2017年3月に発売する書籍 『英語力はメンタルで決まる』 (アルク刊)からエッセンスをひと足 先に ご紹介。第1回は「大人が受ける英語の試験といえば、TOEICは外せない」を紹介します。
年に10回、全ての公開テストを受験すると期待できる効果
私はここ10年ほど、年10回のTOEIC公開テストを全て受験しようと努力しています(仕事の都合などで、残念ながら年7、8回ぐらいになる年もあります)。
私は、学習の進捗状況を明確にし、自分の英語力の伸びを客観的な形で 把握する ために、TOEICを受験し続けています。
TOEIC990点は7年前ぐらいに取りましたが、その後もTOEICの受験を続けていて、990点かそれに近いスコアを取り続けています。 ただし 、同じ990点という満点スコアでも、全ての問題に自信をもって解答できた990点と、そうではなかった990点があります。制限時間内に余裕を持って解答し終えた日とそうでない日があります。このように、ここ 1カ月間の自分の学習状況を正しく 把握する のに、TOEICの受験はとても役立ちます。
数ある英語の試験の中でも、 私がTOEICをおすすめする最大の理由は、スコアの精度と 妥当性 の高さ、一貫性にあります。 TOEICのスコアの算出方法は非公開ですが(単純に1問 △ 点ではありません)、スコアの一貫性が 保証 されています。例えば、昨年6月のスコアが650点で、今年6月のスコアも650点であれば、英語力は同じだということです。これは一年たっても英語力が伸びていないことを意味します。TOEICのスコアは、このような現実をクリアな形で教えてくれるのです。
このように、TOEICを受験し続けることによって、 信憑性の高いスコアを元にして、自分の英語学習の進捗状況を振り返ることができ、次のテストへのモチベーションを高めることができるのです。
無駄なく、実用的なTOEICの英文
ここで、TOEICに向けた学習について触れておきたいと思います。
まず、TOEICで使用されている語彙は、非常に標準的だと言えます。 2~3%の単語を除いて、高校3年生までの教科書レベルの英単語が用いられています。 使用頻度の低い語彙やネイティブ・スピーカーですら知らないような語彙が出てくることはありませんので、無駄な学習に時間を割かずにすみます。
また、 問題に出てくる英文が実用的なものばかり です。ここで、日本の英語学習書に出てくる「英語学習のための英文」と、TOEICの問題に出てきそうな「実用的な英文」を比べてみましょう。
学生時代にA whale is no less a mammal than a horse is.(クジラもウマと同様、哺乳類だ)などといった例文を覚えた人も多いはずですが、これはいくら音読したり暗唱したりしても、おそらく一生使う 可能性 がないような例文です。しかし残念なことに、このような英文が、依然として日本の英語学習書にはまだ残っているようです。
一方、次の英文はどうでしょうか。TOEICに出てきそうで、なおかつビジネスシーンで使えそうな英文です。
The sales figure of the newly released copy machine increased by 30%.
(新製品のコピー機の売り上げは、30%増加した)
大人の英語学習者が理解すべき、あるいは覚えるべき英文は、言うまでもなく、TOEICに出てきそうな実用的な英文のはずです。
公式問題集を正しく使い倒せば、TOEIC800点は取れる!
ここまで述べたように、TOEICに出題される語彙や文法は非常に実用度が高いので、試験問題を研究し尽くして作られたTOEIC対策の単語集や問題集を用いた学習は、皆さんの英語力向上に大いに寄与するでしょう。それでも、私が声を大にして言いたいことがあります。それは 「TOEIC公式問題集を正しく使い倒せば、TOEIC800点は取れる」 ということです。
やはり、資格試験を攻略するには、まず過去問を攻めるべきです。それは、TOEICの問題を最も忠実に再現している問題集こそが『TOEIC公式問題集』 だからです。極端な話、『TOEIC公式問題集』だけを教材にひたすら勉強しても、TOEIC800点に到達できます。
公式問題集の問題を解き、解説を読んで終わり、ではいけません。TOEICの問題は、実用度の高い語彙や表現の宝庫なのですから、設問と関係のない部分までしっかり理解しましょう。特に、リスニングセクションのパート3・パート4などは音読学習の最高の教材になります。
また、先述しましたが、TOEICでは難易度の高すぎる語彙は使用されていません。ですから、TOEICの英文を読んでいて分からない単語に出会ったとしたら、それは 今後 覚えるべき単語なのです。
『TOEIC公式問題集』ほど、TOEIC講師たちが口をそろえてベストの教材だと言う学習書は他にありません。音読でも、例文暗唱でも、どのような形を取るにせよ、公式問題集で学習し尽くすべきだと思います。
TOEICで重要なのは時間配分!
つぎに実際の試験内容です。TOEICの問題はリスニングセクション100問、リーディングセクション100問という構成になっています。
リスニングセクションは4つのパート(パート1【写真描写問題】、パート2【応答問題】、パート3【会話問題】、パート4【説明文問題】)に分かれています。会話の音声に言いよどみや言い直しが含まれる点で、非常にリアルな状況を再現していていると言えます。音声では直接語られていないが、いくつかの与えられた情報を関連付けて解答しなければならない問題などもあり、本当の意味での英語運用能力が問われます。
リーディングセクションは3つのパート(パート5【短文穴埋め問題】、パート6【長文穴埋め問題】、パート7【読解問題】)に分かれています。受験者を悩ませるのがその時間配分です。リスニングセクションでは、放送される音声とともに試験が進行しますが、リーディングセクションでは自分で時間配分を調整する必要があります。これからTOEICを受験するという方は以下の配分をおすすめします。
パート5(30問)10分、パート6(16問)8分、パート7(54問)57分です。つまり、できる限りパート5で時間を節約して、パート7でじっくり時間を使うのです。パート5は知識を問われる問題なので、時間をかけたところで正答率は上がりません。一方、パート7の読解問題は時間をかけて読めば読むほど正解の根拠を見つけることができるため、正答率が上がる 可能性 があります。学習を始めたばかりの人は、どうしてもパート5で時間を使い過ぎてしまうので注意しましょう。
このように、TOEICで出題されるリスニング音声を聞いたり、TOEIC頻出の単語・熟語を覚えたりすることで、皆さんの英語力が確実に伸びることでしょう。
まとめ TOEICで結果を出すには?
- TOEICを年10回受験することを目指すことで、英語学習の進捗や現時点の英語力を常に 把握 できる。
- TOEICの問題は、実用的な語彙と英文で構成されている。
- 『TOEIC公式問題集』を使い倒すことで、TOEIC800点を目指せる。
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西田大(にしだまさる)
1973年生まれ。関西大学文学部英文学科卒業。TOEIC990点(満点)、英検一級、全国通訳案内士。23年間にわたり県立高校教員として勤務した後、通訳、英語講師として独立。通訳としての技量は高く評価され、国際会議や各国の大臣クラスの通訳にもアテンド。英語講師としては、TOEIC・英検等の検定試験から実用英語まで、幅広い分野の英語学習に精通し、その学習法・対策法は注目を集めている。著書に『 「音読」で攻略TOEIC(R)L&Rテストでる文80 』(かんき出版)、『 英語力はメンタルで決まる 』(アルク)、『 TOEIC(R)テストに必要な文法・単語・熟語が同時に身につく本 』(かんき出版)など。
- オンライン英語教室「寺子屋」 https://terakoya-english.com/
- Twitter https://twitter.com/masaru_nishida_
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