「謝罪する」英語ビジネスメールの書き方を解説!適切な表現で信頼を回復しよう【例文付き】

「なんとなく英語でビジネスメールを書いているけど、不自然じゃないかな・・・」と不安になったことはありませんか?連載「ワンランク上の英語ビジネスメール講座」(全6回)では、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんが、英語ビジネスメールのポイントをわかりやすく解説します。今回は「ミスを謝罪する」メールです。

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このビジネスメール、どこが残念?「謝罪する」

自分もしくは自分の会社が失敗をしてしまったときはもちろん謝罪をするべきですが、どのように謝罪するかによって、迷惑をかけた相手が納得するか、怒ってしまうかが決まります。

丁寧であることは重要ですが、丁寧過ぎてもおかしな印象を与えてしまいますので、注意が必要です。相手が最も知りたいことにポイントを絞って述べることで、スムーズに謝罪することができます。

今回の記事では、ある顧客に謝罪するビジネスメールを例に挙げ、問題点を指摘するとともに、どのように改善すればいいかを提案します。

皆さんも、下記のメールを読んで、どこが残念なポイントか考えてみてください。

状況

あなたは事務用品を扱う会社で働いています。ある日、得意先から「3日前に注文したシュレッダーがまだ届いていない」という問い合わせのメールを受け取りました。確認したところ、注文を受けたスタッフと発送するスタッフ間の伝達不足で、予定通り発送されていないことがわかりました。

メール例文(添削前)

To: Riley Thomas
Subject: I am very sorry for the delivery delay
From: Ken Ichikawa
Date: Friday, October 9

Dear Mr. Thomas:

I am so sorry to trouble you. We will be able to deliver your order by the 15th of October. Please accept my sincere apologies for any inconvenience caused you due to our incompetence.

Sincerely,

Ken Ichikawa
General Manager
Sales department
DDD Co., Ltd.

残念ポイントはここ!

件名で謝罪は△

いくら謝りたい気持ちが強くても、件名で謝罪するのはビジネスライクではありません。また、件名が長くなる原因にもなるので、謝罪はメールの本文でしましょう。

会社を代表して発言する場合はWeで

最初の文章はIで始まり、最後の文章ではmyを使用しています。今回のように会社を代表して謝罪する場合は、IやmyよりWeourを使う方が望ましいです。

sorryは軽い印象

I am [soso) sorry [toto) trouble you.は、日本語の「迷惑をおかけしてしまい・・・」を英訳した文章のようです。文法的には間違っていませんが、ビジネスメールでこの表現はおすすめできません。I am so sorryが少し軽い印象を与え、謝罪のニュアンスが伝わらないからです。

問題の原因、再発防止策を明らかに

メールには書かれているのは謝罪と納品予定日だけで、メールを受け取った人は納得しない可能性が高いです。相手が知りたいはずの「問題の原因%E5%8E%9F%E5%9B%A0)」と「再発防止対策」が記載されていないからです。より詳細な説明を記載することで、「問題にきちんと対処している」という印象を与えることができます。

丁寧過ぎるのも不自然

誠実に謝りたいとしても、due to our incompetenceは自分を責めすぎている印象を与えるので、言い過ぎかなと思います。このような過度な表現は、ビジネスメールとしてふさわしくありません。

読みやすさや正確な表記にも気を配ろう

このメールは一段落しかありませんが、読みづらいので複数の段落に分けるべきでしょう。また、細かい点ですが、署名欄の部署のdepartmentはDを大文字にすべきです。特定の部署を示しているからです。

理想的なメール例文

上記のメールを、より効果的な形で書き直してみました。

メール例文(添削後)

Subject: Delivery Delay

Dear Mr. Thomas:

Thank you for contacting us concerning the delay of your shipment. We would like to convey our heartfelt apologies for the delay.

We have investigated the cause of the delay and have found that it was due to staff miscommunication. We are currently reviewing our systems and will work to prevent any recurrence.

