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「mic drop」「bae」ってどんな意味?【2014~15年を表す英語】

今では当たり前に使われている言葉も、その年の出来事や世界情勢の変化によって生まれました。本記事では、2014~2015年にアメリカとイギリスで流行した言葉やオックスフォード英語辞典に登録された言葉をご紹介します。新語と流行語ができた背景を探り、世界がどのように変わってきたのかを振り返ってみましょう。

※この特集記事では、2010~2019年にアメリカとイギリスで流行した言葉や新しくできた言葉を、2019年からさかのぼってご紹介します(6回にわたり、2020年12月11日、12月21~25日に公開)。

2015年の主な出来事

日本

  • イギリスのウィリアム王子が初来日
  • 北陸新幹線、金沢駅開業
  • 東京オリンピックエンブレムを白紙撤回
  • 熊本県の阿蘇山が噴火
  • スポーツ庁が発足
  • 大村 智氏らが
  • ノーベル生理学・医学賞を受賞
  • 梶田隆章氏らがノーベル物理学賞を受賞

 

海外

  • アメリカとキューバが54年ぶりに国交回復
  • フランス、パリ同時多発テロ

Word of the Year【2015】

American Dialect Society (ADS)とOxford University Press (OUP)がそれぞれ選んだアメリカとイギリスの「その年を表す言葉」を紹介します。

US

singular “they”

これまでも、theyは三人称複数の人称代名詞として数世紀にわたり使われてきました。また、性別のわからない三人称単数の代名詞(someoneなど)を受ける言葉として、theyが使われることもあります。そして 2019年の言葉“my pronouns”でも触れましたが、ここ数年で、「彼」にも「彼女」にも分類されない性自認の人たちが使う三人称単数の代名詞として、theyが使われるようになりました。2015年にはアメリカの大手新聞ワシントン・ポストがスタイルガイドにtheyを取り入れましたが、その中では、「性的に中立な三人称単数を表す人称代名詞が欠如している英語における、唯一の良識的な解決法」がtheyだと説明しています。

“This is my friend Taylor. I met them at work, and they are working as a sales assistant.”

「こちらは私の友達のテイラーです。営業アシスタントとして働いていて、職場で知り合いました。」

UK

😂

OUPのWord of the Yearとして初めて絵文字が選ばれました。笑い泣きをしているこの絵文字は、OUPによると公式には“Face with Tears of Joy”(うれし泣きの顔)と呼ばれるそうです。2015年に世界で最も使われた絵文字だったので選ばれました。 😢でなかったのはうれしいですね!同年に使用された全絵文字の中で😂が占めた割合は、イギリスで20%、アメリカで17%でした。ご存じのとおり、絵文字は日本で生まれた文化で、英語でもemojiと言います。ちなみに似たような「顔文字」( :-) など)は英語で、emotion(感情)とicon(アイコン)を合体させたemoticonと呼ばれます。

Short List【2015】

大賞には選ばれなかったものの、最終選考に残った単語やフレーズも、その年を表す重要なものです。その中からいくつかをピックアップしてご紹介します。

US

mic drop

何かの議論をしている際に、決めぜりふを言って終わりにすることです。ラッパーやコメディアンが自分のパフォーマンスを終えて、自信たっぷりにマイクを床に落としたところから来ています。“dropthe mic”と表現されることもあります。

I think it was a good speech, but I’m not sure if the mic drop was necessary.

いいスピーチだったとは思うが、マイクドロップが必要だったはわからない。

swipe right/left

直訳すると「右/左へスワイプ(スマートフォンなどのスクリーンを指で触れたままスライドさせる動作)」という意味ですが、実際は、右スワイプが「イエス、興味がある」、左スワイプが「ノー、拒否」をそれぞれ意味します。デートアプリ『Tinder』で相手の好き嫌いを選ぶ際の操作方法から来ています。

“Do you wanna see the trailer for that new movie?” “Yeah, swipe right!”

「あの新しい映画の予告を見たい?」「うん、興味あるよ!」

ghost

2018年のshort listにあるorbitingにも少し出てきましたが、人と突然連絡を絶ってしまうことです。2015年の時点ではデート相手や恋人が対象でしたが、最近は仕事に突然来なくなった人についてこの単語が使われます。

The new guy ghosted us just two days after joining the company.

その新入社員は入社してわずか2日後に姿を現さなくなった。

UK

Brexit

「ブレグジット」とすっかり日本語にもなった言葉です。イギリスがEUから離脱することを意味する単語で、「イギリス」のBritainと「出口、退去」のexitを合わせて作られました。イギリスは、2016年の国民投票でEUからの離脱を決定しました。

Due to Brexit, some Japanese companies have moved their factories from the U.K. to other European countries.

