海外へ旅した気分になれる本25選!妄想旅行に出発【小説・洋書、ノンフィクション、マンガなど】

旅行に行きたいのに行けないときに味方になってくれるのが、本です。ガイドブックや紀行本、写真集だけでなく、小説やエッセイ、マンガでも旅情を感じることができます。ネットのバーチャル旅行よりも、もしかしたら妄想が自由に羽ばたける かもしれない 読書で、世界へ、そして時間も越えて、旅しませんか?その旅におすすめの本を紹介します。英語の本は学習効果も!

目次

ヨーロッパで暮らす気分が味わえる

現実にはヨーロッパに住んだり長期滞在したりするのは難しいですが、本でなら思う存分、空想できます。現地在住や根気強い取材ならではの話が読める本です。

『パリでメシを食う。』川内有緒

タイトルから世界三大料理の一つとされるフランス料理を思い浮かべてグルメ本と考えてしまうかもしれませんが、この場合は「稼いで食べていく」方の意味です。

このエッセイでは、料理人、アーティスト、写真家、スタイリスト、漫画喫茶の経営者、花屋、写真家、国連職員など、さまざまな事情と夢を抱えて日本から渡仏し、パリで生きることを選んだ人々が紹介されています。

著者自身がパリに住み、その理由を自身に問うていたからこそ、生まれた本なのではないかと思えます。

きっと、厳しくも温かいこの街を数日間でも訪れてみたくなるでしょう。

パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)
 

『フィレンツェの職人たち』朽見行雄

イタリア・ルネサンスが花開いたフィレンツェで、今も伝統工芸を受け継いで発展させている職人たちの姿を描いたノンフィクションです。

革製品などが有名な街ですが、そのほかにも数々の日常使いできる芸術品が生み出されています。

残念ながら絶版 かもしれない のですが、古本ででもぜひ読んでいただきたい一冊です。

『サルデーニャの蜜蜂』内田洋子

イタリア在住40年のジャーナリストである著者が、イタリアの各地で出会った人々から想起される事柄を記したエッセイです。海、料理、宝石、化粧、香り、建築、美術、蜂蜜作り、寡婦、聖職者など、観察眼が光るテーマにあふれています。

ジャーナリストゆえなのか、さまざまな人と知り合い、やりとりや行き来する仲になる著者の人間性にも引かれます。たとえ私が英語であれイタリア語であれ言語にどんなに習熟したとしても、このように人との出会いを重ねられはしないだろうと、憧れてしまうほどです。

イタリアは2都市を数日間ずつしか訪れたことがないので、いつかのんびりと小さな街も含めて巡ってみたくなりました。

サルデーニャの蜜蜂
 

『百年の散歩』多和田葉子

ベルリンを、ある人を待ちながら歩き回る人物の一人称で語られる小説です。各章には、実在する通りの名前が付けられています。

著者は言わずと知れた、ドイツ在住でドイツ語と日本語の両方で作品を発表している小説家です。

私はベルリンに行ったことがないのですが、この本で主人公の目を通して、各通りの特色を垣間見て、通りの名になっている人にまつわる冷戦などの歴史の中も散歩していると、自分まで路地に迷い込んだような気分になります。

百年の散歩 (新潮文庫)
 

身近なのに見知らぬアジアや、遠い中東、アフリカに飛び込む

自由に海外旅行ができる状況にあれば、行きやすいのはアジア。数日間の休みを取れば渡航可能ですが、本ではもっとディープなアジアを体験してみませんか?気になる場所が見つかれば、訪問、リピートしたくなるかも!

『北京大学てなもんや留学記』谷崎 光

2008年発売と少し古いのですが、電子版で入手できるようです。旅行どころか留学した気分が味わえるエッセイ。中国の人の反日感情や金銭感覚、中国語の上達法などが語られています。面白くて すぐに 読める本です。

中国について日本語で書かれた本は数多くありますが、中国の変化はすさまじく、中国語を話す人口はとても多くて世界各地にいるので、ステレオタイプを持たないよう気を付けて、一人一人と出会っていくことが大切だという気がしています。

北京大学てなもんや留学記
  • 作者: 谷崎 光
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版
 

『転がる香港に苔は生えない』星野博美

ノンフィクションの傑作、と勝手に思っている本です。1997年のイギリスからの香港返還を、現地の人々の姿から活写しています。

香港で生きる人たちにフラットな姿勢で誠実に接近して、変化する香港社会を飾らないけれど美しい文章でつづった一冊。

香港に大きな変化が起こっている今、この本を再読し、そしていつか実際にかの地を目にしたいと思います。

第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

転がる香港に苔は生えない (文春文庫)
 

『美麗島まで』与那原 恵

もう一つのノンフィクションの傑作、と勝手に思っています。

1958年東京生まれで「沖縄人二世」という著者が、自身の家族の物語をたどり、与那島、母が育った台湾などでどんなことがあったのかを探っていきます。

私的であると 同時に 、日本史、沖縄史、台湾史も浮かび上がらせる本です。日本の「本土」の人が普段あまり意識することがない沖縄の歩みに、日本、台湾、アメリカとの関係から触れることができます。

沖縄や台湾に行きたくなり、自分のルーツにも少し思いをはせ、さまざまなルーツを持ってこの国で暮らしている人々のことが気になってくる本です。これも絶版のようですが、機会がありましたらぜひ。

『インパラの朝』中村安希

副題は「ユーラシア・アフリカ大陸684日」。当時26歳だった著者が、海外の貧困や紛争を実際に目撃しようと約2年間でアジア、中東、アフリカの47カ国を巡った旅を記録した本です。第7回開高健ノンフィクション賞受賞作。

行ったことがなく、 今後 行くかもわからない国々の話ですが、インパラ(という動物をこの本で初めて知りました)の写真が印象的で、読後しばらくは「行ってみなくては」という気持ちに駆られていました。いまだに行けていませんが、もし思い立つことがあったら、再読しようと思います。

ニューヨークとそこに住む人々の息遣いを感じる

アメリカにものすごく関心があるわけではないのですが、ニューヨークは一度だけ観光で訪れたことがあります。そして、ニューヨークを描く作家といえば、ポール・オースターではないでしょうか?

「ニューヨーク3部作」ポール・オースター

英語では「The New York Trilogy」。『ガラスの街(シティ・オブ・グラス)』(City of Glass)、 『幽霊たち』(Ghosts)、『鍵のかかった部屋』(The Locked Room)の3作を指します。柴田元幸氏の翻訳が出ています。 

1980年代の作品ですが、よく言われるように今読んでも新しい小説です。大都会ニューヨークの雰囲気などがじわじわと感じられます。

ガラスの街 (新潮文庫)
2024 11
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