話題の書籍『英語の品格』のレビュー。ワンランク上の英語を話したい方に。

仕事で英語を使うなら、単に通じるだけでなく、ワンランク上の「品のある英語」を身につけたいもの。日本語でも「早くやってよ」といわれるのと「あなたのお力を貸してください」といわれるのとでは、印象が全然違いますよね。おすすめは、今回ご紹介する 『英語の品格』 。ネイティブ・スピーカーから、「この人と仕事をしたい」と思われるような、英語の使い手を目指しましょう!

英語の品格 (インターナショナル新書)
 

【1】「英語はストレートな言語」は誤解!

①アメリカ人だって気を遣う!できないときの断り方

なんとなく、「アメリカ人は率直な人が多い」「英語は日本語よりストレートな言語」と思い込んでいませんか?

確かに、 アメリカは日本よりはっきりものを言う 傾向 がありますが、「なんでもストレートに話す」というのは、大きな間違い。 アメリカ人も日本人のように、丁寧な表現を使うことがあるのです。たとえば、ビジネスシーンで、できないことを断るときは、こんなふうに答えることがあります。

I would rather not do it now, maybe later.

それをするのはやめておきます。あとでやるかもしれません)

I’m sorry but it is not possible given my schedule .

(申し訳ありませんが、私のスケジュールからすると可能ではありません)

いかがでしょう?とても丁寧で婉曲的な表現ですよね。日本人から見たアメリカ人のイメージでは、“We cannot do it now.” や “I do not want to do it now. ” とストレートに言いそうところですが、実際には、 能力がある人や社会的地位が高い人ほど、このような表現を使うそうです

相手の提案に反対したいときも、“I disagree with you.” のような、はっきりした言い方はあまり好まれません。次のような表現がいいでしょう。

I have a different opinion.

(違う意見を持っています。)

I’m not sure that’s the best approach . Let’s discuss it some more.

(それが最善の方法 かどうか よく分かりません。もっと話し合いましょう)

相手に配慮しながら自分の意見を伝えることは、アメリカ人にとっても美徳のひとつ。まさに、「品格」ある表現を大切にしているのです。
②“please”は丁寧じゃない!?知らないと損する依頼の仕方

英語を習うとき、ほとんどの方が「丁寧にお願いするときは“please”を使う」と教えられてきたのではないでしょうか?

ところが、 “please”を使うと、丁寧ではなく、圧迫感のある命令口調のフレーズに 。上司が部下に、先生が生徒になど、目下の者に依頼や注意をするときに使う表現なのです。

例えば、家に入るとき相手に靴を脱いでほしい場合、“Please take off your shoes.(靴を脱いで)” では、ぶしつけな言い方になってしまいます。

相手がお客さまや上司で、丁寧に対応したいときには次のような表現を使ってみましょう。

Would you mind taking off your shoes?

(靴を脱いでいただけるとありがたいです)

no ”や“not”は非常にキツイ表現">③“ no ”や“not”は非常にキツイ表現

「断るときにははっきり NO と言ったほうがいい」というのも日本人の思い込みの一つ。 英語も日本語同様、断るときでも丁寧な表現を使ったほうが相手にも失礼がなく、余計なあつれきを生まずにすみます

例えば、「誤解を避けたいです」と伝えたいとき、“ I really don't want to have a misunderstanding .” というような表現使うと、かなりキツイ印象に。こんなときには、次のような表現がおすすめです。

The last thing I want to do is to have a misunderstanding .

誤解だけは避けたいと思います)

④ “you” を主語にすると個人攻撃に!

相手の勘違いやミスを 指摘 するときには、“you”を主語にしないほうが無難。 “you”を主語にすると、相手に「自分は攻撃されている」と受け取られることがあるからです。

だから、“You made a mistake.”というような言い方はNG。

Iを主語にして「自分はこのように感じます」と主観的に表現すると、相手を個人攻撃しているわけではないことが伝わります。

I found a mistake.

