「パパ、ママ、教えて!」お子さんが英語に関する素朴な疑問を持ったとき、あなたは教えてあげることができますか。昔、習ったはずの英文法、その内容を「子どもにも説明しやすいようにわかりやすく」大竹先生と一緒に復習します。今回は英語の「名詞」を取り上げます。
まずは自己紹介!
はじめまして。大竹 保 幹 です。私は高校で英語を教えています。
皆さんは英語が好きですか? こういう質問をすると、「英語が好き」「英会話が好き」という方はいても、「英文法が好き」という意見は残念ながらあまり出てきません。
この連載では、子どもだけでなく大人もふと思いそうな英文法の疑問を取り上げながら、全体を復習していきます。復習と言っても、そんなに難しく考えないで大丈夫です。まずは大人が英文法を楽しんで学習すること、これが何よりも大切です。ですから肩の力を抜いて気軽に読んでください。「英文法って案外面白いぞ」と感じていただけたら、その面白さをぜひ子どもたちに伝えてみてください。きっと英語をもっと好きになってくれるはずです。
名詞ってなんだっけ?
今、みなさんのまわりには何がありますか。仕事をしているなら、パソコン、机、カップなどがあり、隣には同僚]の方が座っているかもしれません。電車でこの記事を読んでいるなら、スマートフォン、新聞、学生さんなどが目に入るでしょう。私たちの身のまわりは人や物であふれています。
人や物には、「机」や「学生」のような決まった呼び方があります。みんなが同じ呼び方をすることで、何について話をしているかがわかるようになっているんですね。英文法では、こういった人や物のことを「名詞」というのでした。
名詞だけでも英語は通じるの?
「英会話を楽しみたい。でも、複雑な英文法の勉強は嫌だ」
こんなふうに思ったことはありませんか。学習を始めた頃は楽しかった英語も、「三単現のs」や「不定詞」などいろいろな文法用語に触れているうちに嫌気がさしてくることもあります。できれば楽に英会話を楽しみたい。きっと誰もが思っていることです。そんなとき海外旅行を一度でも経験すると、自分が欲しいものを単語で言えればなんとかなることがわかります。「英語って簡単に通じるんだ」とそのときは思うかもしれません。
名詞だけでも英語は通じるの?
こんなことを聞かれたら、何と答えればいいのでしょうか。これまでの旅行経験から、「大丈夫。通じるよ」と自信たっぷりに言えばいいのでしょうか。結論から先に言うと、「名詞」だけでも英語は通じます。しかし、あなたが言ったセリフは違うメッセージを伝えてしまうかもしれないのです。
喫茶店でコーヒー(coffee)を注文する場面で考えてみましょう。
下の①と②のセリフは、「コーヒーを1杯注文している」という点では同じですが、伝わるメッセージが微妙に違います。一体どのように違うのでしょうか。
① A coffee.
② A coffee, please.
【答え】②の方が丁寧に聞こえます。①の言い方は相手に不快感を与えることもあります。
「コーヒー」とだけ言うよりも、「コーヒーください」と言った方が印象が良いのは日本語でも英語でも同じです。友人同士ならまだしも、初めて会う人や店員さんにはなるべく丁寧な言葉づかいを心掛けたいものです。
②の例文のように、名詞のあとにpleaseを付けるだけでも相手の印象はぐっと良くなることを知っておきましょう。
名詞, please.
~をください。~をお願いします。
お子さんの質問に答えると、こうなりますね。
*名詞だけでも通じるよ。でも人に何かをお願いするときは、名詞の後にpleaseを付けるようにしよう。
文の途中は小文字にするんじゃないの?
