「どっちの英語ショー」第3回は「副詞」の使い分けを紹介します。今回ピックアップするのは、日常会話でもよく使う「たぶん」と「前に」という意味を持つ英単語。状況やニュアンスの違いに注意しながら、早速、クイズにチャレンジしましょう。
目次
たぶん maybe / probably
問題1:入るのはどっちの単語?
I’ll( ① )get a haircut tomorrow if I have time.
もし時間があれば、たぶん明日髪を切るだろう。
( ② )I’ll go shopping this weekend, but I’m not sure.
たぶん今週末買い物に行くと思うけど、はっきりとは分からない。
問題1の答え
① probably、② maybe
maybe:確信度50パーセント前後の「たぶん」
maybeには「(はっきりとは分からないけれど)たぶん、もしかしたら」というニュアンスがあります。話し手の確信度や実現の可能性は50パーセント前後。
クイズの文のように「買い物に行くかもしれないし、行かないかもしれない」という、どちらの可能性も考えられる場合に用います。断定するのを避け、あいまいさを表現する単語です。
Maybe I’ll eat sushi tonight, or maybe I’ll eat pizza.
今夜はおすしを食べようかな、それともピザにしようかな。
Fred looked a little tired today, but maybe he was just bored.
フレッドは今日少し疲れているようだったが、たぶん退屈だっただけだ。
probably:確信度80パーセント以上の「たぶん」
「たぶん」という意味を持つ英単語の中で、話し手の確信度や実現の可能性が最も高いのがprobablyです。You’re probably right.(多分そうだろうね)は、かなりの確率で相手が言っていることは正しいということになります。
クイズの文も、日本語だけを見ると maybe と比較した確信度の差は分かりにくいですが、英文には「時間があればほぼ間違いなく髪を切る」というニュアンスが含まれています。
It’s probably going to rain with all these clouds in the sky.
空が雲で覆われているのでたぶん雨が降るだろう。
I’ll probably spend New Year’s with my family as I do every year.
例年通り、新年はおそらく家族と過ごすだろう。
「たぶん」に関するその他の単語もチェック!
perhaps:確信度30~50パーセントの「たぶん」
確信度や可能性が maybe と同様、もしくはそれよりも低いニュアンスです。
Perhaps we can watch a movie this weekend.
今週末、私たちはたぶん映画を見ることができる。
possibly:確信度10~20パーセントの「たぶん」
perhapsよりもさらに確信度が低いのがpossibly。まったくゼロではないものの、可能性がかなり低い場合に用いられます。
I could possibly go to the party if I’m not busy that day.
もしその日忙しくなければ、ひょっとしてパーティーに行けるかもしれない。
前に ago / before
問題2:入るのはどっちの単語?
We lived there ten years( ① ).
私たちは10年前にそこに住んでいた。
We have lived there( ② ).
私たちは以前そこに住んだことがある。
問題2の答え
① ago、② before
ago:(今から)~前に
「現在」を起点とし、過去のある時点を表す際に用いられます。ago単独で使われることはなく、ten years ago(10年前に)、two minutes ago(2分前に)、a month ago(1カ月前に)、long ago(ずっと前に)のように、時間や期間を表す語句を前に置きます。
また、過去形以外の文には使われません。「過去に起きたこと」について「現在」述べる場合はagoを使うと覚えておきましょう。
I went on a trip to Canada a month ago.
1か月前に旅行でカナダに行った。
*go on ~:旅行で~に行く
Vanessa got here about 10 minutes ago.
ヴァネッサは約10分前にここに到着した。
before:(過去のある時から)以前に
副詞のbeforeは、We have lived there before. のように単独で使うことができます。beforeは「過去」を起点としているため、three days beforeのように時間や期間を伴う場合は「(過去のある時点から)3日前」という意味になります。この表現は、過去完了形の文などでよく用いられます。
また、beforeは副詞だけでなく、前置詞や接続詞としての用法もあるため、過去のことを述べる際に幅広く用いられます。
Have you been to Paris before?
以前にパリに行ったことはありますか?
I had met him three days before the seminar.
セミナーの3日前に彼に会った。
「前に」に関するその他の表現もチェック!
earlier:前に、先ほど
Ryan was here earlier, but I don’t know where he is now.
ライアンはさっきここにいたけど、今どこにいるか分からない。
previously:前に、前もって
I previously worked as a math teacher at a high school.
私は以前、高校で数学教師として働いていた。
まとめ
今回のクイズはいかがでしたか?日本語の意味は同じでも、英語はちょっとしたニュアンスの違いで伝わり方が大きく変わります。英単語のコアな意味を理解して、少しずつネイティブの感覚に慣れていきましょう。次回もお楽しみに!
写真:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)
デイビッド・セインさんのオススメ本
日本人が間違えやすい英語の動詞、助動詞、形容詞、副詞の類義語を48ペア取り上げて、その違いを比較しつつ、単語ごとのニュアンスと使い分けをデイビッド・セインさんが指南する一冊です。ドリル形式の練習問題を解きながら、ネイティブの表現感覚が体得できます。
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。