After looking into the matter, I can confirm that we will be able to deliver your order by October 15.

Once again, please accept our sincerest apologies for any inconvenience this delay may have caused. We look forward to your continued business.

Sincerely,

Ken Ichikawa
General Manager
Sales Department
DDD Co., Ltd.

そのまま返信するか、明確な件名をつける

このような際、可能であれば新しい件名を作るのではなく、相手が使った件名のまま返信するのがいいでしょう。そうすれば、相手もメールを管理しやすくなります。また、あえて題名を付けるなら、Delivery Delayなどとすると、メールの内容を明確にしながら、詳細を本文で伝えることができます。

謝罪メールも始まりはポジティブに

メールをポジティブな雰囲気で始めるために、まずは相手に対して感謝を伝えます。その後は、最初の謝罪を記します。We would like to conveyは「当社から伝えたい」をフォーマルに言うための表現です。「心から」を意味する形容詞のheartfeltを用いれば、より誠実さを示すことができます。apologiesという名詞は、sorryよりもビジネスシーンで適切な言葉です。

相手が求めている情報を真摯な表現で説明

次の段落は、遅れの原因と対策の説明がテーマです。staff miscommunication以上に詳しく説明しなくても問題ありません。

対策は現在考えている最中としながらも、しっかりと検討して、再発を防止するように努力することを伝えています。これを伝えることによって、この問題を軽視していないことと、今後また注文しても同じような問題が起こる可能性が低いと理解してもらえます。

次に、読み手が最も知りたい内容を伝えます。それは、「いつ注文が届くか」ということです。調べたのが自分なので、主語としてIを用いるのは適切です。look into the matterは「この件を調べた」という意味で、真剣に対応している印象を与えるので、読み手も安心するでしょう。

confirmは「確認」という意味ですが、この文脈では「確実に(that以下)になります」というニュアンスです。いつまでに配達できるかを明記しています。

最後にもう一度謝罪の意を示す

最後の段落は、再度の謝罪です。繰り返しになるので、Once againから始めるのが適切です。please accept our sincerest apologiesは謝罪のための丁寧な表現です。

for any inconvenience this delay may have causedは、「もし不便があったのであれば」と(具体的にわからなくとも)起こり得る不便について謝罪しているので、丁寧な印象を与えます。原文のtroubleより、inconvenienceが洗練された表現のため適切です。

このメールは複数の段落から構成され、各段落につき1つのテーマに集中して書かれています。その方が読み手にとって優しい書き方です。

「謝罪する」メールの極意

英語で謝罪のメールを書く際は、きちんと謝罪の意を表すべきですが、過度に長い謝罪は必要ありません。上記の例のように、2回謝れば十分です。日本語で書く謝罪のメールをそのまま英訳すると過剰です。

また、まるで土下座をしているかのような雰囲気を与えるほどの表現を使わなくても、謝罪の気持ちは十分伝えられます。

何よりも伝えたい印象は、顧客を大切に思っていて、問題の原因を把握していて、今後同じことが起こらないように努力しているということです。そのことをきちんと伝えられたら、顧客のいら立ちを和らげ、信頼を勝ち取れるでしょう。

【講評】第2回記事への応募メール

第2回の記事の最後で募集した、「取引先に交渉する」メールを講評します。皆さん、ご応募ありがとうございました。

課題

あなたは、あるイベントの手配を任されています。イベント会場から見積もりが届きました(会場からのメールは第2回の記事を参照)。しかし、予算よりかなり高い金額でした。返信で、なんとか予算内に収める方法がないか、会場の担当者に交渉してみましょう(150 words程度)。

Hideさんのメール(添削前)

Subject: Can you cut the estimate of the cocktail party event

Dear Martha,

I’m afraid that your estimate is higher than we expected. I am hoping that you will cut $400 from the quotation of food and make another estimate.

Because I would like to keep the total cost of this event within $6,000.