ブレグジットの影響で、一部の日本企業はイギリスからほかのヨーロッパの国に工場を移転した。

dark web

dark web(ダーク・ウェブ)は、暗号化されているため通常のブラウザーではアクセスできず、特殊なソフトが必要なウェブサイトのことです。ホストやユーザーの匿名性を保つことができるため、サイバー犯罪の温床となることが多いようです。

The dark web is often used for crime, but it’s also used by people who fear their government.

ダーク・ウェブは犯罪によく利用されるが、政府を恐れる人々にも使われる。

sharing economy

「シェアリング・エコノミー」とそのまま日本語になっています。主にインターネットを使い、ユーザーが物やサービスなどをシェアする仕組みを指します。車や自転車、オフィスなど、さまざまなものが登場しています。

The sharing economy can be expected to have the effect of reducing waste and utilizing unused assets.

シェアリング・エコノミーは、無駄を減らすことや使っていない資産を有効活用することが期待できる。

New Words【2015】

毎年、オックスフォード英語辞典(OED)に新しく掲載される単語は数え切れないほどあります。その中から、特に興味深いものを厳選してご紹介します。

staycation

日本語にもなっている「ステイケーション」は、休暇を自国で過ごしたり、自宅や近所で過ごしたりすることを意味します。2005年にはすでに使われていた言葉ですが、OEDに収録されたのは2015年でした。2020年には新型コロナウイルスの流行で、より身近な単語になった気がします

I usually work too hard here in Tokyo to appreciate all the city has to offer, so I took a staycation to get to know it better.

私は普段、ここ東京で忙しく働いていて東京の魅力を満喫できていないので、よりよく知るためにステイケーションをした。

photobomb

「フォトボム」として日本語になっています。他人が写真を撮るときにいきなりフレームに入って写り込むいたずらを意味します。イギリスの俳優ベネディクト・カンバーバッチが、2014年のアカデミー賞でアイルランドのロックバンド、U2にフォトボムをして話題になりました

“I have to edit this photo because my friend photobombed it!”

「友達がフォトボムしたから、この写真は編集しなくちゃ!」

crowdfunding

新しい事業など何かの目的を実現するために、インターネットなどで大人数から少額ずつの寄付を募り、資金を調達する方法です。主にインターネットで行われるため「クラウドファンディング」のクラウドはcloud(雲)と思われがちですが、正しくは「群衆」を意味する単語crowdです。

The producer has started a crowdfunding campaign for her next movie project.

そのプロデューサーは、次の映画プロジェクトのためにクラウドファンディングを開始した。

2014年の主な出来事

日本

  • 理化学研究所がSTAP細胞を発表、その後不正と認定
  • 32年間続いた「笑っていいとも」が放送終了
  • 消費税が5%から8%に
  • 国立競技場、56年の歴史に幕
  • 赤崎 勇氏、 天野 浩氏、中村 修二氏がノーベル物理学賞を受賞
  • 舛添要一氏が都知事に当選

 

海外

  • ソチオリンピック開催
  • 韓国、セウォル号沈没事故

Word of the Year【2014】

American Dialect Society(ADS)とOxford University Press(OUP)がそれぞれ選んだアメリカとイギリスの「その年を表す言葉」を紹介します。

US

#BlackLivesMatter

2014年は、初めてハッシュタグ(SNSで、投稿内のタグとして使われるハッシュマーク「#」が付いたキーワード)から選ばれました。2014年7月、アメリカの黒人男性エリック・ガーナーさんが警察官に窒息死させられ、続いて8月、同じく黒人男性のマイケル・ブラウンさんが警察官に射殺されました。こうした事件をきっかけに国民は人種差別的な警察に怒り、街やSNSで抗議活動を展開しました。その際に使用されたスローガンが、前年に同様の事件が発生した際に作られた #BlackLivesMatterだったのです。その後、2017年にバージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者の集会に抗議する人たちに車が追突した事件の際にも、そして2020年のジョージ・フロイドさん死亡事件をきっかけとした抗議活動でも、このスローガンは繰り返し使用されています。

Alicia Garza and two friends first tweeted “#BlackLivesMatter” in 2013 to spark nationwide discussion of the way black lives are consistently undervalued in the United States.

アリシア・ガーザと2人の友人は、2013年に初めて「#BlackLivesMatter」とツイートし、アメリカで黒人の命が常に軽く見られていることについて全国的な議論を巻き起こした。

UK

vape

「電子たばこなどのデバイスを吸う」という意味の動詞です。紙たばこを吸う動詞smokeの、電子たばこ版といったところでしょうか。電子たばこ自体は2003年から存在していましたが、健康志向の高まりを受け、近年は愛用者が増加しています。OUPによると、それに伴いvapeという単語の使用頻度も、2013年から2014年にかけて倍以上となりました。ちなみに、電子たばこから出てくる煙状のものは“vapor”と呼ばれます。本来vaporは煙か水蒸気のどちらかを指しますが、電子たばこから出てくるのは水蒸気です。一般的に電子たばこは、electric cigaretteやe-cigaretteのほか、vapor productなどとも呼ばれます。

Some people think that they are able to vape anywhere, but there are rules in public places.