(間違いを見つけました)

【2】「ハンバーガーの公式」で配慮が伝わる

頼まれごとを断るのは、英語でも日本語でもなかなか心苦しいもの。ビジネスシーンならなおさらです。

例えば、他社からの依頼を断りたいとき、どんな表現を使えばいいのでしょうか。

本書では、 相手の気分を害さずきちんと断る表現方法を「ハンバーガーの公式」として紹介 しています。

「言いたいこと」がハンバーガーのパテ(ハンバーグ)だとすると、それをソフトなパンで挟むイメージです。また、パンにパテを挟んだだけでは味気ないので、調味料や野菜を添えてから、相手に差し出します。

順番に見ていきましょう。

①下のパン:まずはポジティブなことをいう

最初はポジティブな表現ではじめ、ソフトな印象にします。

We appreciate your proposal .

提案書をありがとうございます)

②調味料:残念な気持ちを伝える

ストレートな断りの表現の前に、調味料として残念がる気持ちをトッピングしましょう。

Unfortunately,

残念ながら……)

③パテ:メインの断り部分

パンと調味料で準備をしたら、メインのパテを載せるつもりではっきりと答えましょう。

We aren't going to be able to pursue this.

(これを追求できません)

④野菜:理由を説明する

パテだけでは味気ないので、野菜を添えるように理由を加えて

…because it doesn't fit in with our strategy .

(当社の戦略とマッチしないからです)

⑤上のパン:ソフトなパンを重ね、よい雰囲気で終える

最後もソフトに締めくくり、相手を思いやったポジティブな表現を伝えます。

We look forward to getting other proposals from you in future.

(これからもまた提案書をいただくことを楽しみにしております)

このような「ハンバーガーの公式」に従えば、相手の気分を害することなく、きちんと断ることができます。アメリカ人も日本人のように、相手を気遣っていることがわかりますね。

【3】アメリカ人は1から10まで説明する

日本で何かを伝えるとき、一部を話してあとは察してもらおうとする文化があります。最近話題になった「忖度(そんたく)」もその表れかも。

一方、アメリカは、話す側が詳細に説明する文化です。例えば、何かミスをして謝罪するとき、日本ではあれこれ説明すると「言い訳がましい」と思われることがありますが、 アメリカでは「ミスをした理由」をきちんと説明することが求められます

多くを語らない日本人の態度は、ぶっきらぼうらな感じを与えてしまうのです。

謝るときは、“I’m sorry.”だけではダメ。次のように、きちんと理由を添えましょう。

I got really over -extended.

(できる以上の仕事を引き受けてしまいました)

There were a lot of unanticipated things that came up.

(予期せぬ事態が起こってしまいました)

謝罪だけでなく、「なぜそうなったのか」という理由まできちんと話すことで、相手によい印象を与えます。

1から10まで丁寧に説明することこそが、礼儀正しく「品格」のある英語への近道なのです。

この本の著者ってどんな人?

本書の著者は、二人。アメリカ人のロッシェル・カップさんと、日本人の大野和基さんです。

カップさんは、アメリカにある日系企業の手助けをするコンサルタントで、日本語も堪能。大野さんは、国際ジャーナリストとして海外での取材を数多くこなしています。

二人はいわば、「日米の言語と文化のスペシャリスト」。二カ国語に精通し、両国の文化の違いを知り尽くした二人が書いたからこそ、本書は品格のある英語を身につけるのにぴったりな1冊となっているのです。

まとめ

本書は、「心構えひとつ」で、日本人が「品のある使えるようになる」方法を、わかりやすく丁寧に解説してくれます。

また、 多くの例文を掲載しているので、フレーズ集としても便利 。英語でビジネスメールを書くとき、その価値を実感できそうです。

コンパクトな新書判なので、持ち運びがしやすいのもうれしいところ。通勤時間に読破して、デスクに常備しておきたい1冊です。

英語の品格 (インターナショナル新書)
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構成・文:GOTCHA!編集部
GOTCHA(ガチャ、g?t??)は、I GOT YOUから生まれた英語の日常表現。「わかっ た!」「やったぜ!」という意味です。英語や仕事、勉強など、さまざまなテー マで、あなたの毎日に「わかった!」をお届けします。

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