あなたは自分の英語リスニング力に自信がありますか?イングリッシュ・ドクター西澤ロイの「英語健康診断」連載2回目では、リスニング力をチェックして、英語に自信が持てるようになるよう、 改善 法をアドバイス。手軽な診断テストです。リスニング力アップに悩む方は、ぜひお試しください。それでは英語健康診断スタート!
英語“聴力”検査:リスニング力
今回は、英語がどのくらい聞き取れているかをチェックしましょう。
Q1._
Q2._
Q3._
書き取った内容に自信が持てますか?
このようなリスニングの問題を出すと、「正しく聞き取れた かどうか 」、もしくは「意味が分かった かどうか 」を気にする方が非常に多くいます。しかし、その前に問うべきなのは「 自信を持って聞き取ることができた かどうか 」なのです。
1問目であれば、例えば「my name」「I’m man.」「I mean 」などさまざまな回答をした人がいるはずです。2問目であれば「I’m four.」のように書いた人が比較的多いかもしれません。それらは残念ながら不正解なのですが、もし正解できたとしても、聞き取った内容に自信が持てないのならば、リスニング力として大差はありません。
多くの方が、英語のリスニングについて勘違いしていることがあります。いろんなことを考えて、推測しながら英語を聞いてしまっているのです。
例えば、英語には L と R という、日本語にはない音の区別が存在します。もし「ライト」みたいな音が聞こえたときに、これは「light」だろうか、それとも「 right 」・・・などと考えながら、意味が通じそうなものを推測で当てはめてしまうのです。
さらに文脈からも推測・ 判断 したり、文法知識を総動員したりするなど、知識でカバーしながらリスニングを行なってしまいます。
それは、本来あるべきリスニングの姿ではありません。意味が分からなくても、「こう聞こえた」「確実にこう言っている」と自信を持って聞き取れるのが、本当の意味でリスニング力がある状態なのです。
診断:解答と解説を見てみよう!
「耳」と「目」を一致させよう
Q1の解答と解説
1問目の答えは 「I’m in.」 です。例えば「私は参加します」といった意味合いです。これが聞き取れなかった方は、英語を「聞きっ放し」にしてしまう「 スルーリスニング病 」の恐れがあります。
英語のリスニングをするときに大切なのは、聞いた後にスクリプト(文字による解答)をしっかりと確認することです。 確認せずに、分からないところを放置してしまうと、いくら聞いてもリスニング力は上がらない と思ってください。
inの /i/ の音は、カタカナの「イ」と「エ」の間に位置します。ですので、発音には個人差がありますが「エ」っぽく聞こえることも少なくありません。1問目の音声では、それがさらに I’m の /m/ の音とつながることで「ミン」よりも「メン」に近く聞こえます。
スクリプトをしっかりと確認した上で、「耳で聞こえる音声」と「目で見ている文字」を一致させてください。「この単語は、こうやって発音するのか」「こことここがつながって、こう聞こえるのか」などとしっかりと確認し、納得を得るように心掛けましょう。その上で、また何回も何回も繰り返し真剣にその音を聞くことが大切です。
「カタカナ発音」から抜け出すために
Q2の解答と解説
2問目の解答は 「I’m full.」 です。もちろん意味は「お腹がいっぱい」ということですね。これが不正解だった方は「 カタカナ発音症 」にご注意ください。full をカタカナで「フル」だと思ってしまっていると、2問目は聞き取れません。しっかりと英語の発音を確認することが大切です。
full は発音記号で書くと [ful]。まず /f/ の音は日本語には存在しません。上の歯を下唇に軽く触れさせることで出す「摩擦音」と呼ばれる音です。
/u/ の音は「ウ」ではありません。カタカナで書くならば「ウ」と「オ」の間に近いのですが、口をすぼめ、舌を少し奥に引っ込めて、口の奥の方で出す音なのです。例えばwoman も「ウーマン」ではなく「ウォマン」に近いのです。
また、語尾の /l/ は、舌を上の歯の裏側辺りにつけたまま口を開いて出す「ウー」に近い音。舌を離さないため、「ル」の音とは全然違います。full は、カタカナであえて書くならば「フォゥ」のような音なのです。
リスニング に関して 、定説として言われているのは「自分で発音できない音は聞き取れない」ということ。自信を持って聞き取れるようになるためには、自分でしっかりと発音できることが大切なのです。上で発音方法について簡単に説明はしましたが、文字だけで伝えることは困難です。発音をしっかりと学びたい方は音声教材を使うか、信頼できる先生からの指導を受けてください。
意味を考えながらリスニングしていませんか?
