「buzzworthy」「geotag」ってどんな意味?【2012~13年を表す英語】

今では当たり前に使われている言葉も、その年の出来事や世界情勢の変化によって生まれました。本記事では、2012~2013年にアメリカとイギリスで流行した言葉やオックスフォード英語辞典に登録された言葉をご紹介します。新語と流行語ができた背景を探り、世界がどのように変わってきたのかを振り返ってみましょう。

※この特集記事では、2010~2019年にアメリカとイギリスで流行した言葉や新しくできた言葉を、2019年からさかのぼってご紹介します(6回にわたり、2020年12月11日、12月21~25日に公開)。

2013年の主な出来事

日本

  • 山陽電鉄脱線事故
  • 2020年夏季五輪開催地が東京に決定
  • 富士山が世界文化遺産に登録決定
  • マイナンバー法が成立
  • ホテル、百貨店の食品偽装問題が発覚
 

海外

  • 中国で PM2.5の汚染深刻化
  • イギリスのキャサリン妃がジョージ王子出産
  • ネルソン・マンデラ氏死去

Word of the Year【2013】

American Dialect Society (ADS)とOxford University Press (OUP)がそれぞれ選んだアメリカとイギリスの「その年を表す言葉」を紹介します。
US

because

2013年には、あまりにも日常的過ぎると思われる単語because(なぜなら)が選ばれました。とはいえ、それまでの一般的な使われ方とは少し異なります。それまでは、私たちも学校で習うとおりbecauseの後には主語と述語を伴うフルセンテンス(例えばbecause it’s useful など)か、ofを付けて単語を続ける形(例えば because of the rain)が正しい使い方でした。しかし2013年には、オンライン上でのカジュアルな表現として、“because easy” のように、becauseの後に名詞や形容詞を続ける使い方が爆発的に増えました。

“I was late because YouTube videos.”

「YouTube を見ていて遅れました」

UK

selfie

日本語で「自撮り」を「セルフィー」とも言いますが、その語源である英単語selfieが2013年の言葉です。この単語が初めてインターネット上に登場したのは2002年、オーストラリアのインターネット掲示板でした。その後、2004年にはSNSで #selfieというハッシュタグが使われるようになり、イギリスの新聞『ガーディアン』が2013年に報じた記事によると、selfieという単語の使用頻度はその1年間で1万7000%以上増加したようです。当初はselfyというつづりも見られたようですが、現在はselfieが正しいスペリングとされています。

It’s become commonplace among young people these days to take selfies and edit them using smartphone apps.

自撮りをしてスマートフォンのアプリで編集することが、最近の若者の間では当たり前になっている。

New Words【2013】

毎年、オックスフォード英語辞典(OED)に新しく掲載される単語は数え切れないほどあります。その中から、特に興味深いものを厳選してご紹介します。
emoji

2015年に笑い泣きをしている絵文字がその年の言葉に選ばれました が、emojiという単語が OEDに収録されたのは 2013年でした。現在では、新しい絵文字が登場するたびにニュースになるほど、日常生活からは切っても切れないアイテムになりました。

Using emojis makes it easier to express emotions than text-only messages.

絵文字を使うと、文字だけのメッセージよりも感情を表現しやすくなる。

Arab Spring

2010年12月にチュニジアで始まり、その後北アフリカや中東に広がったアラブ地域の大規模な反政府デモ・民主化運動です。日本語では「アラブの春」と表現されています。1968年にチェコスロバキアで起きた民主化運動「プラハの春」になぞらえて、こう呼ばれています。

After the Arab Spring, protests continued to spread in several Middle Eastern and African countries.

アラブの春の後、抗議活動は中東とアフリカのいくつかの国で広がり続けた。

buzzworthy

buzz (熱狂や興奮)とworthy(価値がある)が合わさってできた言葉です。OEDによると、メディア報道または口コミによって、人々の興味や関心を集める 可能性 のあるもの、またその価値があるものに使われる形容詞です。

This new streaming site will definitely be buzzworthy as it plans to offer free music and movies.