電子たばこはどこでも吸えると思っている人もいるが、公共の場所にはルールがある。

Short List【2014】

大賞には選ばれなかったものの、最終選考に残った単語やフレーズも、その年を表す重要なものです。その中からいくつかをピックアップしてご紹介します。

US

selfie stick

「自撮り棒」を意味する単語ですが、2014年には別の言い方のnarcissistick、narcisstick(ナルシスティック)も候補に挙がるくらい、話題になったグッズでした。「ナルシスティック」はもちろん、「ナルシシスト(自己愛の強い人)」をもじった言葉です。

Due to safety concerns, a growing number of places have recently banned selfie sticks.

安全上の懸念から、最近は自撮り棒を禁止する場所が増えてる。

manspreading

「男性」を意味するmanと「~を広げる」を意味するspreadからの造語で、電車など公共交通機関で、男性が大股を開いてスペースを占領することを指しています。似たような感覚の言葉で、男性が上から目線で女性に解説するmansplaining(manとexplainの合成語)もあります。

I couldn’t get a seat on the train because the guys sitting in front of me were all manspreading.

電車で目の前に座っていた人たちが皆、足を開いていたので、座れなかった。

sugar-dating

経済的に余裕のある年上の人物(シュガーダディもしくはシュガーママ)が、若いパートナー(シュガーベビー)にお金やプレゼントなどを渡してデートすることを意味します。日本語でいうところの「パパ活/ママ活」や「援助交際」といったイメージに近いでしょう。

In need of financial assistance, some young people are turning to sugar-dating.

経済的援助を必要として、シュガーデートを考える若者もいる。

UK

bae

「恋人、恋愛の相手」という意味で、彼氏や彼女に呼び掛ける際などに使うスラングです。babyやbabeを省略したものという説もあれば、“before anyone else”(ほかの誰よりも先)の頭文字という説もあります。「ベイ」と発音します。

Two of my classmates suddenly started calling each other “bae.”

2人のクラスメートが急にお互いを「bae」と呼び始めた。

contactless

「非接触の」という意味の形容詞で、キャッシュレス決済などでよく使われる表現です。2014年にはアメリカのApple社が Apple Pay(アップル・ペイ)を発表したほか、ロンドン地下鉄が非接触の支払いを受け付けるようになりました。新型コロナウイルス感染症が流行したことで、今後も使用頻度が増えそうな単語です。

Japanese railway companies introduced contactless cards in the early 2000s.

日本の鉄道会社は2000年代初頭に、非接触型カードを導入した。

indyref

independence referendum(独立を問う住民投票)の略です。2014年9月、スコットランドがイギリスからの独立を問う住民投票を実施しました。このときは「反対が55%でしたが、イギリスのEU離脱を受けて、スコットランドでは独立が再び議論されています。2020年に住民投票が再度行われる見込みでしたが、新型コロナウイルスの流行が原因で見送りになりました。

The Scottish government has confirmed it is no longer planning to hold an indyref this year.

スコットランド政府は、今年は独立を問う住民投票を開催する予定がないことを発表した。

New Words【2014】

毎年、オックスフォード英語辞典(OED)に新しく掲載される単語は数え切れないほどあります。その中から、特に興味深いものを厳選してご紹介します。

group of death

2014年は、ブラジルでサッカー FIFAワールドカップが開催された年でした。イングランドとアメリカのいるグループは、それぞれ強豪ひしめくグループだったため、英語で「死のグループ」という表現が定着しました。

In the 2018 tournament, the high number of groups of death meant that many strong teams were eliminated.

2018年のトーナメントでは、死のグループが多かったため、多くの強力なチームが敗退した。

un-PC/non-PC

このPCは、politically correct(偏見に満ちていない、差別的でない)の略語です。「~でない」を意味する接頭辞が付くので、つまりは「道徳的に正しいわけではない、公正でない」という意味になります。

Nowadays, it’s very un-PC to say that women cannot do any job that men can do.

今日、男性がする仕事を女性はできないと言うことは、本当に間違っている。

BYOD

Bring Your Own Device”の略語です。つまりは自分のデバイス(ノートパソコン、スマートフォン、タブレットなど)を持ってきて職場で使っていいですよ、と従業員に促している表現です。BYOB(Bring Your Own Bottle=自分の飲みたいお酒を持ち寄るスタイルのパーティー)をもじっています。

BYOD may be beneficial to the worker, but at the same time, it has inherent securityrisks.

自分のデバイスを職場に持っていくことは働いている人には有益かもしれないが、それと同時に、安全面でのリスクも内在する。

「世界の新語・流行語」特集は『ENGLISH JOURNAL』1月号で!

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年1月号に掲載した記事を再編集したものです。

松丸さとみ

松丸さとみフリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング (・ときどき通訳)を行っている。
Blog:https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp