大西泰斗先生のレッスンが1冊に!「ラジオ英会話」から生まれた英文法本【ブックレビュー】

英文法って、覚えることが多い上に、ややこしい例外ばかり。TOEICや英検を受けるならともかく、英会話のトレーニングにはあまり必要ないのでは・・・。そんな方にこそ手に取ってほしいのが、この本『語順でシンプル 英語文法マップ』。バラバラだった文法事項が、自分のなかですんなりつながり、話す力もアップします。

大西泰斗先生の「ラジオ英会話」から生まれた本

こんにちは!ライターの尾野です。

NHK「ラジオ英会話」といえば、言わずと知れた老舗の語学番組。

今ではラジオだけでなく、スマホアプリを使って聞くこともできるので、ありがたいですね。私も、1日も欠かさず・・・とは言い切れませんが、ここ数年はかなり継続的に聞いています。

それというのも、英文法に軸足を置いた、大西泰斗(おおにし ひろと)先生の講義が分かりやすい上に楽しいから。

そんな、大西先生の講義(2021年4月〜2022年3月)が1冊の本にまとまりました。その名も『語順でシンプル 英語文法マップ』です。早速、チェックしてみましょう!

英文法は、わずか「3つの原則」で決まる!

「ラジオ英会話」を聞いていると、大西先生は、「英語は配置の言葉」とよく言っています。単語をどう並べるか、「語順」を理解し、その通りに口から出す練習を繰り返せば、英語は話せるようになるとのこと。しかも、語順は大変単純で、次の3つの原則に分けられるそうです。

①基本文型
➁説明ルール
③指定ルール

こちらは、本書の冒頭に掲載されている「英語文法マップ」。これを見るだけで、英語の語順が分かる構成になっています。

左上の「基本文型」からスタートし、右下の「説明ルール」、最後に左下の「指定ルール」へ。このルートで進んでいくと、最短で、文法を「話す力」に結びつけることができます。

ちなみに、最初の「基本文型」は、いわゆる「5文型」のこと。確かに、これをしっかり体得するのは、英語で話すための基本のキですね。

続く、「説明ルール」と「指定ルール」は、ちょっと耳慣れない言い方かもしれませんが、分かれば「なるほど!」と思うはず。

英語では「説明は後ろに置く」

2番目の「説明ルール」は、英語では「説明は後ろに置く」というルールのこと。「英語は後ろへ後ろへ言葉をつなげていく」言語。この感覚を体得しましょう。例えば、「私はあなたが正しいと思います。」という文を英語にすると、次のようになりますね。

I think you’re right.

こんな単純な文でも、日本語と英語では語順が全く違いますね。英語ではなぜ、I think のあとに you’re right が来るのか?それは、「英語では説明は後ろにくる」という「説明ルール」があるからです。つまり、「you’re right は、(後ろから)think の内容を説明している」というわけです。

この感覚がつかめると、多少長い文でもなんのその。パッと内容を掴めるようになります。

I need someone to drive me to the station.
駅まで乗せてくれる人が必要です。

太字の部分を、下線部が後ろから説明していますね。「私は誰かを必要としている」「それは駅まで車に乗せてくれる人だ」というわけ。この感覚が理解できると、英語が口から出やすい感じがしませんか?

もう少し複雑なことも、この「説明ルール」ですらっと言えます。

The man pictured in the newspaper article is my grandfather.
新聞記事に写真が載った男の人は私の祖父です。

これも、太字の部分を下線部が説明して、「その男は私の祖父だ」「(どんな男かといえば)新聞記事に写真が載った男」というわけです。

英語では「指定は前に置く」

続いて、「指定ルール」をチェックしましょう。これは、英語では「指定は前に置く」というもの。

えば・・・。

They didn’t listen to my advice.
彼らは私の助言に耳を貸しませんでした。

日本語なら、「彼らは〜ない」と後ろに否定が来ますが、英語では「これから話すことは否定ですよ」という指定は前に来るのです。

また、形容詞を2つ重ねて使うような場合、どの順番で言えばいいのか一瞬戸惑ったりしませんか?

そんなときにも、この「指定ルール」が分かっていれば納得してせます。

Look at that huge old building!
あの巨大な古い建物を見て!

hugeが先か、oldが先か、どちらでもいいような気がしますが、英語では、形容詞を重ねて使う場合には、おおよその順番があるのだそう。それは「近しさ」の順です。

この文では、huge old building となっていますが、oldの表す「新・旧」に対して、hugeの示す「大・小」は話し手の主観であり、建物の本質的特徴からより距離があります。そのためこの順となるのです。

本書では、他にも次のような例を挙げています。

the small brown lizard(小さな茶色のトカゲ)

この場合、「大・小」を表すsmallよりも、brownの方が本質的特徴なので、トカゲの近くに置かれます。

the beautiful silk dress(美しいシルクのドレス

これも同じことで、beautifulかどうかは人によって意見が分かれるかもしれませんが、素材を表すsilkは、そのドレスの本質的な特徴であり、人によって異なるものではありません。

いや〜、分かりやすい!この「指定ルール」、とても納得感があると思いませんか?

まとめ

「説明ルール」と「指定ルール」が分かると、複雑だと思っていた文法事項も、するすると納得して飲み込めます。「分かった!」という、この感覚がなんとも気持ちいい!

しかし、分かるだけでは話せないのが英会話。納得したら、あとは繰り返し口に出して練習しましょう。
本書には、音読の素材となる「キーセンテンス」も掲載されていますし、お手本の音声をダウンロードすることもできます。

スマホやタブレットでは、専用アプリを使うと便利。これなら、いつでもどこでも、音読練習ができますね。
また、文法事項で分からないことがあったら、逆引き事典として使ってみてもいいかもしれません。
英会話も文法も、両方磨いて英語力をアップさせたい方は、ぜひ手に取ってみてください!

尾野七青子
尾野七青子

都内某所で働く初老のOL兼ライター。

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