相手に気持ち良く話をしてもらうためには、どんな工夫が必要でしょうか。丁寧な表現を使えばよい、ということだけではなさそうです。ここでは、うまく会話のキャッチボールをするためのポイントについて、本特集の解説の執筆者である遠山顕先生に伺います。
目次
Let meを使って「自分から話を切り出す」
Let me start with ...
・・・の話から始めさせてください。
挨拶の後、打ち合わせや面接などの本題に入るときに使える。Let me begin by asking you about...と、すぐに質問に入るフレーズもある。
I’d likeを使って「自らの意向や、相手への要望を伝える」
I’d like to hear, actually, a little bit about ...
・・・について少々お聞きしたいのですが。
I’d like to know ...
・・・について伺いたいのですが。
I’d like you to tell us about ...
・・・についてお話しいただきたいのですが。
I’d like to do(〜したいのですが)は自らの意向を、I’d like you to do(〜していただきたいのですが)は、 相手への要望を伝える、基本のパターン。 wouldで、相手との社会的距離を意識していることを表す。I want to do や I wanna do、I want you to doは、インタビューのように初対面の人やあまり親しくない人が相手の場合は、力 ジュアル過ぎて「上から目線」に聞こえがちなので、使用を避けるのが安全。
Can youを使って「相手から情報を聞きだす」
Can you talk a little about ... ?
・・・について少しお話しいただけますか?
Can you give me a brief outline of ... ?
・・・について簡単にご紹介いただけますか?
brief outlineは rough outlineとも言える。
Can you help us understand ...
・・・について、私たちに理解できるようご説明いただけますか?
インタビューだけでなく、普通の会話でも、相手が快く情報を与 えたがっているという前提がある場合、Can youで事足りることが多い。Could youはより礼儀正しい形で、「できましたら」という丁寧さを出したいと きに使うとよい。
justを使って「興味を持っていることを伝える」
Just out of curiosity ... ?
ほんの好奇心から伺いますが・・・でしょうか?
I was just curious about ...
・・・に興味を持ったのですが。
justで「ちょっと、 ほんの少し(興味があって)・・・」と いった気持ちが込められる。
difficultを使って「相手が答えづらいと思われる質問をする」
One very difficult question, perhaps.
これは難しい質問かもしれません。
An extremely difficult question to answer perhaps, but ...
答えるのが極めて難しい質問かもしれませんが、・・・でしようか?
This may be one very difficult / a very difficult question (to answer), perhaps.を略したもの。相手が答えづらいと思われる質問をする場合に、唐突感を避ける。この後 に質問を続けるか、One very difficult question perhaps is, ...?としてもよい。This may be the million-dollar question, but ...?(100 万ドルの賞 金に値する[ほど難しい]質問かもしれませんが・・・)というフレーズもある。
wonderやthinkを使って「質問する」
I’m wondering if ...?/ I was wondering if ... ?
・・・なのでしようか?
I wonder if you'd tell us a little bit about that.
それについて、少し話していただけますか。
wonder は、一般的にI am / was wondering if ...?や I wonder if ...?といった質問の形で使われる。
So, I was thinking... ?
それで、思っていたんですよ、・・・なのかと。
possibility、one or twoを使って「遠慮がちに聞く」
Any possibility you might... ?
・・・することになる可能性はあるのでしようか。
Is tnere any possibility that you might ...?の略。(Is there) any chance ...?とも言える。
Then, tell us about one or two.
それでは、1つか2つ教えてください。
askを使って「質問する」
I was going to ask you ... ?
伺おうと思っていたのですが、 ・・・でしようか?
If you don't mind me asking... ?
聞いてもよろしければ、・・・でしようか?
I have to ask... ?(どうしてもお聞きしたいのですが・・・でしようか?)
I have to askは、質問の重要性を含意する。
追加で「質問する」
And maybe a little about ...
・・・についても少々お話しいただけますか。
ある程度、話を聞いた後に、追加で質問したい場合に便利。a little (bit) about〜 や、one or twoと同様、「少しで 結構です」と、相手が答えやすいように誘導する。a brief outlineなども同じ働きをする。
仮定法を使って「質問する」
One question I would ask if I was in your shoes is: ...?
もし私があなたの立場だとしたら、伺いたい質問が1つあります。 ・・・ですか?
if I wereに 対してif I wasは文法的に非標準とさ れるが、会話では頻出する。 if I wereという標準にこだわると堅苦しい印象 を持たれる可能性がある。in one's shoesは「〜の立場に身を置いて」の意味。
feelを使って「感想や意見を聞く」
So, can you say how you feel (that) ... ?
・・・についてどう感じているか、お話しいただけますか?
Did you ever feel (that) ... ?
・・・と感じたことはありますか?
Do you ever get the feeling (that)... ?
・・・と感じたことはありますか?
thinkでなくfeelを使うと、相手はより気軽に答えられるだろう。なお、thinkを使う場合は、HowではなくWhat do you think . . . ?と しよう。Do you ever get the feeling (that) ... ?は、時制を過去にずらすこと で丁寧さを表している。
定番パターンで「意見を尋ねる」
So what is your opinion on... ?
・・・についてのご意見をお聞かせください。
opinion onはopinion aboutよリ専門的なニュアンス。
What was it like (to do /-ing) ... ?
・・・というのはどんなものでしたか?
What was / is it like ...は、印象、感想、状況などを尋ねるフレーズ。 What's it like to live in France?(フラ ンスでの暮らしはいかがですか?)など。
What advice can you give to ... ?
・・・(人)にどんなアドバイスをしますか?
アドバイスが得られることを前提 に尋ねている。What kind of advice ...とすると「どの手の(どんな種類の) アドバイスが・・・」という意味。
次回は会話のクッションとなる応答フレーズご紹介します。どうぞ、お楽しみに。
編集:増尾美恵子
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