自宅でレッスンが受けられるため、このところ人気が高まっているオンライン英会話。レッスンをより効果的に受けるには、何が必要なのでしょう?「オンライン英会話ハンドブック」ともいえる1冊を紹介します。
オンライン英会話を始める前に
ステイホームの状況が続いていることもあり、昨年あたりからオンライン英会話の人気が高まっているそうです。その一方で、「全然話が続かなくて挫折してしまった」「自己紹介ばかりで効果が感じられない」という声も耳にしました。
思えば、日本人同士で日本語で話すときでも、ほとんど面識がない間柄では会話が弾みませんよね。英語なら当然です。「 事前に 何か準備できないものか」と思っている方に手に取ってほしいのが、この本です。
受講生の英語レベルに応じた「オンライン英会話の使い方」や、「気を付けるor気にしなくていいポイント」が分かるため、主体的にレッスンに取り組めるようになります。
さらに、ともかく英語で話すために最低限必要な語彙や文法が、分かりやすく解説されています。ポイントをチェックしていきましょう。
英語は語順!まずは動詞から考える
本書によれば、「英語は語順が命!」。 語順の感覚を磨くと、一気に英語が上達する とのこと。
日本語の場合は、「今日、行きます、新宿へ、家族と」でも「新宿へ、家族と、行きます、今日」でも、意味はほとんど変わりません。しかし英語の場合は、語順が変われば意味が変わってしまいます。
S、V、O、そして「そのほか」の4つの箱があり、この順番はガチガチに決まっていると意識しましょう。
S =主語英会話をするときに最低限必要な文法が、この「SVO」という順番 なのです。V =動詞
O =動詞の意味が直接つながる言葉
その他
続いて、言いたいことを英文にする場合は、次の 手順 を踏んでみましょう。
英文を作る 手順「ちょっとめんどくさいな・・・」と思うかもしれませんが、英語で話そうとすると言葉に詰まってしまうようなら、まずはこの 手順 を踏むのが 有効 です。
- 日本文末尾の動詞を見つけて V に入れる。
- S に主語を入れる。
- O に V の意味が直接つながる最小限の言葉を入れる。
- 余裕があれば、残りの情報を その他 に入れて言う。
「今日は家族と新宿へ行きます。」を、上記の 手順 に従って 英語化するとこうなりますね。
するとこんな感じの英文になります。I go Shinjuku family today.もちろんこれは、正しい英文ではありません。でも、大切なのはともかく英語で話すこと。止まってしまうくらいなら、この英文でもまず話す方がいいそうです。
大切なのは会話のキャッチボールです。(中略)現時点の目標はSVOを正しい語順でそろえることです。そう考えると、だいぶ気が楽になると思いませんか?この時に 前置詞や接続詞は気にしなくてOK です。SVOがしっかりしていれば、上のような文でもほぼ誤解なく伝わります。
ちなみに 、 まず動詞から考えた方がいい理由は、日本語では主語を省く場合が多いから 。
例えば、「ビールを飲みます」という文には主語がありません。そこでいちいち「主語はbeer?いや、飲むのは私だからIかな?」などと考えていたら、時間がかかってしまいます。
それよりは、次のように考えた方がスパッと英文を作れますね。
Sに「私は」=Iを入れる
Oに目的語である「ビール」=beerを入れる
こう考えると、「私ってもしかしたら結構英語が話せるんじゃないかな」と思えて、やる気が湧いてきませんか?
万能3動詞で9割伝わる!
「SVOの語順が大事」「まずは動詞から」、この2つが 有効 なのは分かりました。でも、動詞が英語で出てこないとそこで止まってしまいそうですが・・・。
本書では、 困ったときの「万能3動詞」として、have、do、getを使いこなす ようすすめています。本のタイトルにもなっていますね。
コツは、「have=持つ」と一対一で覚えるのではなく、 単語の意味をふんわりしたイメージで捉える ことです。
haveは「SとOが一緒に在る」
haveは「持つ」だけでなく、食べる、飲む、いる、抱えるなどなど、さまざまな意味で使えます。次のような例文を見ると納得できるのでは?
今日は会議があるんです。Ihave a meeting today.
部下に恵まれましたね。どちらも、SとOが一緒だとイメージすると、しっくりきますね。会議の予定、部下、朝食、趣味のコレクションなど、「SとOが一緒に在る」場合はhaveが使えると覚えておきましょう。You have good staff .
doは「Oを実行する」
doは「~する」と覚えることが多いですが、使う、塗る、遊ぶ、作る、演奏するなどなど、ほとんど無限に使えます。
以下の例文には不自然なものもありますが、十分に意味は通じるそう。
私が毎日お皿を洗っています。I do the dishes everyday.
ネイルしているの?You do your nails?
パソコンは苦手なんです。「こんなことまでdoでいいんだ!」と驚きませんか?do、恐るべし。簡単なのにホントに守備範囲が広い動詞です。I do computer bad.
getは「Sのもとに新たにOがくる」
haveやdoと比べるとちょっとイメージしにくいかもしれませんが、「Sのところに、もともとなかったOがくる」と考えると分かりやすいでしょう。さらに、「状態の変化」にもこのgetが使えます。
あなたの考えはわかります。I get your idea.
髪が痛むよ。Your hair get damage.
スープが冷める。getもかなり便利でつぶしが効きますね。これならもっと早く使えばよかった・・・と、通販番組でダイエット食品か住宅用洗剤を見たような心境になります。Soup get cold.
語彙を増やす努力は続けよう
困ったときの「万能3動詞」。ですが、これさえあれば大丈夫とはならないのが語学の深いところです。
よく、「会話はキャッチボール」と言いますよね。「万能3動詞」があれば、こちらから投げる分には困りません。キャッチボールを止めてしまうよりは、多少不自然でもとにかく投げ返した方がいいでしょう。
しかし、 相手がどんな球を投げてくるか(どんな単語を使うか)は分からないので、やっぱり語彙を増やす努力はした方がよい とのこと。文法もまたしかりです。
ただそれも、「万能3動詞」や手持ちの表現を使ってオンライン英会話のレッスンをこなしていけば、自然に吸収していけるはず。
英会話力アップの好循環が始まりそうですね。
英語が苦手だったからこそ生み出せたメソッド
本書の著者は、ジュリアーノ熊代(くましろ)さん。著者プロフィールによると、日本人の父とブラジル人の母を持つハーフで、見た目は完全に外国人とのこと。とはいえ、生まれも育ちも日本で、もともとは全く英語が話せず、高校時代は赤点を取ったことも。
しかし、17歳のときのアメリカ留学が転機になります。帰国後は、英検1級を 取得 し、TESOL(英語教授法)の課程を修了。
その後は英会話講師として、これまでに1,000人以上に英会話を教えてきました。英語が苦手だったという自身の経験や、多くの生徒に教える中で気付いたことを体系化したのが、本書で紹介している独自のメソッド「ヤマトイングリッシュ」なのです。
本書の、とにかく分かりやすく始めやすいメソッドは、著者が英語を苦手としていたからこそ生み出されたもの。
これからオンライン英会話を始める人や、始めたもののいまひとつ効果が感じられない人におすすめ。オンライン英会話はさておき、「英語をゼロからやり直したい」と思っている人も手に取ってみてください。
文法の基本中の基本が身に付き、英語で話す勇気が湧いてくるはずです。
尾野七青子 都内某所で働く初老のOL兼ライター。
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