大学や英語専門学校で英検やTOEIC対策などを教える、Joyこと和泉有香さん。英検1級では優良賞を受賞し、TOEICでは満点を取得した実力のカギは「語彙が豊富であること」だと言います。連載「英検1級の語彙を極める」では、語彙の魅力を徹底的に、わかりやすく、楽しく、カジュアルに教えます。3回目は「知らなければ絶対に読めない英単語」を掘り下げます。
ghotiをどう読む?
皆さん、こんにちは。Joyこと和泉有香です。第3回目の今日は「知らなければ絶対に読めない英単語」をいくつかのグループに分けて掘っていきます。
「意味がわかりゃあそれでいいんだよ!」という試験も多くありますが、英検にはライティングもリスニングも、なんならスピーキングもあります。
passive(見て意味がわかる)なだけでは太刀打ちできないので、active(書ける・聞ける・話せる)であることを目指しましょう。
いきなりですが、次の単語をどう読みますか?
ghoti
いえいえ、これは実在する英単語ではなくアイルランドのノーベル文学賞作家ジョージ・バーナード・ショー(「マイ・フェア・レディ」の原作「ピグマリオン」の作者)が、作り出した語だと言われています。
・・・と、読んでいる間に考えました?
正解は「fish」です。え?と思われたアナタに簡単に解説をば。まずはgh-o-tiの3つに分けます。
- laughの例から、 ghは/f/
- womenの例から、 oは/?/
- nationの例から、 tiは/?/
このことからもわかるように、英語の中にはさまざまな歴史的変遷を経た結果「知らなければ絶対に読めない単語」が実在するわけですね。怖いですねぇ。恐ろしいですねぇ。(←Joy川長治・・・いや、淀川長治さんがいきなり登場)
では、 前回 も登場してもらった無料のPC版の辞書 Oxford Learner’s Dictionaries(OLD) の助けも借りつつ掘っていきましょう。
「聞ける・書ける・話せる」ものにしておきたい英単語
まずは東西の正横綱から・・・
indict /indait/ ?を起訴する、非難する
『Oxford Learner's Dictionaries』(Oxford University Press)。以下同。
上のリンクをクリックして発音を確認していただくとわかるとおり、 cは発音しません 。呼んでも帰らぬ「c /k/」のことはキッパリあきらめてやってください。
miscellaneous /mis?leini?s/ 種々雑多な
この英単語、あまりにあちこちで使われまくっているので、妙に感心します。つづりもアクセントもずいぶんアレではありますが、「聞ける・書ける・話せる」ものにしておきたい英単語です。
暗唱用例文・フレーズ
The CEO was indicted on a bribery charge.
その最高経営責任者は収賄罪で起訴された。
The shop deals with miscellaneous goods.
その店は雑貨を扱っている。
大関格には・・・
albeit /??lbi?it/ ? にもかかわらず
annihilate /?nai?leit/ ?を絶滅させる
あたりでしょうかねえ。albeitは「アルバイト」と読む人が続出します。おまけに /bi?t/ではなく/bi?it/ なので、なかなか念が入っています。 annihilateは「h」を読まない という点でexhibit]と共通していますね。
固有名詞
さて「読めない単語」と聞くと、私の中では「地名と人名」がランクインします。ちょっと例を挙げますので、コワい思いをしてください。(違)
Greenwich /grenit?/、 /grinid?/ グリニッジ
「サンドイッチの親戚?」なんて思っていたら、天文台で有名なグリニッジでした。
Edinburgh /ed?nbr?/、/ed?nb??r?/ エジンバラ
スコットランドの首都ですね。日本語的に読んだら絶対にわかってもらえません。アクセント注意!
Worcester /wust?(r)/ ウスター
「ウーセスター」とばかり思っていたら、ウスターソースのふるさとでしたか。地名の -cesterは/-st?(r)/と読む のが原則だと知っているとちょっと得するかも。
Aristotle /?r?st?`tl/アリストテレス
こちらは古代ギリシャの哲学者・アリストテレス。発音はOLDに載っていなかったので、代わりにこちらをどうぞ。→ https://www.youtube.com/watch?v=8Ojf74okCD0
「 固有名詞は日本語の読みと英語の読みが絶対に違う 」と思っておきましょう。これらは辞書に載っていないことも多々あるので、上に挙げたようにネットで確かめるのがおすすめです。特に二次試験で自分が話題にするかもしれない固有名詞は確実に押さえておきましょう。英語を読んでいるときに出てきた地名や人名は全て発音をチェックする、くらいの気持ちの方が安全です。
簡単なのに知らないもの
この2つの語末部分を正しく発音できる英語学習者に、実は今まで会ったことがありません。
months /m??nθs/、 /m??nts/ 月の複数形
clothes /kl??dz/、 /kl??z/ 衣類
これらの単数形はごく簡単であるがゆえに「読めなければ思いっきり恥ずかしい英単語」だと私は認識しています。「おっと今までてきとーに読んでたぜぇ。」という方は、この機会に心ゆくまで練習しておいてくださいね。^^
品詞によって読み方が違う単語
「え、そんなのあったっけ!?」って言わないでくださいぃ??。(泣)そのあたりもしっかり使い分けできてこその英検1級です。(と、グイグイとプレッシャーをかける私。)
blessed 動詞の過去形・過去分詞形 /blest/
blessed 形容詞/blesid/ 祝福された、楽しい
learned 動詞の過去形・過去分詞形 /l??nd/、/l??rnd/
learned 形容詞 /l???nid/、/l??rnid / 教養のある、学問的な
暗唱用例文・フレーズ
Blessed are the poor in spirit. (形容詞)
心の貧しい者は幸いである。
新約聖書『マタイの福音書』より
He is a learned young person. (形容詞)
彼は教養ある若者だ。
アクセント
実際に使うかも、と思わないと意識さえ向かないかもしれませんねえ、アクセントって。次の2語はどうでしょう?
superfluous /sup???flu ?s/、 /sup??rflu?s/ 余分な
superficial /su?p?fi??l/、 /sup?rfi??l/ 表面的な
superで始まる2語ですが、アクセント位置が違います。これらは別の成り立ち方をし、別の道を通って現在にたどり着いたからなのでしょう。(知らんけど。)それぞれの単語の歴史に敬意を表して(?)1つずつ丁寧に覚えてやってくださいね。
・・・え? 疲れた? はい、今日は多分野を掘り散らかしましたからねえ。
英検1級に合格したい人は新しい単語をたくさん覚えようと努力します。それはもちろん正しいのですが、すでに知っている単語を徹底的に見直す必要があるかもしれないこと、そして新たに覚える単語も見て意味がわかるだけでは不十分であることが、よくお分かりいただけたかと思います。そういう意味で、3回目の今日がいちばん深堀りできたかもしれませんね。^^
さて、愛用のスコップもだいぶちびてきたので、そろそろ新しいものを買わねば。。。次回はちょっと目先を変えて掘ってみますので、どうぞお楽しみに!では、Happy learning! ^^
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