講義や執筆などを通じて「英語を教える」プロとして活躍する、「ハマー」こと濱崎潤之輔さん。インタビュー連載の第2回は前回に引き続き、ハマーさんのこれまでのキャリアやその仕事観についてお話しいただきます。2018年1月公開記事。
前回のインタビュー記事はこちら
編集者になってTOEIC満点に到達!
編集部:前回、TOEICの勉強ブログがきっかけで編集者になったという話を伺いました。著者をスカウトするという話はよく聞きますが、編集者をスカウトする話はあまり耳にしません。
濵﨑潤之輔:その出版社には当時、英語学習書を担当する編集者が少なかったので、僕のような仲間が欲しかったのかもしれませんね。
入社後は予定通り、TOEIC対策書の編集者として仕事を始めました。自分のための勉強も引き続きやっていたので、生活の全部がTOEICになっていました。そして、TOEICに触れる密度が濃くなったおかげでしょうか、出版社に入社した後、初めて満点を取ることができました。
編集部:仕事が自分のしていることのプラスになるという、最高の例ですね!
いつの間にかの著者デビュー
濵﨑;アルクに呼んでいただいて、「ヒットしたTOEIC本の編集者はこんな風に企画を考えている」みたいなテーマでセミナーを担当したこともありました。
編集部:ヒット編集者がやってきた!という感じですね。
濵﨑:実は、ある出版社の方から「うちで本を書きませんか?」とお誘いをいただいたのがそのセミナーのときなんです。そうして書いたTOEIC本が、僕の著者としてのデビュー作です。
編集部:うちが素敵な縁結びに一役買ったんですね。それにしても、塾の先生だったときには編集の仕事の誘いがあって、編集者のときには執筆の誘いがあって。人生、何があるか分かりません。
濵﨑:同じような時期に、自分が担当した書籍のPRにもなるということで、企業でTOEICの講師を務めたこともあります。今の仕事の原型はそんな感じなんです。
その後、講師と執筆をメインにしたフリーランスとして生きていこうと思ったんですが、「他社から本を出しても良いから、うちで編集をやりませんか?」というお誘いを別の出版社の方からいただき、業務委託で本の編集もする、フリーのTOEIC講師という状態になっていた時期もありました。
ただ、頂ける仕事が多すぎて回らなくなってしまったので、今は、編集者としての仕事はやっていなくて、講師と執筆をメインにしています。
続いたのはTOEICだからこそ
濵﨑:よく、「どうすれば大学の先生になれますか?」「どうすれば本を書けますか?」と質問されることもありますが、なかなかうまくは答えられません。
先生になろうとも、本を書きたいとも、1ミリも思ってはいませんでしたが、「その立場に見合ったスキルが付いたら、仕事が向こうからやって来た」というような説明になるでしょうか。
編集部:今にして思えば、TOEICを1回受けただけで終わりにしなかった(※)ことがポイントだったかもしれません。
※ インタビュー第1回を参照。
濵﨑:そうですね。1回目にたまたま790点が取れてしまったので、900点に手が届くかもしれない!と思って継続して受験したんです。最初が600点だったら、続けていなかったと思います。
それって、TOEICの良いところの一つですよね。例えば英検だったら、最初に英検2級を目指して、実際に2級が取れたときに「次は準1級を取ろう」という気になるかどうかは分かりません。なぜなら試験が2級で完結しているからです。
編集部:確かに、満足してしまいそうです。
濵﨑:ところがTOEICだと、自分が取れるマックスの点数が取りあえず出ますが、それがたまたま790点だったから、「これは頑張ればまだまだ行けるな」と思わせられた、と。
正直なところ、最初に何点を目指せばよいのかも分からなかったんです。とにかく最初は、自分ができる限りの勉強を精一杯やってみただけで、その結果が790点でした。
編集部:当時はどんな本で勉強したんでしょうか。
濵﨑:このあたりの本ですね。とてもお世話になりました。
あとはもちろん、公式問題集です。他にもいろいろな本で勉強しました。ただ、当たり前ですが、買った本はすべて、しっかりとやり切っています。
[ハマー式]TOEICスパルタ学習法とは?
編集部:執筆、編集、講師の「三足のわらじ」を履いていた時期も、TOEICの勉強を続けていたんですね。
濵﨑:毎朝1時間30分、定時よりも早く出社するようにして、会社の自分の机でTOEICの勉強をしていました。朝は静かだからはかどりますよ。オフィスもそうですし、通勤の電車も、1時間以上早いと比較的すいているので勉強しやすいんです。
電車内で使うのは、主に模試の縮小コピー。常に持ち歩いているので、電車の中とか、他にもちょっとした時間ができたときは、常にTOEICの勉強をしていました。
昼休みも、食事は簡単に10分程度ですませて、とにかく使える時間の大半をTOEICの勉強に充てていました。
TOEICにも効く「シャドーイング」に目覚める
濵﨑:そういえば、シャドーイングに集中的に取り組んだ時期もありました。非常に効果的でした。アルクさんが出している「究極の英語学習法K/H System」に出会ったんです。
濵﨑:K/Hというのは著者の方々の頭文字で、このシリーズの一番最初の本を買いました。最近も新しいものが出てますよね(取材当時)。
濵﨑:表紙に「最強の英語学習法」という言葉もあって、そこに引かれました。「最強ってことは、これをやったら自分が最強になれるんだ!」と。
最強ということは「それより良いものはないはずだ」となりますよね。そして、この本によると、最強の英語学習法はシャドーイングということでした。
「最強になれるなら」と思って、この本に書かれている通りにシャドーイングの練習をたくさんこなしたんです。実際、TOEICにおける最強、つまり、スコア990に到達し、それを今でもずっと維持しています。
編集部:信じるものは救われる。そうしてハマーさんは最強になったわけですね。
写真:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)
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