3日間で、約1時間の歌って踊るショーを作り上げます。
受講生はプログラムやショーを通じて、自らを自由に表現すること、仲間と何かを作り上げる素晴らしさなどを体験します。2018年の春のジャパンツアーは、「Find your way!(自分の可能性を信じて前に進もう!)」がテーマです。
自信をなくしたときに出会ったヤングアメリカンズ
プロのバレエダンサーになる夢をあきらめかけてた
私は3歳からクラシックバレエを習っていて、中学生の頃はプロのバレエダンサーになりたいと決意し、毎日練習に励んでいました。しかし高校生になると、練習が厳し過ぎて踊ることに楽しさを見出せなくなり、プロへの道は断念しました。結局バレエ自体はやめずに趣味で続けることにしましたが、自分の踊りや自分自身を好きになれない日々でした。
「人生変わるかも」という言葉に動かされてワークショップに参加
ヤングアメリカンズと出会ったのは、私がまだプロのバレエダンサーになるために毎日練習を続けていた、中学3年の3月のこと。ヤングアメリカンズが私の通う中学校に来ることになったのです。興味はあったものの、バレエの練習を優先し、ワークショップには参加しないつもりでした。
数日後、ヤングアメリカンズを学校に呼んでくださった英語の先生に、「ワークショップを受けてみない?人生変わるかもよ!」と言われ「そんなに言うなら・・・」と参加することに。これが後に本当に私の人生を変えます!初めてのワークショップはすごく楽しくて、日々バレエのことで頭がいっぱいの私にとっていい気分転換という感じでした。
人生が本当に変わっちゃった!
ありのままの自分でいることの素晴らしさを教えてくれた
高校1年生の3月。ダンサーの夢を諦めた私は、「バレエしかしてこなくて、将来何をしたいのかまったく分からない!」と路頭に迷っていました。そんなとき、再びヤングアメリカンズのワークショップに参加しました。そこで参加者として取り組んだダンスで、大きなソロパートを躍らせてもらえたのです。
ヤングアメリカンズのキャストから「本当にすごい!」「上手!」とたくさん声をかけてもらいました。その温かい言葉で、いつも自分の踊りに否定的で好きになれなかった私の心がほぐれていくのが分かりました。
実は、ヤングアメリカンズのキャストは「すご~い!」という褒め言葉をたくさん使うのです。自分だけじゃなく、他の参加者が褒められているのを聞くのも心地よく感じました。心が開放されると安心して表現が力強くなっていきました。そして、その場に一体感が生まれました。
私だからこそ伝えられることが絶対にある
3日間のワークショップを通してヤングアメリカンズが教えてくれたことは、踊りや歌の技術ではなく、自分から発信することを純粋に楽しむこと。ありのままの自分でいることの素晴らしさでした。
「世界共通言語である音楽を通して数百人の子どもたちが共に学び、お互いの強みを尊重し、自分の可能性を発掘する」私はこのヤングアメリカンズの理念にとても共感しました。
私だからこそ伝えられることが絶対にあると教えられ、私にもそれができるような気持ちになったのです。私も誰かに自信を与えられるようになりたい!
また、ヤングアメリカンズで踊ることはプロのダンサーとして踊ることではないのです。もう一度自分を追い詰めることないんだ。ヤングアメリカンズでなら踊りを純粋に楽しめる!そう思うと、オーデションを受ける気持ちは固まっていました。
オーディションに受かりたい!英語を勉強しよう!
ヤングアメリカンズのメンバーとの会話はもちろん英語になります。また、世界中を回ってワークショップをするので、英語が自由に話せるようにならなければなりません。日本でワークショップやショーを行うときには、キャストが話す英語を即座に日本語に訳して伝える役割もあります。まずは、オーディションに受かるために英語力を身に付ける必要がありました。
英語を音読することが大好き
英語は昔から好きでした。これもヤングアメリカンズの一員になろうと決めた理由の中の一つです。学生の頃から英語を音読することが大好きで、ひたすら英語の教科書を声に出して読んでいました。
TOEICの学習
私がオーディションを受けた年は、ある程度のTOEICの点数が必要だったので、TOEIC用のテキストを買って自学で合格点をとりました。
英会話教室でマンツーマンの日常英会話
渡米前に小学生でやめていた英会話教室に改めて通い始め、ネイティブ・スピーカーの先生に一対一で日常会話中心にお願いしました。
字幕なしでTEDや洋画を見た
リスニング力を上げるために、字幕なしでTEDや洋画を見たりなどもしていました。 現在ヤングアメリカンズになるために英語のテストが必要なのか、どの程度の点数が必要かなどは毎年変わっているようです。
私の居場所は絶対にここだ
合格通知をいただいたときは、もちろんうれしかったです。「真面目にバレエをやってきたこの十数年年間はやはり無駄ではなかった」という安堵感が大きかったです。そして「私はぜったいここで一流のダンサーになってやる!」と決意しました。
ヤングアメリカンズのキャストとしてワークショップを通し、世界の子どもたちと触れ合っていると、ヤングアメリカンズは私の居場所なんだと、心から思えるようになりました。中学生のころ、バレエダンサーになる!と決めてからヤングアメリカンズのキャストになるまで、私のことを信じてずっと見守ってくれた家族に本当に感謝をしています!
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文:近藤朝香
3歳から当時バレエの先生だった母の元でバレエを始め、5歳からは家の近所にあったお教室にも通い始める。2013年第3回かわさき全国バレエコンクールにてテレビ神奈川賞受賞。2016年ヤングアメリカンズ入団。2017年に夏のジャパンツアー、秋のアメリカのイーストコーストツアーに参加出演。
編集:honeybun