「知識としての語彙」ではなく「発信するための語彙」として習得する学習法【EJ特派員】

こんにちは、「EJ特派員」のKazuです。

『ENGLISH JOURNAL』9月号は、毎年恒例の特集「英語の超難問ドリル」です。

毎年このドリルを解くと、特に語彙に関しては「こんな表現があるのか!」と驚きと発見の連続です。ただ、せっかく自分にとって初見だったりなじみがなかったりする語彙が出てきても、解いてそれっきりだと、それらの語彙は定着しません

時間がたつにつれて忘れてしまう語彙が出てきたり、読んだり聞いたりするときには同様の語彙が判別できても話したり書いたりするときには自分の頭の中でぱっと出てくることはまれだったりするはずです。

そこで今回は、覚えておきたい語彙をしっかりと覚え、いわゆる「発信のための語彙」を増やすために取り組んだ学習方法をご紹介します。

まずは問題に挑戦!

本誌に掲載されている語彙問題から、5問を掲載します。
短文中の空所に入る適切な語句を四つの選択肢から一つ選ぶ問題です。まずは問題を解いてみてくださいね。

※答えは全問題の下にあります。

1. Although the sale of fireworks is illegal in Gryffinton, they are (   ) available across the state border, just a 30-minute drive away.

(A) merely
(B) willingly  
(C) wildly  
(D) readily

2. The California-based supermarket chain Fresh Prince has purchased several regional competitors to (   ) its aim of expanding into neighboring states.

(A) impact
(B) inject
(C) further
(D) reveal

3. Although money is tight for newly established companies, it is crucial for them to (   ) enough funds for unexpected expenses.

(A) lift up  
(B) set aside  
(C) pull over  
(D) take off

4. The company’s overly strict internet usage policies turned out to be a (   ) to empoyees’ productivity.

(A) discrepancy  
(B) solution  
(C) hindrance  
(D) structure

5. During the negotiations for the joint-venture agreement with Vail Travel, representatives of Halford Partners (   ) a larger promotional budget.

(A) drew up to  
(B) settled in for  
(C) broke up with  
(D) held out for

答)1. (D) readily 2. (C) further 3. (B) set aside 4. (C) hindrance 5. (D) held out for

いかがでしょうか。全問正解できましたか?本誌の解答・解説を読み、未知の表現や選択肢中で正解ではない語彙の意味や語法を確認したら、次の手順でさらに学習していきます。

辞書にある例文を書き写す

気になる語彙の意味を覚えただけでは使い方がイメージできず、せっかく覚えた語彙は知識のまま留まってしまいます。

そこで、英和辞典などの辞書を活用します。英和辞典や英英辞典には例文がいくつか掲載されています。例文を確認することで、その語彙が具体的にどのように使われるかが分かります

また、辞書の英文は比較的語数が少なく、身近な内容で書かれているので、イメージしやすいものとなっています。

今回のドリルや問題集などの英文は長めな上に架空の話だったり固有名詞が出てきたりするので、辞書の例文がおすすめです。

では、上の5問の解答となった語彙について確認していきます。

1. readily

容易に、手軽に」という意味の副詞です。easilyを多用してしまいがちなので、この単語が使えると表現の幅が広がりますね。「ジーニアス英和辞典」には、

The book is readily available.
その本は容易に入手できる。

という例文が載っています。主語を変えたり、否定文にしたりすればいろいろと使えそうですね。

2. further

動詞として「?を促進する、~を前進させる」という意味があります。副詞、形容詞での使い方にはなじみがありますが、動詞として使われることがあるのを知りませんでした。『 Oxford Advanced Learner's Dictionary 』では、

She took the new job to further her career.
彼女はキャリアアップのために新しい仕事に就いた。

という例文が載っています。不定詞の副詞的用法(?するために)の中で使うと使いやすいかもしれませんね。

3. set aside

set + 目的語 + asideまたは、set + aside + 目的語という形で使います。setはアメリカ英語で好まれ、イギリス英語ではsetの代わりにputが使われるようです。「~(お金)を蓄えておく、貯めておく」という意味です。『 Oxford Advanced Learner's Dictionary 』では、

She tries to set aside some money every month.
彼女は毎月いくらかお金を貯めるようにしている。

という例文が載っています。話し言葉で使われる表現なので、日常会話で使いながら覚えていきたいですね。

4. hindrance

名詞で「邪魔になるもの・人、障害物」という意味があります。問題4の文では、前置詞toが後に続き、この場合は可算名詞として扱われるので、冠詞aが付きます。『 ジーニアス英和辞典 』には、

You are more of a hindrance than a help.
君がいても助けと言うよりは邪魔ですね。

という例文が載っています。使う機会はないかもしれませんが、インパクトのある例文なので頭に残りやすいですよね。
合わせて、more of ~ than ・・・という表現(・・・というよりむしろ/ずっと?)を覚えることもできます。

5. hold out for

「?を求めて粘る、~を強く要求する」という意味です。hold outに「~(手など)を伸ばす」という意味があり、対象を表す前置詞forがあるので意味は想像しやすいです。『 ジーニアス英和辞典 』には、

hold out for a higher pay raise
もっと賃上げをせよとねばって要求する

文ではなくてフレーズしか載っていませんでしたが、アレンジして主語を付けたり動詞の時制を変えたりして英文にするとよさそうです。

メモした例文を音読する&実際に使ってみる

書き写して満足してしまうのがボクの悪い癖ですが、定期的に書きためたものを見て音読すると効果的だと思います。ノートに書けば、過去に書いたものをいつでも復習できます。スマートフォンアプリを使って同様に学習するのもよいと思います。

実際に英語を話す機会があるのであれば、会話の中で使ってみるのが定着の近道ですね。オンライン英会話を利用している場合は、こちらから話すことを決めて、その中で最近覚えた表現を使って、それが通じるかどうかを試すことができます。書き言葉で多用される語彙やフォーマルな語彙であれば、ライティングしたものを見てもらうという方法もあります。

今回、「知識としての語彙」ではなく「発信するための語彙」として習得するために、EJを使った学習を実践してそれをここに書いた理由は、ボク自身、もっと「発信するための語彙を増強する学習」を意識しなければならないと感じたからです。

気になる語彙だけでもこつこつとメモをして、これからも使える語彙を増やしていきます!

Kazu
Kazu

東京生まれ。首都圏で英語を教えています。外国語(英語)科教員免許保有、英検1級、TOEIC L&R980、国連英検A級取得。約9カ月のイギリス語学留学の経験から、イギリス英語とイギリス文化が好きになり、イギリス愛を貫き突き進んでいこうと決心しています。
ブログ:えいごのーと
Twitter:@eigo_note_edu

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