
『ENGLISH JOURNAL』2023年1月号では、俳優シルベスター・スタローンのインタビューを取り上げています。Amazonプライム・ビデオで配信中の映画『スパルタン』に関する内容です。76歳になったシルベスター・スタローンが、世間から身を隠して過ごす老年の元スーパーヒーローを演じています。
EJとほぼ同時期にキャリアをスタート

76歳になったシルベスター・スタローンが、Amazon プライム・ビデオ配信の映画『サマリタン』で、世間から身を隠して過ごす老年の元スーパーヒーローを演じています。『ENGLISH JOURNAL』1月号では、映画の配信スタートに合わせて行われたインタビューをお届けしています。
この年齢になってもなおアクションを、しかもCG などを使わず実際に演じるスタローンですが、彼を駆り立てるものはなんなのでしょうか?彼の「アクション映画」の定義や、ギリシャ神話から現代のヒーロー映画へとつながる共通項など、興味深い話を聞くことができます。また、若い頃に苦労した話や、だからこそ重鎮俳優となった今、相手役の若い俳優に対してどんな配慮をしているのかを語っています。
ちなみに、スタローンが俳優としてキャリアをスタートした時期とEJが創刊した時期はほぼ同じ。「共に成長した」という勝手な思いで、最終号の表紙も飾っていただいています。本記事ではインタビューに併せて掲載した、スタローンに関するコラムをご紹介します。
1976年の映画『ロッキー』が全てを変えた

If your hero doesn’t give a damn, I don’t give a damn about him.
もし主人公が何も気に掛けないやつだったら、こちらもその主人公のことなど知ったことかとなります。
―― Sylvester Stallone
努力の人、シルベスター・スタローン。極貧生活からスターへと駆け上がった彼の才覚は、俳優だけにとどまらない。スタローンの出世作となった『ロッキー』(1976)は、彼が3日で書き上げた脚本から始まっており、主演も兼務。同じく代表作の「ランボー」シリーズでも脚本を兼ね、近年は「エクスペンダブルズ」シリーズをヒットへと導いた。Amazonプライム・ビデオで配信中の最新映画、姿を消した伝説の“超人”を演じた『サマリタン』でも、主演&製作を兼任している。
俳優・監督・脚本家・プロデューサーと、トライ&エラーを繰り返してきたスタローンの魅力は、ずばり“共感力”。そして、キャリアを重ねてもオーラが衰えることなく、古びないところにあるのではないか。『ロッキー』は、うだつの上がらない底辺ボクサーが努力の末に“本物” へと成長していく物語だが、その姿はスタローン自身にも重なる。主人公のロッキー・バルボア、そしてスタローン自身の苦闘に説得力が伴っていることで、時代を超えて、見る者が「自分たちの代表」と思えるのだ。その結果、スタローンは彼の分身といえる作品ともども、新たなファンを増やし続けている。
『エクスペンダブルズ』(2010)は彼の“仲間” であるアクション俳優たちに花道を用意する漢気(おとこぎ)も含めて支持されており、そうしたスタローンの遺伝子は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)のジェームズ・ガンや『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)のライアン・クーグラーといった次世代のクリエイターにも受け継がれている。ガン監督の『ザ・スーサイド・スクワッド “極” 悪党、集結』(2021)ではおばかなサメの声を演じており、この軽やかさもスタローンの魅力だ。
彼が携わった作品には興行成績・評価共に残念な結果に終わってしまったものも少なくないが、常にチャレンジし、己の可能性を更新し続ける姿勢は、この先も人々の心に勇気をともしていくはずだ。
I think when you see older people hanging out with younger people, it’s vital. Because they both become so symbiotic.
年長者が若者と一緒に過ごすのを見かけますが、あれは極めて重要なのです。両方に大きな共生作用があるからです。
―― Sylvester Stallone