Q3の解答と解説
3問目が自信を持って1回で聞き取れた方は、かなりのリスニング力をお持ちです。正解は 「Lyndsay Lohan tried to avoid conflict .(リンジー・ローハンは衝突を避けようとした)」 でした。
TOEIC などの試験で高得点を保持している方や、教材を使ってのリスニングがある程度できる方でも、3問目はなかなか聞き取れません。「音の変化が分からないから聞き取れない」と言われることがありますが、それは根本 原因 ではありません。なぜならリスニングというのは、別に音が変化しようがしまいが、聞こえてきた音を聞き取るだけだからです。
ネイティブレベルの自然な音声になってしまうと聞き取れなくなってしまう 原因 は、日本語脳に基づく聞き方のクセであり、私は「 左脳リスニング病 」と呼んでいます。端的に説明するならば、日本語は「紛らわしい音」を排除してある言語であり、微妙な音の違いを聞き取るというハードルが存在しません。しかし英語には、カタカナだと全て「ハット」と書けてしまう hot、hat、hut や、s(sin)と sh(shin)、th(thin)のような微妙な音の違いがたくさんあります。そのため、日本人がネイティブの英語をきちんと聞き取れるようになるためには、リスニングに対する意識を変えることから始める必要があるのです。
その第一歩として心掛けるべきなのは、「リスニング中に意味を考えない」ことです。意味を分かろうとして、推測をしたり、知識を総動員したりしながら聞いていては、ネイティブの英語が聞き取れるようにはなかなかなれません。
「左脳リスニング病」の特徴の一つとして、「固有名詞や知らない単語が苦手」という点が挙げられます。3問目はいきなり人名、つまり固有名詞で始まりますが、ここが聞き取れずにつまずいてしまい、その後が全然耳に入らなくなる・・・という人が多いのです。
固有名詞や知らない単語を耳にしたときには、その単語を真似して発音し、「どういう意味?」と聞き返せるのが、本当のリスニング力。そのような力を身に付けるためには、意味を考えないようにして、音だけに集中して耳を鍛えるトレーニングが必要なのです。
そのようなトレーニングが行えるリスニング教材が見つからなかったため、私は以前「 リアル・リスニング 」というトレーニング教材を開発しました。「左脳リスニング病」をなおしたい方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
前提 ">まとめ:音だけに集中することがリスニングの大 前提
リスニングの基本は、音だけに集中して聞き取ろうとすることであり、その後には、スクリプトをしっかりと確認し、 「耳」と「目」を一致させることが重要 です。また、必要に応じてしっかりと発音の練習をすることも欠かせません。
その上で、また何度も何度も、聞き取れなかった音声を真剣に繰り返し聞くことで、本当の意味で英語が聞き取れる耳が鍛えられていきます。そのためのトレーニングとしては、最初にやっていただいた「ディクテーション」が 有効 です。
英語は日本語よりも音がずっと多いために、日本人にとって英語のリスニングは必ずつまずくポイントだと言えます。ただ英語の音声を聞き流しているだけでは、ほとんど上達が得られません。ぜひ英語の音と真剣に向き合い、耳をしっかりと鍛えることで、自信を持って英語が聞き取れるリスニング力を手に入れていただけたらと思います。
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執筆:西澤ロイ
イングリッシュ・ドクター(R)(英語のお医者さん)。
英語への「苦手意識」や「英語嫌い」を解消し、英語が上達しない 原因 である「英語病」を治療する専門家。獨協大学英語学科卒業。TOEIC満点(990点)、英検4級。アメリカのジョージア州に1年間の留学経験あり。「英語感覚」や「英語の考え方」を分かりやすく日本語で伝えるスキルには定評があり、「長年の疑問がすっきり解消した!」「そんな風に英語を捉えたことがなかった」「目からウロコ!」という多くの感動や喜びの声が寄せられている。著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、「TOEIC L&Rテスト最強の根本対策」シリーズ(実務教育出版)など、計9冊で累計15万部を突破。メディア出演多数。木8(木曜夜8時)の英語バラエティ ラジオ番組「スキ度UPイングリッシュ」の他、コミュニティFMにてレギュラー番組・コーナーを4本オンエア中。
公式HP: https://english-doctor.co.jp/
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