点数が伸びない!TOEIC500点台が陥りがちな停滞期の原因と脱却法を解説

TOEIC満点取得者であるJay(ジェイ)こと早川幸治さんの連載「3カ月でTOEIC200点アップ特訓法」。早川さんの豊富な受験経験から、最も効率的な対策法をTOEICスコア別に分けて伝授します!第3回は3カ月で500→700点アップを目指すための「スコア停滞の原因と脱却法」について紹介します。

TOEIC 500点台で停滞されている方はいらっしゃいませんか?

目標の600点や700点レベルに伸びるために難しめの問題にも挑戦しているのに、なかなかスコアが伸びないという悩みをお持ちの方もいらっしゃると思います。

実は、 停滞を経験することが多いのが500点から600点 をお持ちの方なのです。500点までは順調に伸びたという方も、もしかしたら今後停滞してしまうかもしれません。あなたが、このタイプに陥っている、または今後陥る可能性をチェックしてみましょう。

チェックリスト

  • 問題の解き方については勉強してきた
  • レベルの高い問題を中心に学習している
  • なんとなく正解しているけれど、内容を理解できていないことが多い
  • 間違えた問題も、解説を読めば「あ、そうだ!」と感じることが多い
  • テスト中は答えを特定することに終始している
  • Part 3/4は答えを待ち伏せして解いている
  • リーディングが20問以上終わらない
  • なぜスコアが上がったのかよくわからない

いかがでしたか?

チェックが多ければ多いほど、停滞する可能性が高いです。「うわぁ・・・結構当てはまる」という方、安心してください。原因を特定できれば、解決できます!

ここで、TOEICのスコアアップに必要な3つの力を確認しておきましょう。

英語力
情報処理能力
対策力

1つめの「英語力」は、知識のことです。 単語力や文法力 など、内容を理解するために前提となるものです。
2つめの「情報処理能力」は、スキルのことです。 英語のまま理解 したり、 素早く読んだりする力 です。
3つめの「対策力」は、 時間配分 や問題タイプ別の 解答技術 です。

この3つの力をバランスよく伸ばす必要があるのですが、そのバランスが崩れていると「勉強しているのにスコアが伸びない」という状態へと陥ります。

この停滞を引き起こす原因として多いのが以下の2つです。

停滞の原因 その1:基礎力に穴がある

500点を超えると、基本的な英語は瞬時に理解できるようになってきます。そのため、よりレベルの高いものに挑戦するようになります。もちろん、挑戦自体は素晴らしいことですし、より高い英語力につながることはあります。

ところで、簡単な問題に間違えることってありませんか?

間違えた問題の解説を読むと「なんでこんな問題に間違えたんだろう?」と一人で恥ずかしくなって、穴があったら入りたい気持ちになるかもしれません。でも、実際には穴があったから間違えてしまったのです。

そこで大切なことが、「 基礎力の穴を埋めること 」です。

難しいことを学べばそれだけ早く上達するわけではありません。スポーツ選手がスランプで悩んでいるときに練習するのは、発展的なスキルではなく、基本的なスキルです。改めて基礎に戻ることで、穴を埋めているのです。

TOEICにおいても同様です。スコアが停滞しているときに必要なことは、意外かもしれませんが「 基礎に戻ること 」だったりします。基礎固めを徹底したほうが、頑丈な土台ができあがり、応用力へと伸びやすくなります。

簡単に感じてもよいのです。簡単なのであれば、素早く正確に解くことを基準にするのではなく、素早く正確に読んで内容を理解したり、正解のポイントだけでなく話の内容を追って聞いたりといったスキルを身に付けることを基準としてください。こうすることで、英語力の基礎固めのみならず、 情報処理能力も高まります

停滞の原因

その2:解法テクニックに頼っている

もう一つの原因が、 対策力に特化しすぎた「解答志向」の学習 です。

上達の基準が「解けるかどうか」になってしまうと、解答テクニックを優先することとなり、知識やスキルが伸びません。「内容の理解」がおろそかになっているのです。

もちろん、英語力があるからこそ解答テクニックを使えるという一面はあります。たとえば、「Part 2(応答問題)は、冒頭のWHを聞くだけで正解できるようになった」とか、「Part 3/4は、聞こえた単語がある選択肢を選ぶようにしたら正解が増えた」というケースは多くあります。このようなテクニックを学んでスコアが伸びたという方もいるでしょう。

しかし、 解答テクニックが英語力や情報処理能力を押し上げることはありません 。あくまで、身に付いている知識やスキルを支えるだけでしかありません。そのため、解答テクニックを学び続けても、スコアは頭打ちになり、英語力が高まらない限りはスコアに反映されなくなります。これが停滞につながっているのです。

ある程度、問題を解く練習をしてきたという方は、ぜひこの後でご紹介するトレーニングで英語力や情報処理能力を高めてください。知識やスキルが付いた後に解答練習をすると、今までとは違う感覚を得られるはずです。

以上の2つの原因に心当たりはありませんか?

300点台や400点台であれば、内容をしっかりと理解できなくてもピンポイントで単語やフレーズを聞き取ることで正解できるものが増えてきて、スコアに反映されます。

しかし、500点を超えてくると内容の理解も求められるようになります。この 「内容の理解の壁」がスコアの停滞 につながります。この壁を乗り越えることによって600点、700点へと到達します。

TOEIC 700点とは?