この新しいストリーミングサイトは、無料で音楽や映画を提供する予定なので、間違いなく話題になるだろう。

2012年の主な出来事

日本

  • 第二次安倍晋三内閣発足
  • 東京スカイツリー開業
  • 山中伸弥氏がノーベル生理学・医学賞を受賞
  • 猪瀬直樹氏が都知事に当選
  • 932年ぶりに広範囲で金環日食を観測
 

海外

  • バラク・オバマ大統領(当時)が再選
  • ロンドンオリンピック開催

Word of the Year【2012】

American Dialect Society(ADS)とOxford University Press(OUP)がそれぞれ選んだアメリカとイギリスの「その年を表す言葉」を紹介します。
US

hashtag

2007年、Twitterで簡潔にメッセージを伝える方法として、ハッシュタグが使われるようになりました。アメリカのニュース専門放送局CNBCによると、最初に使い出したのはコンサルティング会社を運営していたクリス・メッシーナ氏。同年にカリフォルニア州で山火事が発生し、その状況を伝えるためにハッシュタグを使って情報を発信するよう友人に伝えたところ、ほかの人たちも使うようになったそうです。なお、カジュアルな口頭でのやりとりにおいても、何かを強調したいときには、hashtagと言ってから強調したいものを言う、などという使い方もあります。

Tweeting with hashtags makes it easier to follow certain topics.

ハッシュタグを付けてツイートすると、あるトピックを簡単に追うことができる。

UK

omnishambles

「omni-」(すべて)という接頭辞とshambles(混乱した場所)という単語が連結してできた単語です。イギリスの公共放送BBCで、2005~2012年に放送されていた風刺コメディー番組『The Thick of It』で2009年に初めて使われた単語でした。OEDによると、「主に政治において、多くのミスや混乱がもとでかなり収拾がつかなくなってしまった状態」という意味。2012年に当時イギリスの労働党党首だったエド・ミリバンド氏が「首相クエスチョンタイム」で口にして話題になりました。OEDに加えられたのは、このずいぶん後の2019年です。

The prime minister resigned, taking responsibility for causing the omnishambles

首相は、さまざまな混乱を引き起こした責任を負って辞任した。

New Words【2012】

毎年、オックスフォード英語辞典(OED)に新しく掲載される単語は数え切れないほどあります。その中から、特に興味深いものを厳選してご紹介します。
geotag

「写真や動画に緯度や経度などの地理情報を付加する」という意味の動詞や、「ジオタグ」そのものを指す名詞です。この頃はまだジオタグの認知度が低く、自分の居場所情報を付加したまま、知らずにSNSなどで写真を公開してしまう人も少なくありませんでした。

If you post geotagged photos, your location may be revealed to others.

ジオタグ付きの写真を投稿すると、現在地がほかの人に知られてしまう 可能性がある

paywall

新聞や雑誌は紙からオンラインへと移行してきましたが、収入源をいかに確保するかが課題になっています。ペイウォールと呼ばれるアクセス制限機能を設け、購読料を徴収する媒体も増えました。一定の記事数までは無料で読めるsoft paywallと、すべて有料のhard paywallの2種類があります。

When doing research on the internet, it often happens that you hit a paywall.

インターネットで調べものをしていると、ペイウォールにぶつかることがよくある。

captcha

オンラインで何かのサービスを申し込む際などに、読みづらい文字が表示されて、その文字をキーボードで入力するネットセキュリティーのプログラムが “captcha”(キャプチャ)です。人以外には解読できないため、スパムなどの不正行為を防止する効果があります。

There is also a type of captcha that asks you to select a specified image from multiple images.

複数の画像から、指定した画像を選択するよう求めるタイプのキャプチャもあります。

「世界の新語・流行語」特集は『ENGLISH JOURNAL』1月号で!

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年1月号に掲載した記事を再編集したものです。

松丸さとみ フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。訳書に 『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』 (日経BP)、 『限界を乗り超える最強の心身』 (CCCメディアハウス)、 『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』 (サンマーク出版)などがある。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp

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