TOEIC満点取得者であるJay(ジェイ)こと早川幸治さんの連載「3カ月でTOEIC200点アップ特訓法」。早川さんの豊富な受験経験から、最も効率的な対策法をTOEICスコア別に分けて伝授します!第1回は3カ月で300→500点アップを目指すために必要な基礎力である「単語力」と「リスニング力」の特訓法について紹介します。
TOEIC300→500点アップに向けた特訓法を教えます!
この記事を読んでいる方の中には、勤務先などからTOEICのスコアを求められている方も多いと思います。「勉強しなきゃいけないけど、何からやればいいかわからない!」という方もいるかもしれません。
でも安心してください。旅行中にどこに行けばよいか悩んだとき、ツアーに参加することでおすすめスポットを巡れるように、この連載が皆さんにとっての「 スコアアップツアー 」となることを願っています。
初回では、TOEICの概要を確認した上で、 300点台の方が500点を目指すために、最初に行うべきこと をお伝えします。
うまくいかないときは軌道修正が必要
本題に入る前に、まず学習を進めるに当たって大切なことをお伝えしておきます。
それは、 軌道修正をしていきながら、ゴールへ向かう ということです。
飛行機が経路通りに飛べる確率をご存じですか?実は、限りなくゼロに近いのだそうです(パイロットに確認しました)。風向きや気流などの関係で、その都度、軌道修正をしながら最終目的地に到着します。
学習も同様に、予定通りに進まないことが普通ですから、うまく進まないときは軌道修正をしてくださいね。
キホン中のキホン!TOEIC試験とは?
まずTOEIC L&R(Listening & Readingの略)テストの概要から確認しましょう。スポーツにおいては、ルールや点の入り方を知らなければうまくプレーできないように、TOEICもルールや点の入り方を知らなければスコアアップを狙えませんよね。
TOEIC L&Rテストの概要と攻略のコツ
TOEIC L&Rテストは、リスニング問題が100問で約45分間(基本は46分、時々47分)、リーディング問題が100問で75分間という2つのセクションで構成されています。
このテストの特徴は、1つのテストで10~990点を各問題へ振り分けるというもの。配点は、問題の難易度で決まるわけではありません。複雑な処理をされますが、基本的には「正解数」によってスコアが決まります。つまり、難しい問題を50問正解しても、簡単な問題を50問正解しても、スコアは変わらないということです。
そのためテスト当日は、これまで身に付けてきた英語力で、解ける問題は確実に正解し、自身の実力を超える問題にはあまり時間をかけ過ぎないことが大切です。野球で言えば、大谷翔平選手が投げる160キロの剛速球を打つことを目指すのではなく、超スローボールを確実に打てるようにすることが大切なのです。
TOEICスコア500点が意味するものとは
500点は英語基礎力があることの証明 です。そのため、まず優先すべきことは、基礎力を身に付けることです。難しいことをやればそれだけ早く上達するわけではありません。まずは 易しいレベルのものをたくさんこなすこと で、揺るぎない土台を作ってください。その土台は、より高いレベルへ進むために不可欠なものとなります。
なお、私のこれまでの指導経験から言いますと、すでに英検準2級を持っている方であれば、比較的早く500点をクリアすることが可能です。
学習の優先順位と効果的な学習法とは
英語の勉強というと、「文法学習」というイメージが強いかもしれません。もちろん英語学習にとって文法は大切ですし、すべての英文は文法に則って構成されています。
しかし、英語学習の挫折ランキングトップに君臨するのも文法です。挫折の理由は、文のルールだけを覚えようとしてしまうからです。スポーツでもルールだけを覚えようとするよりは、プレーしながらルールに触れた方が身に付きやすいですよね。
また、純粋な文法力が問われているのはPart 5(短文穴埋め問題)の30問中約半分の15問程度と、Part 6(長文穴埋め問題)のほんの数問のみです。200問のうちの10分の1に満たない問題に時間をかけるよりも、より大きな効果を得られる方に時間をかけることをおすすめします。
そこで私がおすすめする効果的な学習法は、 単語とリスニングから勉強し始めること です。なぜなら、単語力はリスニングやリーディングの理解度にかかわる構成要素ですし、リスニングはテストの50%を構成している上に、使われる単語の難易度がリーディングに比べて易しめです。日本語でも新聞やメールなどで使用する単語よりも、口語で使う単語の方が易しいですよね。
二度と忘れない!効率的な単語の覚え方
