古くは「スシ」「ゲイシャ」「ニンジャ」。最近では「スードク」。海を渡って世界で使われていると言われる日本語がありますが、最近ではどの国でどんな単語が用いられているのでしょうか。世界80カ国以上の現地在住日本人ライターやカメラマンの集団「海外書き人クラブ」がリレー形式で担当する本連載。第4回は前回に 引き続き 、ボッティング大田 朋子がイギリスからリポートします。
和食材を超える超トレンディーな日本語!
和食人気とあいまって、日本料理の食材や調味料では日本語がそのまま英語になっているケースが多くなっていますよね。 「スシ」「テリヤキ」「スキヤキ」なんかは今や当たり前!
でも、そんな和食材をはるかに超えるトレンディーな日本語があるんです。それは…
Umami(ウマミ)!
イギリスでは“flavour that adds magic to any dish”( あらゆる料理に魔法をかけるフレーバー )なんて呼ばれています。
火付け役はセレブ・シェフ
イギリス料理って、どちらかというと味付けが単調です。イギリス料理の代表フィッシュアンドチップスも、基本の味付けは塩と酢だけとすごくシンプル。
というわけでイギリス料理は「深み」や「味わい」から少し遠いんですが、数年前にイギリスのセレブ・シェフのジェイミー・オリヴァー氏や、シェフ兼フードライターとして有名なナイジェル・スレイター氏が、好んで「ウマミ」という言葉を使い始めて以来、 「ウマミ」の知名度が一気にアップ!
「ええっ~、加えるだけで料理がオイシクなるの~!?」なんて感じで評判になりました。今じゃスーパーには、「Umami Paste (ウマミペースト)」や「Umami Powder(ウマミパウダー)」が調味料として売られています。
ジェイミー・オリバーのYouTube動画でもUmamiが紹介されている。
Perfectly Balanced Scientific Cocktail | Rich Hunt & Greg Foot - YouTube
イギリスの「ウマミ」はペーストやパウダー!
とはいえ、「ウマミ」の調味料って何でしょうか? 気になります……。
「Umami Paste (ウマミペースト)」はチューブや瓶詰めで売られていて、イギリス人は、このペーストをミートボールやスパゲッティ、スープに加えて使うようです。
洋食メニューではワインやブイヨンを加えることで味にコクを出しますが、ウマミチューブはそれを一本でやってのけちゃうんだから、これは人気が出ますよね。
粉状の「Umami Powder(ウマミパウダー)」も、さまざまな料理に振りかけて使います。「塩の代わりに使う」なんて人もいます。 カレーパウダーと混ぜてポップコーンの味付けとしても活躍中です!
こんな感じで、イギリスの「ウマミ」は日本では考えられない商品ですが、使うと料理の風味が高まるし、味わい深くなる!ともっぱらの評判です。
中身は一体?
とはいえ、イギリスのウマミ商品の中身って、いったい何なのでしょうか?
原材料をみると、「ウマミペースト」の主原料は、トマトペースト、アンチョビ(魚)、ニンニク、バルサミコ酢、マッシュルーム、パルメザンチーズ、ブラックオリーブ、赤ワインなど。
思いっきり日本っぽくない食材ですが、 トマトやパルメザンチーズにはうまみ 成分 がたっぷり入っている そう。
「ウマミパウダー」の方は、シイタケやマッシュルームの粉をメインに海塩やハーブ、オニオンパウダーなどがミックスされています。
何かわからないからかっこいい!?
さて、そんな「ウマミペースト」 に関して 、イギリスの英語ネイティブの声を聞いてみました。
I actually don’t know exactly what Umami is , but it adds an intensely savoury note to dishes. I often put the Umami paste into a casserole and it really brings out the flavour of the dish.
ウマミって聞かれても実際はなんのことか知らないんだ。 でも、料理の味わいが間違いなく深まるよね。よくキャセロールにウマミペーストを入れるんだけど、料理の風味がよく引き出されるよ。
「うまみ」って、甘みや塩味、酸味、苦味と違って、味を表現するのが難しいですよね。実態がつかみにくいというか……。その、「 何かわからないのがかっこいい 」と思っているイギリス人が多い気がします。
「 目には見えないけどある 」みたいな未知感と、「 加えるだけで味が洗練される 」お手軽さがイギリス人にウケている理由だと思います。
まとめ
「うまみ」がペーストやパウダーで使われるって、日本人には多少なりとも違和感がある……というか驚きですよねえ。
でも、海外での和食ブームが安定したその人気の延長に、日本食の味を作る大切な要素の「うまみ」が理解されてきたのはなんだかうれしいです。
それに、加えるだけでコクがでるなんて、料理の味が単調なイギリスにいる者にとってはグッドニュース! やっぱり、「ウマミ」は魔法の調味料だわ~ !
文・写真:海外書き人クラブ・ボッティング大田 朋子
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