海外ビジネスで百戦錬磨の岡田兵吾さんが、25年の経験から25年の経験から学んだというビジネス英語の「気配り」についてご紹介します。英語ネイティブではない私たちが特に気を付けたいこととは?
ビジネス英語では、タブー英語を理解して避ける「気配り」が大切
新型コロナによって世界中の多くの企業で出社の日数が大幅に減り、リモートワークと出社によるハイブリッドワークが主流となっています。
リモートワークは、プライベートの時間が確保しやすいなど、従業員にとっては利点が多い一方で、出社による働き方と比べると、リアルタイムでの議論や職場での出会いによる偶発的な情報共有の機会が減り、生産性の低下が問題視されてきています。とはいえ、働き方だけではなく、生き方自体が見直され始めた昨今、リモートワークがこれから完全になくなることはないでしょう。
リモートワークの負の側面としての、コミュニケーションの質と頻度が下がり始めたことが危惧される今だからこそ、グローバル大手企業は「従業員同士の会話の機会を増やし、いかにビジネスへと発展させることができるか」ということに注目しています。
こう言うと「たかが会話が減るだけで大げさな」と受け取る方が多いかもしれませんが、「たかがそれだけ」が、情報交換不足による仕事のミスを生みやすくし、仕事の成果の最大化に歯止めを掛ける可能性がある、とグローバル大手企業は危惧しているのです。日々の会話によって生み出される同僚との信頼関係の構築、コラボレーションの強化を、今までよりも強く意識すべき時代が来ているのです。
そもそも一緒に働く仲間同士なら、仕事上の会話だけでなく、プライベートな会話もして、交流を深めたいものです。
しかし、言葉遣いによっては「この人とは仕事上の付き合いだけでいいな」と思われてしまうかもしれない、「タブー英語」があるので注意が必要です。ビジネス英語では、「タブー英語」を避ける「気配り」が大切です。
非ネイティブにもグローバルビジネスのチャンスが
従来は管理職だけが海外出張し参加することが多かったグローバルな会議や交渉の場ですが、リモート化が進んだことで、最近では若手社員も参加できる機会が急増しました。コロナとの共存時代は、英語ができる社員や若手社員にとって、チャンスが多い時代です。
また、世界の「差別すべからず」に英語力不足の非ネイティブも含まれたことで、日本人でも世界規模で仕事がしやすい土壌が育ってきています。グローバルビジネスが加速したことで、非ネイティブでも活躍できるチャンスの時代に突入したのです。
「会話、続ける気ある?」と思われるタブー英語が存在する?!
日本語では、「調子はどうですか?」と聞かれて「まあまあですね」「ぼちぼちでんな」(So-so.)と答えても、さほど不自然ではありません。むしろSo-so.とあいさつするほうが、空気を読んだあいさつとして適切なケースが多いと思います。
しかしグローバル社会では、常にポジティブな姿勢が求められます。So-so. はどちらかというとネガティブな意味合いがあるため、これを聞いた相手は「何か問題を抱えているの?」と心配になります。
せっかく会話が弾みかけているところでSo-so.なんて答えてしまうと、会話が終わってしまうので、相手は「この人、会話続ける気あるの?」と感じます。
日々の会話を生かして社内ネットワークを最大化
グローバル社会の非ネイティブたちは、英語にハンディがあるため、雑談や日々の会話を通じて「誰がどんな仕事の何を担当しているのか」を把握するという、社内外のネットワークづくりに余念がありません。実際、私の在籍するマイクロソフトの調査で、売り上げが高い営業と平均的な営業とでは、社内ネットワークの数に50%を超える差があるという報告がありました。
社内に知り合いが多い人の方が、営業でも高い成果を生み出しているのです。
話題に入らず、話を振られてもSo-so(そこそこ)なコミュニケーションで終わらせていては、貴重な人材・ネットワークの一員と評価されないのを理解することは大事です。
会話の出だしはポジティブが基本
How about you, Hyogo? How are you doing?(ヒョウゴはどう、調子は?)などと、同僚たちに会話を振られた場合、会話の出だしでポジティブさを出すためには、Great! と答えてもよいのですが、より熱くパワフルなキャラクターとして認識されたいので、私は、I’ve been doing great!(絶好調です!)と答えるようにしています。
私より前に別の同僚が仕事などで調子の良い話をしている場合には、I’ve been doing great as well!(私も絶好調です!)と答えます。
この返事は元気過ぎて相手にビックリされることもありますが、かえって自分を強く印象づけることができてよいと思っています。I’ve been ...と現在完了形にすることで、「今だけではなくずっと元気だった」というアピールもできます。
また聞かれたことに答えるだけではなく、How about you?(あなたはどう?)といったフレーズで聞き返すことも大切です。相手の返事次第で、Sounds like you’re having fun.(楽しそうだね)やThat’s good to hear!(それはよかった!)などとリアクションをすれば、会話が弾むこと間違いなしです。
社内外のネットワークをつくることが、今の仕事だけでなく、将来の仕事の成功を生み出すのです。単なるあいさつだと軽視することなく、「いつでも話しやすくてフレンドリーな人だな」と感じてもらえるような返答を心掛けましょう。
雑談を盛り上げたいときに使える英語表現
What have you been up to?
どうしてた?
How’s your work?
仕事はどう?
Any big news?
何か大きなニュースは?
How are you?と聞かれて答えた後に聞き返したり、会話のきっかけをつかんだりしたいときに使えるフレーズです。こうしたフレーズで前向きに会話を展開すれば、自然と打ち解けられます。
What have you been up to?は久しぶりに会った際によく使われる表現で、「最近どうですか?」とカジュアルに尋ねるフレーズです。How’s your work? は、How was your weekend?(週末はどうだった?)などと応用可能です。
もし、Any big news?と聞かれたら、Thank you for asking me!(聞いてくれてありがとう!)と感謝すると好感度がアップします。Yes, fortunately, I managed to get a great deal.(幸運にも、大きな取引ができてね)、My daughter got into a university.(娘が大学に合格してね)などと続けましょう。実は自分のビッグニュースを話したくて質問してくる人もいるので、How about you?などと聞き返してもよいでしょう。
コロナ禍でグローバル化が進む中、グローバル社会でのコミュニケーションツールである英語力を高めることは、仕事の成果やキャリアを大きく底上げします。
英語力不足を嘆いて、英語での仕事を躊躇するのではなく、少しの工夫で自身の英語を変えることが大切です。ちょっとした工夫でも、相手へのニュアンスが大きく変わり、ビジネスの成果は飛躍するでしょう。
今回紹介したように、あいさつの仕方一つとっても、日本人と外国人では大きく異なります。この違いを理解して、今回紹介した日々の雑談を盛り上げたいときに使える英語表現などを生かして、読者皆様が、英語で仕事上の会話だけでなく、プライベートな話もして、より交流を深めて、国内外で英語を使ってさらにご活躍されること願っています。
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