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東京オリンピック中止はあり得る?海外メディアの反応を英語で読もう

東京オリンピック中止はあり得る?海外メディアの反応を英語で読もう

2021年7月23日に開幕予定の東京オリンピック2020。新型コロナウイルス感染拡大影響で1年延期されましたが、1万人を上限とすることを原則に、観客を入れて開催することが決定しました。これまで海外メディアは、東京オリンピック開催についてどのように報じてきたのでしょうか?英語ニュースを読んでみましょう。オリンピックについて話すときに使える英語表現も学べます。

※2021年6月15日までの海外メディアの報道を振り返ります。

「開催されるべきかを問う時間はない」

最初に取り上げるのは、“Tokyo was picked as the 'safe' choice for the Olympics. Here's how everything changed”(「安全」な選択としてオリンピックに選ばれた東京。どのように変化したか)と題されたCNNの記事*1。2013年に「安全である」として開催が決定された東京オリンピックについて、過去のオリンピックと比較しながら考察しています。

日本の感染者数がアメリカに比べずっと低い一方、ワクチン接種率が人口のわずか2、3%に満たないとした上で、森喜朗氏(元東京組織委員会会長)の性差別的な発言や約1万人のボランティア辞退に言及。

新型コロナウイルスはまだ収束していないとしながらも、下記のように述べています。

But the time to question whether or not Tokyo should happen has vanished. The Games are going to happen, despite CDC and State Department warnings in the US, and the fact that the host country's vaccination rates continue at a global low.

しかし、東京オリンピックが開催されるべきかどうかを問う時間はもうない。アメリカのCDCや国務省が警告を発し、開催国のワクチン接種率が世界的に低い水準であるにもかかわらず、大会は開催されることになった。

Opinion: Tokyo was picked as the 'safe' choice for the Olympics. Here's how everything changed - CNNより引用/太字は編集部

vanish 消える、消滅する 

CDC 疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention

State Department 国務省

オリンピックの開催を直前に控え、観客には「選手の活躍に注目する」「新型コロナウイルスの問題だけでなく、医療、人種差別、世界的な公平性の問題も再認識する」という選択肢が残されていると述べています。

確かに、新型コロナウイルスの感染拡大が多大な悪影響をもたらしたことは事実ですが、それによって以前から存在していた問題や改善点がより明確になったと捉えることもできますね。

「中止の可能性は低い」

一方、“Tokyo Olympic Games: When are they and will they go ahead despite Covid?”(東京オリンピック:いつ開催される?新型コロナウイルスにもかかわらず開催される?)と題されたBBCの記事*2では、日本の感染状況や中止の可能性など、東京オリンピック大会についての情報が項目立てて整理されています。

「日本人は開催を望んでいるのか?」という見出しに続いて、「80%以上の国民が大会の中止または延期を望んでいる」という*3結果を報じる一方、「参加主要国で開催への反対意見はない」とも述べており、さらに東京オリンピックが中止される可能性は低いという見解を示しています。

The IOC is thought to make around 70% of its money from broadcast rights, and 18% from sponsorship. If the Games don't go ahead, it could severely damage its finances, and the future of the Olympics.

Given that the IOC has repeatedly insisted the Games can go ahead safely, even under a state of emergency, it seems there's little chance it will pull the plug.

IOCは収益の約70%を放映権から、約18%をスポンサーから得ていると考えられている。もし大会が開催されなければ、IOCの財政やオリンピックの将来に重大なダメージを与えることになる。

IOCが緊急事態宣言下でも安全に大会を開催できると繰り返し主張していることから、開催を打ち切る可能性は低いと思われる。

Tokyo Olympic Games: When are they and will they go ahead despite Covid? - BBC Newsより引用/太字は編集部

pull the plug (活動などを)やめる、打ち切る

契約上大会を中止できるのはIOCだけであり、仮に日本側が契約を破棄して中止した場合、多額の損失を負う可能性があることが強調されています。

IOCと東京が結んだ「開催都市契約」は、中止決定の全権がIOCにあるなどと記載されていることから、開催が危ぶまれる状況となった今、「不平等条約ではないか」と議論を呼んでいます。

記事中で明言はされてはいませんが、「IOCにとっても日本にとっても経済損失が甚大になる」ことと「大会を打ち切る可能性が低い」ことに因果関係を感じさせる記事です。

オリンピック中止を申し出た際に日本に課される可能性のある賠償金について、CBSの記事*4では、「再び感染が拡大し日本が契約を破棄したとしても、IOCが法的措置を取る可能性は極めて低い」というスポーツビジネス分析専門家の意見を紹介しています。

しかし、CBSの記事でも同様に、これまでオリンピックに投じた資金や開催した際に得られる収入などを考慮すると、「感染状況が大幅に悪化しない限り、大会が計画どおりに開催されることはほぼ確実」としています。

「中止しない理由はエリート同士の癒着」

The New York Timesの“The Olympics Are On! But Why?”(オリンピックが動き出している!でもなぜ?)という記事*5では、日本におけるワクチン接種率が低く、感染拡大の収束の兆しもないにもかかわらず、オリンピックが中止されない理由について以下のように述べています。

The answer is familiar: collusion among the elites.

... Mr. Suga is a dominant figure in this iron triangle of Japanese politics: the Liberal Democratic Party, the Ministry of Internal Affairs and Communications and the media industry. And that network’s view today is that the Olympics show must go on at all cost, with or without overseas spectators.

その答えは、「エリート同士の癒着」である。

・・・菅氏は、自民党、総務省、メディア業界という日本政治の「鉄の三角形」の中で圧倒的な存在感を示している。そしてそのネットワークの現在の見解は、海外からの観客がいてもいなくても、なんとしてもオリンピックのショーを続けなければならないというものだ。

Opinion | The Tokyo Olympics Are On! But Why? - The New York Timesより引用/太字は編集部

collusion 共謀、結託

iron triangle 鉄の三角形

Liberal Democratic Party 自由民主党 ※立憲民主党はConstitutional Democratic Party of Japan

Ministry of Internal Affairs 総務省

at all cost どんな犠牲を払っても

「鉄の三角形」は、担当省庁、政党、利益集団の協力関係を表す語で、記事中では実際に総務省と自民党、電通などの企業との癒着関係が指摘されています。

今回見てきた中では、(感染状況に大きな変化がない限り)おそらく開催されるだろうと予測する記事が多く見られました。しかし、コロナ禍にもかかわらず中止しない主な原因として挙げられているのは、莫大な経済的損失や癒着、選挙などさまざまでした。

海外メディアの注目を集めたオリンピックニュース

さらに、東京オリンピックについて報じた英語ニュースの中で、選手村で配布されるコンドームに反応した記事が多いことも印象的でした。

オリンピックにおけるコンドームの配布は、HIV/AIDSへの関心を高めることを目的としており、1988年のソウルオリンピック以来続いてきた慣習です。しかし、感染拡大を防ぐために非接触が推奨されている現在の状況下でも配布を行う予定だと報じられたことで話題になりました。

組織委員会は配布の目的について、「選手村で使用するためのものではなく、母国で持ち帰って啓発に協力してもらうため」と説明していますが、この説明自体も奇異に映ったのか、記事のタイトルにしているものも見られます*6

開催の是非を含め、さまざまな議論が飛び交う東京オリンピック。いずれにせよ異例の大会になることは間違いないということで、世界中の関心が集まっています。

いよいよ開会式の予定日まであと約1カ月。今後のニュースにも注目しましょう。

KanaENGLISH JOURNAL ONLINEエディター。茶道、禅、落語、講談などの日本文化、アート、音楽に接している時間が幸せ。