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「耳コピ」&「口トレ」で、バイリンガル並みの英語力に!【ブックレビュー】

「耳コピ」&「口トレ」で、バイリンガル並みの英語力に!【ブックレビュー】

大人向けの「英語やり直し」の本はたくさん出版されていますが、どうもピンとこない・・・。そんなときには、この本を手に取ってみてはいかがでしょう?お手頃価格の文庫本でさっと読めるのに、役立つ情報がいっぱいです。

「書き言葉」より「話し言葉」

どんな言語でも、まずは「話し言葉」から習得するのがスムーズ。

確かに、いきなり読み書きを始める赤ちゃんはいませんね。「あむあむ」というような喃語(なんご)から始まり、その後いくつか単語が言えるようになり、次第に文単位で話せるようになります。

母語が英語以外の人が改めて英語を習得しようとするときにも、喃語→単語→文と進化していくのだそう。しかし、日本の英語教育では、英語の喃語を言ってみるような機会はありません。

日本人は高校卒業までに何千もの英単語を暗記させられますが、それでも英語が喋れないのは、自然な英語習得の流れを無視しているから。

子どもが言語を身に付けるように、簡単かつ生活に必要不可欠なフレーズを、耳でコピーして、できるだけまねて言ってみる。

これが本書で提案している学習法です。

いざ実践!「耳コピ」&「口トレ」

本書で取り組む英文は、題して「コドモ英語」。

子どもが日常生活で使うような簡単なフレーズですが、大人のトレーニングでもこれで十分。というのも、子どもが話すような簡単なフレーズでも、英語表現の基本を網羅しているし、英語の発音のエッセンスが詰まっているからです。

トレーニング法も本当に簡単。お手本の英語の音声を「耳コピ」して、できるだけまねて口に出す「口トレ」をする。これだけです。

口トレの方法

ステップ1 お手本を聞く

ステップ2 お手本の音を真似して録音する

ステップ3 再度お手本を聞き、録音した自分の発音と比べて確かめる

簡単ではありますが、お手本を再生して、自分の声を録音して、またお手本と聞き比べて・・・というのはちょっと面倒ですよね。

そこで本書では、スマホやICレコーダーなどの機器は2台使うことを勧めています。題して「二丁拳銃方式」。

1台は「お手本再生」専用にし、もう1台は「お手本+自分の声」の録音再生に使います。

1台目をパソコン、2台目をスマホとすると、こんな感じです。

①パソコンでお手本音声を再生すると同時に、スマホで録音開始。お手本をまねて自分で発音。

②スマホの録音をストップ。パソコンでのお手本再生もストップ。

③スマホに録音した、お手本音声と自分の音声を比較。

④お手本そっくりになるまで、①~③を繰り返す。

ちょっとややこしいかもしれませんが、何度か練習すればすぐ慣れるはず。

また、一文ずつ「聞いて→まねて」を繰り返すので、お手本の音声はフレーズごとに分かれているものがおすすめ。本書付属のダウンロード音声なら、ばっちりです。

英文も掲載されていますが、最初のうちはテキストに頼らず、音だけに集中するのがポイントです。1日30分、少なくとも15分は挑戦し、習慣化することが大切。

「口トレ」に慣れてきたら、今度は「書きトレ」に挑戦してみましょう。いわゆるディクテーションです。

こちらもやり方は簡単。まとめるとこうなります。

①お手本音声を再生して、書き取る。

②テキストを見て、自分の書いた文に赤字を入れる。

③赤字の部分に注意して、「書きトレ」を繰り返す。

大切なのは「フィードバック」

「口トレ」でも「書きトレ」でも大切なのは、必ずお手本と比較して修正すること。いわゆるフィードバックです。

この「口トレ」は、科学的には「フィードバック」といいます。(中略)人工知能が学習したり、電子部品を安定させたりする基本メカニズムなのです。人間の言語学習も、このフィードバック原理によって成り立っています。「発音フィードバック」、すなわち「口トレ」こそが、日本人の大人が見逃している英語習得絶対法則なのです。

「熱心に英語学習をしているのに、なかなか成果が出ない」という方は、もしかしたらこのフィードバックが不足しているのかもしれません。「自分の英語は、ネイティブの英語とどう違うか」に目を向け、ギャップを埋めるように修正することが大切

自分の英語を録音して聞いてみるのは、ちょっと照れ臭い感じもしますし、スキマ時間にというわけにはいきません。でも、本気でなんとかしたいと思うなら、1日15分や30分は、このための時間を確保したいものです。

著者はどんな人?

本書の著者、竹内薫さんは、サイエンス作家で翻訳者。帰国子女でバイリンガルでもあり、今はインターナショナルスクールの運営も行っています。

こんな経歴を目にすると、「もともと英語が得意な人なんだな」と思ってしまいますが、渡米したときはすでに8歳。頭の中には日本語で話す回路が出来上がっていて、英語はアルファベットも習っていない状態でした。

学校という社会で生きていくため、子どもながらに必死で英語を勉強したという竹内さん。

3カ月間の夏休み中、英語の特訓に励みます。音声教材をまねてカセットテープに自分の声を録音し、お手本と自分の発音の差がなくなるまで、まねし続ける毎日。

休み明け、先生が話す英語を理解できたときには、感極まって泣いてしまったそうです。

もうお分かりだと思いますが、本書で紹介する学習法は竹内さんの実体験がもとになっています。

あなたの英語を変えるかも

「あのときの感動を皆さんと共有したい」という思いから生まれた本書は、サービス精神満点。

「口トレ」の素材となる音声はもちろんダウンロード可能。さらに、モチベーションを維持したり、ネイティブの英語感覚を身に付けたりするコツも分かります。単語やイディオムの覚え方、イギリス英語とアメリカ英語の違いなど、盛りだくさんの内容です。

英語をゼロからやり直したい人にとっても、中級で伸び悩んでいる人にとっても役立ちそう。文庫本なので、手に取りやすい価格なのもうれしいところ。

小さな1冊ですが、あなたの英語を変えるきっかけになるかもしれません。

ENGLISH JOURNAL ONLINE 編集部

尾野七青子都内某所で働く初老のOL兼ライター。