black sheepは「黒い羊」?eat like a horseは「馬のように食べる」?本記事では、アメリカ、ウィスコンシン州出身のカン・アンドリュー・ハシモトさんが、直訳のままでは意味が伝わらない、動物を使った英語のユニークな表現を紹介します。会話例から使い方を学んで、ぜひ実際の会話に取り入れてみてください。
目次
※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2019年7月号に掲載した記事を再編集したものです。
動物にまつわる英語表現
1 Rats!
ちぇ!、しまった!、ちくしょう!
mouse、ratはともに「ネズミ」のこと。辞書にはratの方が「大きめのネズミ」とあるかもしれませんが、相違点はサイズよりもむしろイメージです。mouseにはかわいいイメージがありますが、ratにはそれがありません。道を横切るドブネズミは小さくてもrat。Mickey Mouseは巨大でもratではなくmouseです。
表現の会話例
A:Rats! I forgot to bring my water bottle.
B: Don’t worry about it. There’s a drinking fountain right over there.
A:しまった!水筒を持ってくるのを忘れちゃったよ。
B:大丈夫よ。すぐそこに水飲み場があるわ。
2 black sheep
(組織や家族の中の)厄介者
黒い毛のsheep(羊)は染色できないため、白い羊より羊毛も羊自体も安く売買される、そんなところから生まれた慣用句です。家族などの近親者、または同じ地域の中での「厄介者、嫌われ者」という意味を持つ表現として使われます。
表現の会話例
A:Because David was late, the teacher kept all of us at school later than usual.
B: David? Again?
A:He’s the black sheep of our class.
A:デイビッドが遅刻したせいで、みんな学校でいつもより遅くまで先生に引き留められちゃったんだ。
B:デイビッドが?また?
A:彼はクラスの問題児だよ。
3 happy as a clam
とても幸せだ
clam(貝殻)の丸っこい輪郭が笑ったときの口の形と似ていることから生まれたと思われている表現ですが、実はas happy as a clam at high tide(満潮時の貝のように幸せ)の略。貝は満潮時には人や鳥などに食べられたりすることがなく幸せ、というのが語源です。
表現の会話例
A:Oh, did you try the risotto and chicken parmigiana at that restaurant?
B:Yep, I was happy as a clam!
A:えー、あのレストランでリゾットと鶏肉のパルメザンチーズ焼きを食べたの?
B:うん、すごい幸せだった!
4 as blind as a bat
ほとんど目が見えない、視力が弱い
実際は、bat(コウモリ)には視力を持つものとそうでないものがいるのですが、「コウモリは視力を持たない」と一般的に認識されていることから生まれた表現です。ちなみに、視力を持たないコウモリは、超音波を頼りに飛んでいます。
表現の会話例
A:Hey, what are you looking for?
B:My glasses. When I don’t wear them, I’m as blind as a bat.
A:ねぇ、何を探してるの??
B:眼鏡よ。掛けないと、私はほとんど何も見えないの。
5 eat like a horse
大食漢である、大食いだ
horse(馬)を使った英語表現はたくさんあります。strong as a horse(馬のように強い)→「とても強い」、Hold your horses!(馬を押さえて!)→「焦るな!」、beat a dead horse(死んだ馬をたたく)→「解決済みのことを話す、無駄なことを繰り返す」など、英語から意味をイメージしやすいものが多いのではないでしょうか。
表現の会話例
A:What! Four large pizzas all for us? Don’t you think we’ve ordered too much?
B:Nope. I eat like a horse.
A:えーっ!Lサイズのピザ4枚を私たちで?ちょっと頼み過ぎじゃない?
B:全然。僕、大食いだもん。
6 make a monkey out of ~
〜をばかにする、〜をからかう
直訳では「~からサルを作る」となって意味がわかりませんが、monkeyは「サル」だけでなく「(サルのように)いたずらをしたりふざけたりする人」という意味もあるので、そこからイメージすると、この表現も覚えやすいでしょう。ほかにも、monkey business(インチキ)、I’ll be a monkey’s uncle!(びっくりした!)なども知っておくと面白いですね。
表現の会話例
A:Seriously? Are you trying to make a monkey out of me?
B:No offense. I was just making conversation. That’s all.
A:本気?私のことをばかにしてるの?
B:そんなつもりじゃないんだ。話のきっかけをつくろうとした、それだけなんだ。
7 an elephant in the room
言いにくいこと、見て見ぬふりをすること、知らないふりをすること
部屋の中に巨大なelephant(象)がいたら、気付かない人はいないですよね。それでも気付いていないふりをする、というようなことから生まれた表現。「その場にいる人はみんな知っていることなのに、そのことにはあえて触れない」という状況です。日本語の「空気を読む」のような表現に近いかもしれません。
表現の会話例
A:Gee! You dropped out of university to become a rock star?
B:Well, it’s the elephant in the room when my parents are here.
A:えー!ロックスターになるために大学を辞めたの?
B:まあね、両親がいるときは知らないふりしてよ。
8 big fish
大物、重要人物
big fishは「大きい魚」だけでなく「大物、重要人物」といった意味があります。ほかにも、fishにまつわる表現はたくさん。fishy(魚臭い)→「うさんくさい」、a fish out of water(水から上がった魚)→「場違いな状況にいる人」という意味です。どれも英語から想像しやすいですね。
表現の会話例
A:Why did he get mad like that?
B: I don’t know...He thinks he’s a big fish.
A:彼はなんでそんなに怒ったの?
B:知らないわよ・・・自分のことを偉いと思ってるんじゃない?
9 a little bird told me
ある人から聞いた
「小鳥が教えてくれた」という直訳でも、意味を容易に想像できる表現ですね。あることを知った情報の出所を曖昧にしたいときに使われます。told meの代わりにwhispered to me(私にささやいた)、tweeted to me(私につぶやいた)などを使うこともあります。
表現の会話例
A:This is for you. Happy birthday, Diane.
B:What? How did you know it was my birthday today?
A:A little bird told me.
A:これ、プレゼント。ダイアン、誕生日おめでとう。
B:どういうこと?今日が誕生日ってどうして知ってたの?
A:小耳に挟んだのさ。
10 cash cow
もうかる商品・ビジネス、金の成る木
「cow(乳牛)をいったん手に入れたら、ミルクを出し続けてくれる」ということから生まれた表現。「成功したビジネスモデル」を指す言葉として、新聞やインターネットでも目にする機会が多いので、覚えておくと便利です。
表現の会話例
A:What was the article you told me about last night?
B: It was about “How Frozen became Disney’s cash cow.”
A:昨晩、君が言ってた記事って何だっけ?
B:「『アナと雪の女王』はいかにしてディズニーのドル箱になったのか」よ。
ナレーション:Katie Adler、Josh Keller
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