大学で英検やTOEIC対策などを教える、Joyこと和泉有香さんの連載「英検1級取得を目指す人のための言い換え塾」。第5回は、英語を書くときに「使わない方がよい語」などについてお話しいただきます。
今回も「言い換え力」を上げていきましょう!
皆さん、こんにちは。大阪の暑さに溶けかけているJoyこと和泉有香です。「言い換え力」をじわじわと上げていくシリーズの5回目をお届けいたします。
あなたの英語を「どやっ!」とばかりに聞かせる&読ませる方法を、順を追ってご紹介してきていますが(今回「はじめまして」の皆さまは、下のリンクからVol. 1?4もぜひお読みください)、ここまで「単語→フレーズ」と言い換え範囲を広げていきながら、そこに「言い切らない」「コロケーション」「無生物主語」などを絡ませてきました。
さて、今日はちょっとこんな話題から・・・。
文頭に使わない方がよい単語
書く場合に文頭に使わない方がオススメな単語が三つあります。それらは:
And
But
So
(↑文頭っぽさを出すために大文字で始めています)
「ん?今までのン十年の人生の中で普通に使ってきたけど?」
「英語の教科書の本文とか、この3語が文頭に普通にあったような?」
ええ、確かにそうかもしれませんが、私たちが目指すものが「どやっ!」であることを考えるに、ここは一つ、格調を上げるためにも上の3語を使わないことを自らに課した方がよさそうです。その代わりに文頭に使える語(句)を挙げておきます。
And → Moreover、Furthermore、In addition、Additionally
But → However、Nevertheless、Yet、On the other hand
So → Therefore、Consequently、Hence、For this (these) reason(s)
いかがでしょう?話す場合はともかく、書く場合には、以上の代わりの語句で書く癖を付けておきましょう。
英文を書く際に使ってはいけない形
さて書く場合に使ってはいけない形は、短縮形。
・・・以上です。
(ど、どないしよ!? 30字弱で終わってしまった・・・。もうちょっと書くかな。)
it’sやらdoesn’tやら、ごくごく普通に短縮形で書いてしまいがちですが、「どやっ!」路線では厳禁です。話す場合も、2次試験では避けることをおすすめします。書くにしろ話すにしろ、短縮形にしないためにはそれなりに慣れが必要です。自分の書いたものが「短縮形を使っていないか」を最終チェック項目に入れておきましょう。また、話す練習をする際には、スマホなどで録音して後で聞き直してチェックすることを習慣にしましょう。
「繰り返しを避ける」ためにできること
さて、当連載のVol. 1で、「英語は繰り返しを異常に嫌う」と書きました。今日は少し別の方向から繰り返しを避ける書き換え方を考えることにします。今回取り上げる表現は3つです。
- that、those / the one(s)(それ、それら / もの・人)
- the former / the latter(前者 / 後者)
- counterpart(対応する人、もの)
いずれも単語の難易度は全く高くありませんが、自分が使いこなせるようになるには、それなりの知識と練習が必要になりそうです。
それぞれの例文を見ていきましょう。
1. that、those / the one(s)
The murals in this cave look quite similar to those in the remote region.
(この洞窟の壁画は、離れた地域にある物と極めてよく似ている)
※ muralsの繰り返しを避けてthoseに。the onesも可。
Cameras today are more sophisticated than the ones of 10 years ago.
(現代のカメラは10年前の物よりずっと高機能になっている)
※ camerasの繰り返しを避けてthe onesに。thoseも可。
that、those、the one(s)は、いずれも既出の名詞の代わりに使うことが可能ですが、the oneを不可算名詞の代わりに使うことはできません。
○ Traditional music in Asia contrasts with that in Europe.
? Traditional music in Asia contrasts with the one in Europe.
(アジアの伝統音楽はヨーロッパのものとは極めて対照的だ)
2. the former / the latter
The Black Diamond apple and the White Ghost apple are two breeds of the fruit, the former being cultivated in the Tibetan region of Nyingchi, the latter being developed by Zaiger(’s) Genetics.
(ブラックダイヤモンド・アップルとホワイトゴースト・アップルは2つの品種の果実であり、前者はチベットのニンティ地区で栽培され、後者はザイガージェネティック社によって開発された)
The Black Diamond apple and the White Ghost apple are two breeds of the fruit, the former being cultivated in the Tibetan region of Nyingchi, the latter being developed by Zaiger genetics.
— Massimo (@Rainmaker1973) August 6, 2022
[read more: https://t.co/d0uK1CbCcn, https://t.co/OHkwaT4yS5] pic.twitter.com/uUyu2XDPrF
これまでとは少し趣向を変えて、Twitterの「キーワード検索」窓に「the former the latter」と入れて探してみました(で、空腹だったもので、こういうツイートを例文に選んでしまいました)。赤字のthe Black Diamond appleとthe former、青字のthe White Ghost appleとthe latterが、それぞれ呼応しています。
3. counterpart
The French president talked to his Hungarian counterpart.
(フランス大統領は、ハンガリー大統領に話し掛けた)
talked to the Hungarian presidentの代わりにcounterpartを使うと、こんな感じになります。「異なる組織や国などで役割や機能が同等の人やもの」を表すcounterpartをスムーズに自分で書けたり言えたりすると、ずいぶんと言葉が引き締まりますね。
さて、今回はこのあたりで筆を置きましょう(って、原稿を毛筆で書いているわけではありませんが)。最終回のVol. 6は、ここまでに身に付けてきた知識を使って、実際に書き換え練習も少しやってみましょう。では次回もどうぞお楽しみに♪
和泉有香さんの連載
和泉有香さんの本
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!