ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!
今回のニュース
アメリカ、カリフォルニア州で州知事のリコール運動が勢いを増しているというニュースです。新型コロナウイルス感染 拡大 に対する対応に不満が広がってのことですね。全米でも初めてとのことです。
California (US) governor recall a real possibility due to coronavirus responses米カリフォルニア州知事リコールに現実味 コロナ対応で
2021年2月24日に配信されました。
まずは聞いてみよう!
音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。
※ノーマルスピード(1倍速)の音声です
理解度をチェック!
ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。
What is stated about the governor of California?正解は、この記事の最後に掲載しています。(A) He is not satisfied with how local officials have responded.
(B) He is confident that he has handled the coronavirus well .
(C) The public has lost confidence in his ability to handle a crisis.
詳細を聞き取ろう
今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。
スクリプト
California (US) governor recall a real possibility due to coronavirus responses
In the western state of California, the most populous in the US home to 39 million people, there is a growing movement to recall Democrat Governor Newsom. Dissatisfaction with the state 's response to the coronavirus is growing, and more than 90% of the signatures required for a referendum have already been collected. How well the coronavirus is being handled is becoming an issue of confidence in the governor.
In early February, at a restaurant in the suburbs of Los Angeles, a group of men and women held up signs that read " Recall Newsom." They were volunteers calling for people to sign a petition . According to the core group of the recall movement, more than 1.4 million signatures had been collected by February 4th, leaving fewer than 100,000 more signatures needed for a referendum to be held. This is the first time a US state governor's coronavirus related blunders have led to a large- scale recall movement.
The recall movement, started by Republican party supporters in the summer of 2020, gained momentum across party lines as the pandemic dragged on . Restaurateur Angela Marsden (48) said, "I've run out of patience with the incoherent restrictions." Incensed, she cited the ban on outdoor dining during the New Year's holiday season, saying "it was killing small- and medium -sized businesses and causing people to gather indoors, where the risk of infection is high."
翻訳
米カリフォルニア州知事リコールに現実味 コロナ対応で
米国で最多の3900万人が暮らす西部カリフォルニア州で、民主党のニューサム知事のリコールを求める運動が広がっている。新型コロナウイルス対策への不満が高まり、住民投票の 実施 に必要な数の9割を上回る署名がすでに集まった。コロナ対応の巧拙(こうせつ)が首長の信任問題に発展しつつある。
ロサンゼルス郊外のレストランで2月上旬、男女のグループが「リコール・ニューサム」と書いた看板を掲げていた。署名への 協力 を呼びかけるボランティアだ。リコール運動の中核団体によれば2月4日までに140万超の署名を集め、住民投票の 実施 に必要な署名数は残り10万を切った。コロナをめぐる失策で大規模なリコール運動に発展するのは米国の州知事で初めて。
20年夏に共和党の支持者が始めたリコール運動は、コロナの長期化に伴い党派を超えて勢いを強めた。「脈絡のない規制で堪忍袋の緒が切れた」と、レストランを経営するアンジェラ・マースデンさん(48)は言う。年末年始の屋外営業の禁止措置を挙げ「中小企業を殺し、感染リスクの高い室内に人が集まる状況を招いた」と憤る。
覚えておきたい単語リスト
ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がいいものをまとめました。一つずつ、意味を確認してください。
- populous:人口が多い
- dissatisfaction :不満
- signature:署名
- referendum:住民投票
- confidence :信任、信頼
- suburbs:郊外
- petition :嘆願書
- blunder:失策、失態
- gained momentum:勢いを強める、勢いを増す
- across party lines:党派を超えて
- incoherent:脈絡のない
- restaurateur:料理店主
ニュースのポイント
カリフォルニア州知事のリコールを求める動きについてですね。
第1段落のthe western state of Californiaのofは前のthe western state と後ろのCaliforniaが同じ内容を表す用法です。その後に続くthe most populousの後ろには state が省略されています。さらにその後のhome to 39 million peopleもカリフォルニアの説明です。その後に続くa growing movementというのは日本語にはない表現の仕方ですね。日本語ではmovement is growingに相当する語順で表現するのが一般的ですが、英語の場合、主語の前にgrowing、increasing、decliningなどの変化を表す動詞の分詞を使って表現することも一般的です。次の文のsignatureは公的な署名の意味で、その後に続く required for a referendumはsignaturesを後ろから説明しています。
第2段落第2文にある petition は嘆願書のこと。次の文の後半のleaving以降は分詞構文で、主節の内容(140万を超える署名が2月4日までに集まっていたこと)を意味上の主語として、さらに説明を加える働きです。needed for a referendum to be heldの部分は、signaturesを後ろから説明する形容詞の働きですね。
最終段落の gain momentumは「勢いを増す」ということ。 across party linesは「党の間の線を越えて」ということなので、平たく言えば「党派を超えて」という感じ。Angela Marsdenの発言にあるI’ve run out of patienceは、 run out of ~が「~がなくなる、~を使い切る」という意味ですから「我慢の限界に達した」という感じでしょうか。
今週のキーワード
confidence 信頼「自信」という意味を思い浮かべる方が多いと思いますが、意味の中心は「信頼」だと捉える方がよいかも知れません。自分に対する信頼が自信ですし。 confidence in ~で「~に対する信頼」というニュアンスです。
クイズの正解">クイズの正解
(C )
いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週火曜日の 更新 をお楽しみに!
また、さらにたくさんのニュースを英語で聞きたい場合は、LissNのアプリがおすすめです。
日経LissN:日経のニュースを英語でリスニング!
国際情勢や経済動向、企業戦略、テクノロジー、ライフスタイルなど日本経済新聞やNikkei Asian Review のニュースを英語で聴いて、実践的にそして楽しく学べるサービスです。日経がセレクトした記事を毎日5本配信。ぜひお試しください。
※土日祝日は3本となります。
★ニュース英語を学ぶためのおススメ参考書3選はこちら!
天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。