Thank you very much for considering this. It would really help us a lot.

I would appreciate your getting back to me about this by the end of the day tomorrow.

Sincerely,

Kana Koyama
Manager of planning department
Orange Company

講評

件名で依頼内容の全てを書くのは、あまりおすすめできません。特に今回のように「相手にとって喜ばしくない内容」の場合は、前置きの後に述べることが望ましいです。そのため、件名は大まかに記載した方がよいでしょう。

例えば、Request concerning the estimate for the cocktail party eventという件名なら、読み手も立食パーティーの見積もりの関連で依頼があることが理解できるので、スムーズに本文を読み始めることができます。

メールの本文の言葉選びは適切で理解しやすいです。I’m afraid that ~.は、ネガティブな情報を伝えるためにとても便利な丁寧表現です。higher than we expectedは、too highより少しソフトながらも洗練された印象を与えます。その後、値引いてほしい額を明確に伝えると共に、全体の予算の上限を記しているのがいい点です。

最後のThank you very much for considering this. It would really help us a lot.という文は、メールの流れとして自然な印象であり、かつその後の文章でいつまでに連絡して欲しいかを明確に示していて、素晴らしいです。

メールの本文の改善点を提案するとすれば、「見積もりが高すぎる」という問題点を述べる前に、前置きがあればいいと思います。例えば、見積もりを送付してくれたことに対しての感謝などを述べるといいでしょう。

添削後のメール文はこちら

misteconさんのメール(添削前)

Dear Martha Johnson,

Thank you for your quote for the cocktail party event.

I am sure it would be a gorgeous event at such a beautiful and cultural place with a great plan. However, unfortunately, we have limited budget for this party and your quote is beyond that. Is it ever possible for you to change the plan of the party so that it can accommodate to $XXXX?

Here are the possible chang of the plan in order to accommodate to our budget:
-We could have less time for the party, say 3 hours
-We could lower the rank of the food or have less variety of food
-We could let the guests help themselves for the foods and drinks
-We could have less decoration for the party

I would really appreciate if you could give us a new quote which could meet our request. Thank you so much for your work and looking forward to seeing you at the museum.

Yours,

Kei Koyama

講評

細かい点ですが、通常、Dearの後に姓と名の両方は書きません。Dear MarthaDear Ms. Johnsonのどちらかを選んだ方がいいでしょう。

本題に入る前に前置きがあるのはとてもいい点です。もっとわかりやすくするために、The plan you put together sounds great, and I am sure it would be lovely.などとした方がいいと思います。今回のメールで指摘したい問題点は「場所」ではないので、ここでbeautiful and cultural placeに触れると、混乱を招く恐れがあります。問題があるということを示すための表現として、その後のHoweverの使い方は適切です。

また、we have limited budget for this party and your quote is beyond that.はとてもわかりやすい言葉選びだと感じます。

その後のIt is everから始まる文章については、予算の上限のことをもう少し明確にするために、change the plan for the party so that it does not exceed our budget of $XXXX?という表現に変えた方がいいでしょう。

見積りの中で削れそうな要素を挙げている点は親切でいいと思います。食べ物の話をするときにrankという単語は使わないので、lower the rank of the foodよりは、focus on less expensive food itemsの方がいいと思われます。

最後に書かれているlooking forward to seeing you at the museumといった挨拶は一般的なので、今回の場合は「改定された見積もりをもらうことを楽しみにしている」というような文章だとよりよいでしょう。

添削後のメール文はこちら

Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)
Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)

1964年、アメリカ、ニューヨーク州生まれ。シカゴ大学経営大学院修了(MBA)。ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。専門は異文化コミュニケーション、グローバル人材育成、人事管理、リーダーシップと組織活性化。著書に『反省しないアメリカ人をあつかう方法34 (アルク はたらく×英語シリーズ)』(アルク)、『[音声DL付]英語の品格 実践編』(アルク)など多数。

ロッシェル・カップさんの本

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