同じ英語でも“別の言語”!? イギリス vs アメリカ【語彙・つづり編】

イギリス英語とアメリカ英語。どちらも「英語」ではありますが、使われる言葉や表現には微妙な違いがあります。英語圏のネイティブ同士でも「え?どういう意味?」と戸惑うことがあるほど。今回は、会話の中で混乱を招きやすい3つのケースを紹介します。英語を学ぶうえで、文化や地域による「言葉のクセ」を知ることはとても大切です。

Case 1:“at the weekend”は「週末に」? それとも「週末の時点で」?

イギリス英語では“at the weekend”がよく使われます。一方、アメリカ英語では“on the weekend”のほうが一般です。

  • British: What are you lot doing at the weekend?
    今週末、みんな何をする予定?
    British: Are you mental? It’s half five on a Monday. That’s not cricket.
    正気かい?今は月曜の5時半だよ。そりゃ“フェアプレー”じゃないね。

“mental”はイギリス英語で「頭がおかしい」「正気じゃない」というスラング。“not cricket”は「ずるい」「フェアじゃない」という意味のイディオムです。

これをアメリカ英語に直すと、次のようになります。

  • American: What are you guys doing on the weekend?
    今週末はどんな予定?
    American: Are you crazy? It’s half past five on a Monday.
    どうしたんだい?まだ月曜の夕方だよ。

“at the weekend”は“at the end of the week”の省略表現で、イギリスでは自然な言い方ですが、アメリカでは違和感を持たれることも。地域によって「時間の前置詞」の感覚が違う、興味深い例です。

Case 2:“pram”はベビーカー? それとも・・・?

によって、身近なモノの呼び方が違うこともあります。

  • British: I’m going pram shopping today.
    今日はベビーカーを買いに行くの。
    American: What’s a pram?
    “pram”って何?
    British: You know, a buggy.
    ほら、バギーのこと。
    American: Oh, like a gokart?
    ゴーカートみたいな?
    British: No, the thing you put the baby in. It has wheels and you push it.
    違うよ、赤ちゃんを乗せて押すやつ。
    American: Oh, a stroller!
    ああ、ベビーカーね!

イギリスでは“pram”(=perambulator の略)が「新生児用ベビーカー」の意味で使われます。 “buggy”も同じように「赤ちゃん用の押し車」を指しますが、アメリカでは“buggy”はむしろ「ショッピングカート」や「ゴルフカート」を指すことが多く、ベビーカーには “stroller”を使います。

同じ単語でも国が変わるとイメージが大きく違うのです。

Case 3: カナダ英語はどっち寄り?

イギリス英語とアメリカ英語の中間に位置すると言われるのが、カナダ英語です。たとえば、つづりでは“colour”や“centre”のようにイギリス式を使いながら、“realize”などはアメリカ式を採用しています。

また、語彙面でも違いが見られます。

  • jelly → アメリカでは「ジャム」、イギリスやカナダでは“jam”
  • grades → アメリカの「成績」、カナダやイギリスでは“marks”

つまりカナダでは、文脈や相手によって使い分けが必要になります。たとえばアメリカの職場で “colour” と書くと、「あ、カナダ人だね」とすぐにバレてしまうなんて話も。それだけ言葉には地域の文化が色濃く反映されています。

まとめ:英語の多様性を楽しもう

同じ英語でも、地域によって語彙・つづり・ニュアンスがこれほど違います。「どちらが正しい」というより、「どの国の人にどう伝わるか」を意識することが大切です。

映画やニュースを観るときに「これはイギリス英語?」「この単語はアメリカ式かな?」と意識してみると、学びが一気に深まります。

英語にも“方言”があると思えば、違いそのものが楽しくなってくるはずです。次に英語を読むとき、聞くとき、少しだけ“どこの英語か”に耳を傾けてみましょう。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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