ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!
今回のニュース
公的年金の受給額が4年ぶりに減額される見込みだというニュースです。賃金が下がったことを反映した変更ということで、4月からの受給額から適用されるということです。
Public pensions to be reduced for the first time in four years, down by about 0.1% in fiscal 20212021年1月30日に配信されました。公的年金4年ぶり減額へ 21年度、0.1パーセント程度のマイナス
まずは聞いてみよう!
音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。
※ノーマルスピード(1倍速)の音声です
理解度をチェック!
ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。
What is influencing the decline in public pension payments?正解は、この記事の最後に掲載しています。(A) Revised healthcare premiums.
(B) Deflation of consumption tax.
(C) Lower salaries.
詳細を聞き取ろう
今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。
スクリプト
Public pensions to be reduced for the first time in four years, down by about 0.1% in fiscal 2021
The amount of public pension payments in fiscal 2021 is expected to decline slightly , by about 0.1%, compared to fiscal 2020. This will be the first negative revision in four years, since fiscal 2017, when it decreased by 0.1%. Declining wages is having an effect . The Ministry of Health, Labor and Welfare will make an official decision in late January, when fluctuations in prices and wages for 2020 will be finalized, and apply it from April.
In fiscal 2020, the full amount of the national pension payment for self-employed people was 65,141 yen per month, and the employees’ pension payment for company employees was 220,724 yen per month for a model two-person, married-couple household.
A new rule will be introduced from the next fiscal year to ensure that it is strictly linked to wages when the wage fluctuation falls below the price fluctuation . Wages appear to have fallen slightly , and the new rule will apply . The “macroeconomic slide,” which keeps the growth of pension benefits below that of wages and prices, will not be put in motion.
The pension amount will be revised each year according to the fluctuations of prices and wages. Prices are indexed by the previous year’s Consumer Price Index (CPI), and its January to November 2020 average rose 0.09% year on year. Prices are under increasing downward pressure at the moment due to the impact of the spread of the novel coronavirus infection . The annual average, which includes December, is expected to be around 0%.
The other indicator is wage fluctuation which is calculated using the rate of increase two to four years ago. This time , it seems to have fallen slightly by about 0.1%.
翻訳
公的年金4年ぶり減額へ 21年度、0.1パーセント程度のマイナス
2021年度の公的年金の受給額は20年度に比べ0.1パーセント程度のマイナスと微減になる見通しだ。マイナス改定は0.1パーセント減だった17年度以来4年ぶり。賃金の低下が響く。20年の物価と賃金の 変動 率が確定する1月下旬に厚生労働省が正式決定し4月から適用する。
20年度の受給額は自営業者らが入る国民年金は満額で月6万5141円、会社員らが入る厚生年金は夫婦2人のモデル世帯で22万724円だった。
来年度から賃金 変動 率が物価 変動 率を下回って下落する場合に、賃金との連動を徹底する新ルールが導入される。賃金は小幅の下落となったもようで、新ルールが適用される。賃金と物価よりも年金給付の伸びを抑える「マクロ経済スライド」は発動しない。
年金額は物価と賃金の 変動 率に合わせて毎年度改定する。物価は前年の消費者物価指数(CPI)が 指標 で、20年1~11月平均は前年比0.09パーセント上昇した。新型コロナウイルスの感染 拡大 が響き足元では物価の下落圧力が強まっている。12月分も含めた年間平均では0パーセント前後になる見通し。
もう一つの 指標 の賃金 変動 率は2~4年前の上昇率で計算する。今回は0.1パーセント程度の小幅下落となったもよう。
覚えておきたい単語リスト
ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がいいものをまとめました。一つずつ、意味を確認してください。
- pension :年金
- negative:マイナスの
- revision :改定
- fluctuation : 変動 率
- self-employed people:自営業者
- benefits:給付
- be put in motion:発動する
- index :~の 指標 となる
- downward pressure:下落圧力
- indicator : 指標
ニュースのポイント
公的年金の給付額が減額されるというニュース。見出しの for the first time in four yearsは「4年ぶりに」ということです。
第1段落第1文はis expected to decline slightly (微減になる見込みだ)と結論を述べた後で、下落幅( by about 0.1パーセント)やいつと比べてか( compared to fiscal 2020)の詳しい情報を追加する英文らしい構造です。次の文のnegativeは最近では「陰性の」という意味でも大活躍ですが、この文脈では「マイナスの」という意味。when it decreased by 0.1%は直前の fiscal 2017を補足説明する非制限用法の関係詞節です。この用法はニュースでは必ず登場するといっても良いくらい頻出です。次の文のfluctuations in prices and wagesでは、inが「~における」という意味で登場しています。
第2段落のa model two-person, married-couple householdはmodel、two-person、married-coupleという形容詞がそれぞれhouseholdを説明していて「2人で構成される夫婦だけのモデル世帯」という意味です。
第3段落第3文のthat of wages and pricesの部分は、the growth of pension benefitsと比較するためにthe growthをthatで言い換えています。比較級を使う文でもよく登場するパターンです。年金給付の伸びと賃金や物価は比べられませんから、このthat ofは重要です。
第4段落のyear on yearはよく登場する表現で「前年比で」という意味で、1月から11月までの平均が前年の同期間と比べて0.09パーセント上昇したということになります。
今週のキーワード
be expected to ~と見込まれる、~と期待される主語自身の意思とは関係なく、周りから期待されている動きについて述べる際によく使われる表現。株価や経済 指標 、気象などの自然現象などの変化について述べる際にもよく登場します。
クイズの正解">クイズの正解
(C )
いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週火曜日の 更新 をお楽しみに!
★ニュース英語を学ぶためのおススメ参考書3選はこちら!
日経LissN:日経のニュースを英語でリスニング!
国際情勢や経済動向、企業戦略、テクノロジー、ライフスタイルなど日本経済新聞やNikkei Asian Review のニュースを英語で聴いて、実践的にそして楽しく学べるサービスです。日経がセレクトした記事を毎日5本配信。ぜひお試しください。
※土日祝日は3本となります。
天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!