ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!
今回のニュース
スマートフォン決済を用いて給与の前払いを可能にしようというサービスについてのニュースです。法律上は「現金払い」が原則の給与ですが、多様なニーズへの対応を期待したいですね。
Wage advances with “au PAY”; KDDI Group’s smartphone payment service2021年1月31日に配信されました。「auペイ」で給与前払い KDDIグループ、スマホ決済に
まずは聞いてみよう!
音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。
※ノーマルスピード(1倍速)の音声です
理解度をチェック!
ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。
What new system is being put into place ?正解は、この記事の最後に掲載しています。(A) One that allows employees to base their salary on the number of hours they work .
(B) One that allows employees to receive some money ahead of payday.
(C) One that allows employees to receive their monthly salary in advance .
詳細を聞き取ろう
今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。
スクリプト
Wage advances with “au PAY”; KDDI Group’s smartphone payment service
In May , au Payment, a subsidiary of KDDI, will be launching a service that allows employees to receive an advance on their wages and more using the “au PAY” smartphone payment system. It is expected that there will be demand from companies looking to introduce the service as a benefit for their employees. Employees will be able to receive a portion of their salary prior to payday in the form of an e-money credit advance .
The company is partnering with Advasa (Minato-ku, Tokyo), an emerging fintech company that provides advance payment services. Employees can use a dedicated website to request the amount they wish to be credited with au PAY’s prepaid feature . The amount will be determined within the range of hours already worked, considering factors like the number of days worked up to the time of the request .
Upon receipt of an employee’s request , Advasa will handle the topping up of the credit from the company’s account . Advasa receives a commission from the company based on the top-up amount credited.
The Labor Standards Act stipulates that “wages are to be paid in cash” in principle , and in practice , the widespread use of bank transfers to pay financial institutions is treated as an exception based on the consent of workers. However , discussion has begun regarding expanding the range of means of receiving wage payments through revision of ministerial ordinances, with the aim of encouraging the popularization of cashless payments. In anticipation of the lifting of the ban on “digital wages,” the company will tap demand for advance payments.
翻訳
「auペイ」で給与前払い KDDIグループ、スマホ決済に
KDDI傘下のauペイメントは5月、スマートフォン決済の「auPAY(ペイ)」で給与などの前払いを受けられるサービスを始める。企業が従業員向けに福利厚生などとして導入する需要を想定する。従業員は給料日より前に、電子マネーにチャージする形で給料の一部を 受け取る ことができる。
前払いサービスを提供している、新興フィンテックのアドバサ(東京・港)と提携する。従業員は専用のサイトを使って、auペイのプリペイド機能へのチャージを 希望 する金額を申請する。金額は既に働いた実績に応じた範囲で、申請までに勤務した日数などの勤務状況を基に決める。
従業員の申請を受けてアドバサが、企業の口座からチャージする 手続き を受け持つ。アドバサはチャージ額に応じた 手数料 を企業から 受け取る 。
労働 基準 法は原則「賃金は現金払い」と定めており、実際には広く普及している金融機関への振り込みは労働者の同意に基づく例外扱い。ただキャッシュレス決済の普及を後押しする目的で、省令の改正で受け取り手段を広げる議論が始まっている。「デジタル給与」の解禁をにらんで、まず前払いの需要を取り込む。
覚えておきたい単語リスト
ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がいいものをまとめました。一つずつ、意味を確認してください。
- advance :前払い
- subsidiary :子会社
- launch a service :サービスを始める
- look to ~:~しようと試みる
- benefit :福利厚生
- payday:給料日
- emerging:新興の
- dedicated :専用の
- credit :銀行口座に入れる、振込額
- prepaid feature :プリペイド機能
- topping up:補給、補充
- commission : 手数料
- top-up:補給
- stipulate:既定する、明記する
- bank transfer :銀行振込
- exception :例外
- consent :同意
- means:手段
- revision :改訂
- ministerial ordinance:省令
- popularization:普及
- in anticipation of:~を見越して
- lift:解除する、撤廃する
- tap:利用する、活用する
ニュースのポイント
KDDIの子会社auペイメントが提供予定の、給与の前払いを請け負うサービスについてのニュースです。
第1段落の advance には「前払い」という意味があります。companies looking to introduce the service as a benefit for their employeesの部分は、looking以下がcompaniesを後ろから説明しています。「福利厚生としてこのサービスの導入を目指す企業」という意味です。
第2段落のAdvasa (Minato-ku, Tokyo), an emerging fintech companyでは、an emerging fintech companyがAdvasaを言い換えています。fintechはfinancial technology(金融工学)のことですね。第2文に登場する dedicated は「献身的な」という意味でも用いられますが、この例のように「専用の」という意味でも頻繁に登場します。 considering factors like the number of days worked up to the time of the request .の部分はその前の文に対する追加情報です。 the number of days workedは「実際に勤務した日数」、 up to the time of the request は「リクエストを出したときまで」の意味です。
第3段落のthe topping up of the credit では、 topping の前に定冠詞theがあることから topping upが完全な名詞として使われていることがわかります。「払込額の補充」のことを表しています。
第4段落は労働 基準 法の規定など背景にある状況を説明しています。第1文にin cach、 in principle 、 in practice とinが「~において」という意味合いで用いられている例が連続しています。それぞれ、「現金で」、「原則として」、「現実には」という意味。現在も法律上は、給与は「現金で」支払うのが原則なんですね。
今週のキーワード
upon ~すると すぐに「~の上に」という意味の upon は、後続の名詞が 動作 を表す場合に「~すると すぐに 」の意味になることがあります。 upon receipt( 受け取る と すぐに )、 upon arrival(到着し次第)、 upon request (リクエストを受けて)などが一般的です。
クイズの正解">クイズの正解
(B )
いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週火曜日の 更新 をお楽しみに!
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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE
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