名詞の中には特別に名前が付けられているものがあります。愛犬には「ポチ」や「ハチ」といった名前をつけますし、土地にも「東京」や「日本」といった地名がついています。もちろん、私たちにも名前がありますよね。このような名前や地名を「固有名詞」というのでした。
固有名詞は文の途中で使われても、必ず語頭を大文字にするのが約束です。ですが、英文の基本ルールとして、「文頭の文字以外はすべて小文字で書く」とも学習したことを覚えていませんか。この2つのルールに遭遇すると、学習を始めたばかりの子供は戸惑います。
文の途中は小文字にするんじゃないの?
こんなことを聞かれても、「固有名詞は特別なんだよ」と答えるしかありません。ただ、なぜ固有名詞を小文字で書いてはいけないのかを知っていれば、この例外がいかに大切かを伝えることができるかもしれません。
この規則を破ったら一体どんなことになってしまうのでしょうか。
下の2つの文を見てください。①ではChinaが「固有名詞」の規則通りに使われています。②は、それを破って小文字のchinaになっています。どんな違いが生まれるのでしょうか。
① I like China.
② I like china.
【答え】 ①のChinaは「中国」という国名を表しています。一方で、②のchinaは「陶磁器」の意味になってしまいます。これでは好きなものが変わってしまいますね。
大文字で始まれば「固有名詞」なので、人の名前や地名などを表していることが分かります。しかし、②のようにこの規則が守られていないとchinaは普通の「名詞」だと認識されてしまい、このとき、「陶磁器」を意味することになってしまいます。すべての固有名詞の意味がこのように変化するわけではありませんが、書き方のルールを守っていればこのような間違いは起こりません。
実は、私たちがよく使うJapanも例外ではありません。全て小文字で書かれると、どんな意味になるのでしょうか。
japan 漆、漆器
自己紹介で「漆器生まれ」にならないように、Japanは大文字で書き始めてくださいね。
お子さんの質問には、こう答えてあげるとよいでしょう。
国の名前や人の名前などの「固有名詞」は、文の途中でも大文字にするというルールがあるんだ。このルールを破ると、全く違う意味になってしまうこともあるから、気を付けようね。
名詞クイズに挑戦!
街を歩けばいろいろな名詞を見かけます。むしろ、見ない方が難しいくらいです。海外旅行などでは看板に書かれた名詞が重要な情報を伝えてくれることもあります。今回はそういった「看板に使われている名詞」を読み解いてみましょう。
Q1
写真を見てください。ここのお店の一押し商品は何でしょうか?
Q2
写真の建物の中では何を見ることができるでしょうか?
どうやら、2つの語を組み合わせて作った語のようです。
Q1の答え
iced tea(アイスティー)とcafe latte(カフェラテ)
看板の読み方は、基本的にはどこの国も同じで、大きく書かれているものが、目立たせたいものです。イラストも付いているので、看板の名詞が分からなくてもなんとなくイメージができるようになっているので助かりますね。
ここで注意して見てほしいのは、大文字の使い方です。Iced TeaやCafe Latteのように 語頭をすべて大文字にすることで商品が強調 されています。こういう書き方は、本や映画のタイトルでも使われているんですよ。
Q2の答え
ニュースや報道に関する展示物をみることができる
NEWSEUMはnews(ニュース)とmuseum(博物館)を組み合わせて作った造語です。同じような例で、breakfast(朝食)とlunch(昼食)を合わせてできたbrunch(ブランチ)がありますが、これは日本でも耳にすることがあるのではないでしょうか。こういった語は辞書に載っていないこともあり、初めて出会ったときは混乱するかもしれません。しかし、そんなときも慌てないでクイズのように楽しめるといいですね。
まとめ
いかがでしたか。今回は「名詞」について少しだけおさらいをしました。「名詞」の使い方を普段と少し変えてみるだけで、すいぶんと英語の印象が変わることがわかります。英文法は単語だけでは伝えきれないメッセージを表してくれます。道のりは長いですが、楽しみながら学習を続けましょう。
トップ写真:Ramin Talebi from Unsplash 本文写真:Markus Spiske, Katelyn Greer from Unsplash
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