TOEIC L&Rテストで問われるのは「リスニング力」と「リーディング力」のみですが、それはすなわち「 話された内容を聞いて理解する力 」であり、「 書かれた内容を読んで理解する力 」です。

ちなみに、英語を使って仕事をしている人たちの平均スコアが、TOEIC 700点を超えるくらいだと言われています。言い換えると、700点を取るために必要なのが、英語を使って仕事をする際にも不可欠な「 内容の理解 」です。

単語や表現をピンポイントで特定できる力はもちろんのこと、話の流れを理解できる力を身に付けるためにはトレーニングが不可欠です。まずはリスニングを400点に到達させるためにも、 ストーリーの流れを理解できるスキル を磨いてください。

停滞を抜け出す!おすすめトレーニング

話は変わりますが、落語家の立川談四楼さんの著書『 落語家のもの覚え 』の中に、師匠・立川談志さんが弟子に伝えていたアドバイスが書かれていました。

それが、 声に出して体で覚える こと、地方出身で訛りのある落語家は、標準アクセントを身に付けるべく アナウンサーの話を追いかけて話す こと、そして反復することなどです。

実はこのアドバイスは、落語のみならず、英語にも当てはまります。落語はストーリーが命。TOEICにもPart 3/4/6/7にはストーリーがありますから、理解するためのトレーニングは共通しています。

声に出して体で覚えるのは、まさに「 音読 」です。そして、アナウンサーの話を追いかけて話すのが「 シャドーイング 」、これらを徹底的に反復することで英語力と情報処理能力を高めることができるのです。

今回はリスニング・スキルを高めるためのトレーニングですが、リーディングについても音声があれば活用することで読解力にも転換することができます。

「型」の理解で上達スピードアップ&疲労度ダウン!

ストーリーで理解できるようになるために、大切なことがあります。

それは、 ストーリーの「型」 を身に付けることです。Part 3でもPart 4でも共通しているストーリーの「型」があります。それは、冒頭で概要や目的がわかり、徐々に具体的な内容へと入っていくことです。

特にPart 4には、留守番電話、アナウンス/トーク/会議、宣伝、ニュースといったタイプに分かれます。Part 4のトレーニングをする際には、同じタイプのものに続けて取り組むことで、型を身に付けやすくなります。

また、型に沿って聞けるとストーリーの理解が楽になります。今まで断片的に情報を特定する聞き方をしていた方は、聞きながら疲れていたはずです。それがストーリーの流れに沿って聞けるようになることで、脳の負担が減ります。その結果、疲れなくなるのです。

挫折しないために

ここでひとつ、注意しなくてはならないことがあります。それが、モチベーションが下がりにくい方法で行うこと。

「そもそも内容が理解できない」という状態では、上達を感じることができません。そのためにも、トレーニングを行う前に、英文と日本語訳を読み、内容を100%理解してから行うということです。最初はうまくできないかもしれませんが、徐々にうまくできるようになってきます。今回のトレーニングは、 第1回 の内容でご紹介したものの応用編です。

  • 1.英語・日本語訳ともに100%理解する
  • 2.リピート音読 /センテンスごとに止めて、リピートする(うまく言えないところは何回か繰り返す)
  • 3.オーバーラッピング /音声を流し、英文を見ながらピッタリ重ねて音読する(3回)
  • 4.シャドーイング /音声を流し、英文を見ずに後からついていく(2回)

以下、それぞれのコツをお伝えします。意識しながら声に出してみてください。

リピート音読のコツ

スピードに加えて、発音やリズム、イントネーションなどをしっかりまねしてください。

オーバーラッピングのコツ

ピッタリ重なるところはすでに表現やリズムが身に付いています。ピッタリ重ならないところがあれば、何度か声に出してリピートしてみてください。反復練習をすることで上達を感じられます。

シャドーイングのコツ

難易度が高いですが、オーバーラッピングがうまくできるようになった後で挑戦してみてください。表現が口になじむにつれて、取り組みやすくなります。

まとめ

500点台で停滞している方は、「 基礎力の穴 」と「 解答志向 」を疑ってみてください。

再度、土台作りを行い、英語力と情報処理能力を高めるトレーニングを取り入れることで、無理なく停滞を抜け出すことができるはずです。徐々に上達していく感覚を楽しんでください!

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早川幸治(はやかわ こうじ)
早川幸治(はやかわ こうじ)

ニックネームはJay。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。企業研修講師として、英語を公用語化した企業はじめ、これまで全国の160社以上で研修を担当してきたほか、大学や高校でも教えている。セブ島留学プログラムも監修。TOEIC 990点(満点)、英検1級取得。豊富な受験経験から傾向を押さえた効率的な対策法が好評。著書多数。アルクの通信講座「 TOEIC(R) LISTENING AND READING TEST 完全攻略600点コース 」監修。 毎日配信の単語メルマガ「ボキャブラリーブースター」 毎週配信のポッドキャスト番組「Jayの英語スキルブースター」 https://boosterstation.jp/

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