「単語がどうしても覚えられない・・・」とか「私、記憶力悪いんで・・・」と悩まれている方は多くいます。
でも大丈夫。悩まないでください。単語を覚えられないのは、記憶力が悪いわけではありません。ちなみに、脳は一度見たものは記憶することができます。問題は、 思い出せなくなっているこ とです。そこで、思い出す仕掛けを使った学習が必要なのです。
英語を見て日本語訳を確認することは、学習ではありません。それは単なる確認です。 学習は、「理解」して「思い出す」という作業 を通して行われます。また、単語学習のコツは、英語と日本語訳を覚えるだけでなく、2語以上のフレーズでまとめて学習したり、文脈の中で使われる表現として触れたり、さらに音声を活用することで正しい発音を身に付けたり、と多角的に触れることです。
例えば、submit(提出する)やcomplimentary(無料の)のように、英語と日本語訳を覚えても、どのように使われるか、どのような文脈で使われるか、どのような発音か、といった情報は頭に入りません。この情報が少なければ少ないほど、すぐに忘れてしまい、思い出せなくなるのです。
また、無機質な学習になり過ぎて学習も進まなくなります。日常でも、白米だけを食べ続けるよりも、漬物と一緒に食べたり、ふりかけで味付けをしたり、麻婆豆腐と一緒に食べた方が、ご飯が進みますよね。一見無機質な単語学習も、さまざまな味付けをすることで忘れにくく、思い出しやすくすることができます。
効果的な単語学習法
- 英単語の文字・発音・意味を確認→声に出して読む
- 例文を読む→意味を確認→声に出して読む
- 10~20語句ごとに単語の発音と意味を復習し、思い出す
- 3で復習した10~20語句が使われている例文を声に出して読む
- 定期的に過去に学習した語句を復習し、確実に思い出せる状態にする
リスニング力をアップさせる特訓法
「英文を見れば意味はわかるのに、聞くとわからない・・・」という悩みはありませんか?
リスニング学習に必要なことは、 知識を増やしながら、文字と音のギャップを埋めていくこと です。知識を増やしても聞けるようになるわけではありません。その 知識をスキルにして高めること が大切です。そして、問題を解けるようになるのは、スキルが高まってからです。
教材を活用する際には、問題を解いて解説を確認した後、英文と日本語訳を確認し、内容を100%理解します。ここまでは、問題を解いて、その答えとなる英文がどこにあるのかを知った上で、内容を確認しただけです。ここからのトレーニングがリスニング力アップへとつながります。まさに、カラオケと同じです。歌詞を確認せずに歌う練習をすることがないように、英語も文字と意味を確認してからトレーニングに入ってください。
目指すのは、「 英語のスピードにぴったり重ねて言えること 」です。ぴったり言えるようになれば、正しいリズムで英語が脳に入ります。正しいリズムで言えるようになれば、そのまま英語のリズムで聞けるようになります。反復することでだんだんとうまく言えるようになることが体感できるため、モチベーションも下がりにくいですし、英文を声に出しているうちに、その中にある文法を無意識のうちに習得することができます。
Part 1(写真描写問題)は表現の理解、Part 2(応答問題)は英語のスピードへの対応と表現の理解、Part 3(会話問題)とPart 4(説明文問題)はストーリー 展開 の理解に絶大な効果があります。聞けるようになってくると、自然と正解数が高まりスコアへと反映されます。
効果的なリスニングトレーニング法
- 問題を解く→解説を確認する
- 英語・日本語訳ともに100%理解する
- センテンス(文)ごとに音声を止めて、声に出す(うまく言えないところは何回か繰り返す)
- 音声にぴったり重ねて3回音読する
- 最後に英文を流して英語のまま理解できることを確認する
まとめ
学習で大切なことは、「やみくもに頑張ること」ではなく「脳が得意なものを与えること」です。 脳は多角的に触れるものや、繰り返し触れるものを身に付けることが得意 なのです。
まずは脳に優しい学習からスタートしてください。もし難しいなと感じたら、少しレベルを下げて挑戦してみてください。理解できることを継続すれば、確実に知識とスキルが身に付きます。
繰り返しになりますが、TOEICスコアアップに向けた学習に当たり、以下のことが大切です。
- 難しいことはやらない!
- 正解数よりも理解度を優先!
- 徹底的な反復!
今日から、あなたの学習がアップデートされることを願っています。
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