ヒロ前田が斬る!860点取ったのに英語でコミュニケーションができません…

TOEIC(R) L&R対策のカリスマ指導者・ヒロ前田さんが、学習者の「TOEICテストあるある」疑問や質問、悩みなどの相談にスッキリ、バッサリ答える連載「TOEICお悩み相談室」。前田さんは今回、どんな「スッキリ」を提供してくれるのでしょう。それとも「バッサリ」?

今回のご相談

860点を目指して1年ほど対策した結果、865点を取れましたが、英語でのコミュニケーションはできません。がっかりです。

――会社員(30代)/TOEICスコア 865点

ヒロ前田の回答:

何がしたいんですか。

バッサリ辛口の解決策

目標を見誤ってはいけません。

あなたは自分が何を言っているかわかっていますか。

860点を目指してテスト対策をして、865点を取ったのであれば、目標を達成したのです。それ にもかかわらず 失望しているということは、「860点を目指していた」はウソだったのですね。

あなたは860点が目標と言いながら、実は英語でスムーズにコミュニケーションができる力を求めていたようです。そうであれば、わざわざ「860点を目指す」などという ウソ目標を設定したのはなぜ ですか。

英語でコミュニケーションができるようになりたいのであれば、 「英語でコミュニケーションができるようになる」ことを目標にするべき ではないですか。そうすれば、その目標に向かうための勉強をしていたはずです。

それなのに、わざわざ「860点 取得 」という適当な目標を設定し、そのための「対策」に1年も費やしただけでなく、目標を達成したくせに勝手に失望している。

そんなあなたに、こっちが失望します。

自分が何をしたいか分かっていない ようですね。

世の中には860点や900点、990点などを本気で目指している人がいます。本気で目指しているので、目標を達成すれば本気で喜びますし、周りの人も素直に祝福します。

あなたは違います。

ウソ目標を設定し、達成しても失望する。そんないい加減な人間なのです。

Non-Nativeとしては十分なコミュニケーションが取れます。

もしかするとあなたは、860点を取ることが高度な英語コミュニケーション力を持っている証明になると思ったのでしょうか。

確かに、TOEICの 実施 団体が発表しているPROFICIENCY SCALE と呼ばれる相関関係表によれば、860点以上のAレベルの評価は「 Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる 」となっています。

もし、それを根拠に「860点を取れば、英語で十分なコミュニケーションができる人になれる」とあなたが思っていたのであれば、 視野が狭いとしか言えません

別の見方もあるはずです。つまり、「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる人はTOEICで860点以上を取る」と解釈することも可能なはずです。このように見れば、特に疑問は持たないですよね。

これを喜ばずして、何を喜べるのでしょう。

あなたに起きたことを説明しましょう。

あなたの英語コミュニケーションレベルは、「コミュニケーションができるまでに至っていない」ですよね。ということは、TOEICで言えばEレベル、つまり、220点程度です。PROFICIENCY SCALE によれば、そうなっています。

あなたは 220点にしか値しない英語コミュニケーション能力しか持っていない のです。

ところが、あなたは「1年におよぶ対策」のおかげで865点を 取得 しました。 驚くべき大成功です 。これを喜ばずして、一体、何を喜べるのでしょうか。

あなたは尋常ではない力の持ち主です。自信を持って、次の目標に向かって歩んでください。あなたなら大丈夫です。

スッキリ優しい解決策

今度はアウトプットの練習をがんばりましょう。

よくがんばりましたね。

多くの人は1年もTOEIC対策を続けることができません。あなたは根気よく努力を続け、しかも目標を達成しました。自分を褒めてあげてください。

英語学習で成功するために最も重要な要素は「継続」 です。

世の中には、「継続できる人」と「継続できない人」がいます。もう気づいていますよね。あなたは「継続できる人」です。それなら、これから英語でコミュニケーションをする練習をしていけばいいではないですか。

今までの1年は絶対に無駄になりません。

865点を取ったということは、英語の基礎力が身についている ということです。ネイティブ・スピーカーや、その他の英語話者とコミュニケーションをする際に、ほとんど困らない程度の語彙力と文法力をお持ちです。

安心 してください。後は、アウトプットの練習をするだけです。

意識を集中させて「聴く」練習をしましょう。

1つアドバイスをします。リスニングの練習を増やしてください。

合計スコアが865点であれば、きっと、リスニングセクションのスコアが450点前後ですよね。そして、1年間もテスト対策をしてきたということは、「教材」に含まれる音声に慣れているということです。

残念ですが、教材の音声と、実際のコミュニケーションで耳にする音声はかなり違います。コミュニケーションにおける音声とは相手の発言です。スピードや発音、声のボリュームなど、人それぞれです。

これからは、日本人のために作られた「教材」から離れて、映画などの 「ナマ素材」を使うことをお勧めします

映画が好きでないなら、音楽でもドラマでも構いません。とにかく、ネイティブスピーカーがネイティブスピーカーのために作ったものを使うことが大切です。

そして、単に「聞く」だけでく、 意識を集中させて「聴く」ことが大事 です。

さらに素材をモノマネするように音読する練習が「効く」のです。

これからはTOEICのハイスコアに見合うコミュニケーション能力を目指してがんばってください。

応援しています。

『英語は朗読でうまくなる!』発売記念イベント開催(T’z英語ラウンジより)

大人のための勉強スペース「T’z英語ラウンジ」では、年末までに多くのTOEIC対策セミナーや英語学習イベントを 実施 します。

2017年12月30日(土)に、元NHKアナウンサーの青谷優子さんによる英語朗読イベントが開催されます。これは、アルクから発売される書籍『英語は朗読でうまくなる!』の発売を記念して 実施 される特別イベントです。

詳細は、 T’z英語ラウンジ公式ウェブサイト をご覧ください。

tz-eigolounge.jp
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ヒロ前田(ひろ まえだ)

TOEIC受験力UPトレーナー。神戸大学経営学部卒。大人のための勉強スペース「T’z英語ラウンジ」経営。2003年5月に講師として全国の企業・大学で指導を開始。2005年にはTOEICを教える指導者を養成する講座をスタートし、トレーナーを務めている。2008年グランドストリーム株式会社を設立。TOEICの受験回数は100回を超え、47都道府県で公開テストを受験する「全国制覇」を2017年5月に達成。 取得 スコアは15点から990点まで幅広い。著書に『TOEICRテスト 究極の模試600問』(アルク)、『TOEICRテスト900点。それでも英語が話せない人、話せる人』(KADOKAWA)、共著に『TOEICRテスト 新形式問題やり込みドリル』(アルク)等がある。
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